デジカメアイテム丼

とにかくデカい! 想像以上の大容量に驚くショルダーバッグ

f.64「NSCX2」

カメラバッグと一口に言ってもさまざまなタイプのものがあるが、今回エツミから発売されたf.64のフラッグシップショルダーバッグ「NSCX2」は、一目でその特徴がわかるバッグとなっている。とにかく「デカい」のである。今回はこの超大容量カメラバッグ、NSCX2をご紹介したいと思う。実勢価格は税込3万5,370円前後だ。

NSCX2を初めて見た人の多くはまずその大きさに驚かれることだろう。レビューを書くにあたり普段使っている自前のカメラバッグのとなりにNSCX2を並べてみたところ、35mmフルサイズ一眼レフ2台がレンズ付きで入る自前のカメラバッグが不自然なほど小さく見えて思わず首を傾げてしまったほどである。

NSCX2の外形寸法を実際に測ってみたところ、高さ310×横幅620×奥行370mmであった。そのサイズ感はショルダーバッグというより、一般的なクーラーボックスに近い。ただし重量は約2.72kgと、大きさを考えると意外なほど軽量に作られている。

サイドポケットは一眼レフが入る大きさ

NSCX2最大の特徴は何と言ってもその圧倒的な収納力だろう。カメラボディ、レンズ、アクセサリーをフルセットで収納できるため、「今日はこのレンズを外してこのレンズを持って行こう」とか、「今日はこのアクセサリーは使うだろうか?」なんて悩む必要はない。NSCX2にあれもこれも全部放り込んでいけば良いのである。

さっそくNSCX2の桁外れの収納スペースをご紹介していきたいと思う。

NSCX2には中仕切りが11枚(!)もある。メインコンパートメントは仮にレンズだけを収納したとすると、70-200mm F2.8クラスのレンズであれば、フードを逆付けした状態の縦置きで実に8本も収納することが可能となっている。

もちろんそんな使い方をする方はおられないと思うが、バッテリーグリップ付きの35mmフルサイズ一眼レフ2台+F2.8通しの広角、標準、望遠レンズ、クリップオンストロボ、さらにノートPCがメインコンパートメントへ楽に収まってしまう。

中仕切りを使って上下に分割することも可能であるため、短いレンズであれば上下に2本収納することもできるし、仕切りを外せば、人気のある150-600mmクラスの超望遠ズームレンズも横置きで悠々と収納することができる。

またPC収納部も15インチのノートPCを楽々と収納可能。それだけ大きいと逆に隙間のせいで中で揺れてしまいそうだが、この広いPC収納部にも中仕切りが設けられているため、収納するノートPCのサイズに応じてフィットするように調節すると良いだろう。

フラップ裏側には大型のメッシュポケットが配置されており、アクセサリー類をザクザク収納できる。

本体の両サイドには2つのサイドポケットが配置されているのだが、このサイドポケット、なんとバッテリーグリップを装着した状態のフルサイズ一眼レフボディを楽に飲み込んでしまうのである。クリップオンストロボなら2~3灯まで収納できる。さらにこのサイドポケットは外側にクッション材が入っており、かなり本格的な作りとなっている。

サイドポケットがこれだけ大きいのならフロントポケットはどれほどなのか? と思ってしまうのだが、実際見てみるとまあ広いこと広いこと。フロントポケットは大型のポケットが1つと小型のポケットが2つの合計3つあるのだが、小型のポケットの方だけでも相当な量のアクセサリーを放り込めるだろう。内部にさらに小さなポケットとペン差しが配置されており、この中でもアクセサリーが混ざってしまうことをある程度防いでくれている。

大型ポケットの方は広すぎて何を入れるべきか迷うところだが、クッション材は入っていないこともあり、防寒具や雨具を入れておくのに良さそうだ。双眼鏡などもすっぽり収納できる。

前モデルの「NSCX」では底面部に三脚や一脚を取り付けるためのループがあったが、NSCX2ではこのループがフラップ側に移設されている。フラップ側に一脚を取り付けるとフラップの開閉が多少重くなるものの、これだけ大容量のバッグでは置ける時には肩から下ろして地面に置きたいことも多い。

三脚を底面に取り付けてしまうとバッグを気楽に下ろせなくなってしまうことを考えると、取り付け部がフラップ側に移設されたメリットは大きい。またこのストラップはある程度までの大きさの物であれば、脚2本を縛ることで三脚も取り付けることが可能となっている。

フラップが逆側に開くので使いやすい

NSCX2のフラップの大きな特徴として、通常のショルダーバッグとは逆方向にフラップが開く点が挙げられる。通常こうしたショルダーバッグタイプの場合、フラップはバッグのフロント側から自分の体の側に開く物が多いが、NSCX2では手前(自分の体の側)からフロント側に向けて開くようになっている。

これだけ大きなショルダーバッグになるとフラップ部も大きくなってしまうため、フラップを自分の側に開いてしまうと、フラップが邪魔になってしまう上に、フラップを片手でしっかりと支えておかなければならないため、両手が使えなくなってしまう。そこで自分の体から離れるフロント側に開くことで、中身が見やすく両手が使えるようになっているというわけだ。

本体底部は濡れた地面に置いた際にも浸水を防ぐよう、防水性のターポリン生地が採用されている。さらにゴム製の底足があるため、バッグ底面が直接地面に触れないようになっており、濡れた地面などにもそれほど躊躇することなく置けるようになっている。

当然のようにレインカバーも付属しており、突然の雨などにも安心だ。大きなバッグだけに傘だけでは心もとないため、レインカバーが付属しているのは嬉しい。このレインカバーは風で飛ばされたり失くしてしまわないようゴムで本体に縫い付けられ背面のポケットに収納されている。

フルに収納すると相当な重量になることが想定されるNSCX2だが、ショルダーパッドは固定式で体のラインに沿うようなカーブが付けてあり、かなり幅広のクッションパッドが採用されているため肩への負担を和らげてくれる。

まとめ

NSCX2は、ショルダーバッグタイプのカメラバッグとしては最大級の大きさを誇り、フルに機材を入れた場合は相当な重量になるため持ち運ぶにはそれなりに体力も必要だろう。またその大きさからも混雑した場所での持ち歩きは気が引ける部分もあるが、車で撮影地近くまで行けるのであればこの大きさも苦にはならないと思う。

これだけ妥協なく機材を詰め込めるショルダーバッグは他では得難い。素早く機材をとり出せるショルダーバッグならではの機動性と大容量を両立させたNSCX2は、持ち運ぶ機材の多いカメラマンにとって魅力のある製品となっている。

山崎將方

(やまさきまさかた)フォトグラファーとして都市風景写真を発表する傍ら、写真教室の講師を務める。カメラメーカーの講師や作例集制作を経て現在に至る。写真とカメラの事ならネジ一本に至るまで、ありとあらゆることを知りたいと思っている。