ファーストインプレッション:OLYMPUS OM-D E-M5


※試用したのは実写サンプルの掲載が許可されていない試作機です。実際の製品とは異なる可能性があります。
※実写サンプルは後日に公開する別の記事で掲載します。

 3月下旬に発売予定の「OLYMPUS OM-D E-M5」(以下E-M5)をお借りできたので、実機を手にした印象を簡単にまとめてみたい。実写を交えたレビューは後日掲載する予定だ。スペックについては、製品発表時に掲載したこちらの記事を参照いただきたい。

OLYMPUS OM-D E-M5。装着レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ。

 E-M5は、銀塩一眼レフカメラ「OMシリーズ」のフォルムを取り入れたというマイクロフォーサーズ機。内蔵EVF、防塵防滴ボディ、5軸手ブレ補正など、従来のPENシリーズになかった機能を搭載しており、ラインナップ上では、PENシリーズよりひとクラス上というポジションになる。

 お借りしたシルバーボディは、確かに70〜80年代の金属ボディ一眼レフカメラを思わせる見た目。手元にあったOM-2Nと並べてみると、初期OMシリーズのイメージを上手く活かしたデザインになっているのがわかる。OMシリーズのテイストを取り入れたデジタルカメラといえば、同社のフォーサーズ機「E-420」や「E-410」などが思い浮かぶが、OM-DはさらにOMへの傾斜を深めているように感じた。

左がE-M5。右はOM-2N

 外装はマグネシウム合金製。疑似ペンタ部に至るまで金属で覆われており、高級感はなかなかのものだ。OLYMPUS、OM-Dのロゴはそれぞれ彫り込みになっている。

 グリップはE-410と同じように軽く突出しているだけで、グリップを覆っている合成皮革は、いくぶんサラサラした質感。若干右手側が狭く感じられるとはいえ、背面に設けられた右手親指用の指掛けのおかげで、ホールディングに不都合はない。

 これでもまだグリップに不満があるようなら、オプションのパワーバッテリーホルダーHLD-6を装着すれば良いだろう。今回は試せなかったが、上下に分離させ、横位置用グリップのみを取り付けられるのが面白い。

 個人差はあると思うが、メインダイヤル、サブダイヤルへのアクセスも問題なかった。左手側のモードダイヤルとあわせ、ダイヤルのクリック感は適度で気持ちがよい。シャッターボタンの感触は2段目がはっきりしているタイプ。ボタンのサイズは小さめ。ストロークは一般的な長さだ。シャッター音はコトッというおとなしい音で、PENシリーズより明らかに静かになった。

 内蔵EVFのスペックは、PEN用として別売されているVF-2と同等(E-M5にも装着可能)。VF-2は画質に定評があり、本機のEVFもハイクオリティだ。視度補正ダイヤルも備えている。

 また、内蔵EVFに関しては独立メニューが設けられていて、背面モニターと同様、色温度と明るさを調整できる。さらにフレームレートを標準と高速から選択可能。高速にすると、表示タイムラグを0.03秒に低減できる。

内蔵EVFメニュー「高速」にすると表示タイムラグが0.03秒に短縮される

 背面モニターは3型の有機EL。タッチパネル式で、いわゆるタッチフォーカスとタッチシャッターの切替が可能だ。PENシリーズでおなじみのライブガイドもタッチ操作で行なえる。静電容量式のためか、反応は良い。

 また、オリンパスのマイクロフォーサーズ機では、E-PL3に続くバリアングルタイプでもあり、「E-P3クラスの上級機が欲しいけど、固定式液晶モニターはイヤ」という人にも受け入れられそうだ。

E-P3に続くタッチ式の有機ELモニター。上約80度、下約50度のバリアングル式を採用する

 内蔵ストロボは非搭載。E-PL3、E-PM1と同様、AP2(アクセサリーポート2)を電源とする専用フラッシュが付属する。E-PL3やE-PM1のものより大きく、ガイドナンバーは10(ISO200・m)。この付属フラッシュは、ワイヤレスRCフラッシュシステムのコマンダーとしても機能する。

ホットシューとAP2(アクセサリーポート2)

 新機能では、「ハイライト・シャドーコントロール」が目新しい。EVF、または背面モニターにトーンカーブが表示されるので、サブダイヤルでハイライトを、メインダイヤルでシャドウを変化させる。他機種でもハイライトとシャドウを個別にコントロールする機能はあったが、トーンカーブを見ながらダイヤルで、というのが新しい。

ハイライト・シャドーコントロールを実行中の画面。ダイヤルでトーンカーブを操作できる

 アートフィルターには、「リーニュクレール」が加わった。写真をイラスト調にするタイプのエフェクト。効果の強弱により、「リーニュクレールI」と「リーニュクレールII」の2種類を選べる。どちらもすべてのアートエフェクト(ソフトフォーカス、ピンホール、アートフレーム、ホワイトエッジ、スターライト)を付加できる。

 同じく新しいアートフィルターとしては、「クロスプロセス」では、シアン系の「クロスプロセスI」に加えて、マゼンタ系の「クロスプロセスII」が選択可能に。「ドラマチックトーン」には、モノクロ効果を与える「ドラマチックトーンII」が利用できるようになった。

新しいアートフィルター、リーニュクレール。いわゆるイラスト調のエフェクトだが、後発だけあってエッジや階調の残し方がかっこいいリーニュクレールの作例。リンク先は800×600ピクセルにリサイズしている

 カスタマイズは比較的強力だ。Fn1ボタン(背面)、Fn2(上面)ボタンはもとより、ムービーボタン(上面)にも同様の機能割当が可能。またマイ設定1〜4をFnボタンに割り当てられる。

Fn1、Fn2、ムービーボタンに機能を割り当て可能

 操作感で気になったのは、ボタン類のストロークが深く、かつ小さいこと。防塵防滴性能を確保するためだと思うが、ふかふかしていて慣れるまで無駄に力を入れてしまった。製品版ではどうなるのだろうか。

 新センサーの実力と5軸手ぶれ補正については、後日掲載予定の製品版を使ったレビューで紹介する予定だ。

撮像素子の有効画素数は、オリンパス最多の1,605万。センサーシフト式の手ぶれ補正も5軸対応タイプに強化されている
メモリーカードはSDXC/SDHC/SDメモリーカードに対応
上からUSB/AV端子、HDMI出力バッテリーは新型のBLN-1を使用





(本誌:折本幸治)

2012/2/23 00:00