Canon EF LENS 写真家7人のSEVEN SENSES
「鳥を撮るのに最適。諦めていた人にこそおすすめです」
野鳥撮影のプロ・福田啓人さんの場合
キヤノン EOS 7D Mark II + EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの魅力を探る
2015年8月20日 12:05
「動きモノ」を撮るうえで至高の組み合わせといわれるのが、「EOS 7D Mark II」と「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」の2製品だ。画質、AF、連写、操作性、サイズ感など、期待を裏切らない実力が評判を呼んでいる。
この2製品を手にした「動きモノ」のプロたちは、どういう感想を持ち、どう使いこなしているのか。
今回は、野鳥撮影の作品で知られる福田啓人さんに話を聞いてみた。
聞き手:笠井里香
野鳥撮影に最適なシステム。手持ち撮影に何の不安もない
--写真を撮り始めたきっかけを教えていただけますか?
実は、28歳のときに体調を崩してしまったんです。そのときに、適度な運動をしようと散歩を始めました。でも、ただ散歩するだけというのもつまらないかなと思い、カメラを持つようになったんです。
当時はコンパクトのデジタルカメラだったんですが、三渓園で出会ったカワセミの美しさに一目惚れしてしまって、一眼レフを購入しました。それからはどうやったらカワセミをうまく撮れるのか、自分なりに研究しましたね。
--カワセミをはじめ野鳥を撮るとなると、望遠に強いシステムが有利だと思います。APS-C機に装着した際のEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMはいかがでしたか?
換算160-640mm相当という焦点距離は、野鳥には最適な焦点距離だと思います。もちろん、もっと長ければ長いほどいいのですが、EOS 7D Mark IIとEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの組み合わせは、これまで使ってきたEF400mm F2.8L IS II USMなどの単焦点レンズと比べて、とても軽く、フットワークよく撮影できるので、被写体もより見つけやすくなりますね。
これまで、三脚や、単焦点の望遠レンズなど、機材で10kgを超えるようなことがほとんどだったのですが、この組み合わせなら本当に軽いですし、手持ちで撮影できるので、三脚をセットする時間も不要になり、撮影のチャンスが増えます。
--手ブレ補正が4段分と大幅に向上していますが、撮影時にメリットは感じられましたか?
この手ブレ補正が想像以上によく効くので、正直びっくりしました。ファインダーを覗いていても分かりますが、まだ薄暗い時間帯、昇る朝日をバックに動いている状態のタンチョウを撮影しても、ブレないんです。これはイケると思いましたね。
手ブレ補正は、モード2の流し撮り時を設定していますが、ピタっと止まってくれるので、構図も決めやすいですし、本当に動きモノに強いなという印象です。手持ちでの撮影に、何の不安もないですね。
--回転式ズームに変更になったことによるメリットは感じられましたか?
直進式の場合には、素早くズーミングすることができます。回転式の場合には、微調整がしやすいというメリットがありますが、風景のなかに鳥を入れて撮影したいと思うと、どうしても背景に入って欲しくないものがあったりします。そういったときに、不要なものを避けるための微調整が必要になるのですが、回転式ではそういった場面でとても便利です。
--最短撮影距離が前モデルに比べ、0.98mと大幅に短くなっていますが、野鳥撮影の際のメリットは感じられましたか?
野鳥の撮影では、あまりこちらから被写体に寄っていくことはありません。でも、ブラインド(テント)から撮影をしているときなどに、野鳥の方から予想外に近いところに近づいてくることがあります。これまでであれば、近すぎて撮影をあきらめざるを得ない場面でも、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの最短撮影距離0.98mならあきらめなくていい。これはメリットが大きいと思いますね。
単焦点レンズで撮っているかのような高画質
--連写は利用しますか?
連写は、高速連続撮影10コマに設定しています。連写は速ければ速いほどいいです。それから、カメラ側のバッファがどれくらいあるかという部分が気になるのですが、EOS 7D Mark IIはRAW+JPEGラージでも19枚と素晴らしいスペックを有しています。野鳥の瞬間的な動きを、正確なAFで確実に捉えることができます。
野鳥の撮影時には、こちらから無理に近づいていくことはせず、鳥たちにストレスを与えずに、できるだけ自然な姿を撮りたいと思っているのですが、あるとき、アカショウビンがとても近い距離にいたんです。5m前後くらいの距離でした。こちらのシャッター音に反応して、キョロキョロとしたので、静音シャッターに切り替えたのですが、そうすると音に対しての反応はなくなりました。その場その場で必要な機能に切り替えることで、鳥の自然な表情を撮ることができるので、EOS 7D Mark IIとの組み合わせもとてもいいと思いました。
--主に利用するAFモードは何ですか?
ゾーンAFと1点AFをレバーで切り替えて使っています。飛んでいる鳥にはゾーンを、止まっている鳥にはスポット1点を使い、目や顔にピントを合わせたら、親指でフォーカスロックをして構図をずらします。AFの速度も速いですし、精度も高いと思いますね。
AIサーボAFも使っています。AFカスタム設定のプリセットは、「Case1:汎用性の高い基本的な設定」で、十分に追従してくれますね。基本の性能が高いんだなということがとてもよく分かります。
--露出モードは何をよく利用しますか?
絞り優先AEに設定しています。小さい鳥が多いのでほぼ絞り開放での撮影でも、顔と羽根の部分に大きな距離がありませんから、目にピントがあれば自然に写るんですね。白とびしてしまうと、そこにあるはずの情報は救えないので、必要に応じてマイナス側に補正することはあります。
どうしてもシャッタースピードが稼ぎたいというような場面ではISO感度を上げて対応しています。ISO1600でも十分な画質が得られますし、動きのある瞬間であればISO16000などの超高感度を使うこともあります。そういった瞬間が撮れないよりは、撮れた方がずっといいですから。
--羽根や、目、くちばしなど、それぞれ違う質感の鳥を撮影した際、質感の描写はいかがでしたか?
EF70-200mm F2.8L IS II USMも使っていますが、画質は遜色ないくらいいいと思います。なによりヌケがよく、解像感もありますし、逆光での撮影でもフレアやゴーストは本当に出にくいんですね。羽根の細かい描写も、また鳥の目の輝きや光沢感もしっかりと描写してくれます。
単焦点レンズに比べ、白とびしやすい、ねばりがないなど、ズームレンズに対して少しだけ持っていた不満な部分が、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMにはまったくと言っていいほどなく、単焦点レンズで撮っているかのような錯覚をしてしまうほどです。
エクステンダーEF1.4×IIIを使用することもあるのですが、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMはエクステンダーの利用まで考えて設計されているのか、とても画質がいいんですね。もちろん、エクステンダーを利用する際には三脚を使用した方がいい結果が得られますが、それでもこの画質なら十分だと思います。
これまで、野鳥の撮影を機材が重くて諦めてしまった人や、単焦点望遠レンズには価格的に手が届かないと諦めてしまった人にも、EOS 7D Mark IIとEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの組み合わせで、ぜひこの世界の入口に立ってもらいたいですね。たくさんの人に、野鳥を見て欲しいですから。
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福田啓人さんの主なEOS 7D Mark II設定例
設定項目 | 設定内容 |
---|---|
画質(圧縮率) | RAW+JPEG(ラージ) |
ドライブモード | 高速連続撮影 |
AFモード | AIサーボAF |
測距エリア選択モード | 1点、ゾーン、65点 |
AFカスタム設定ガイド機能 | Case1 |
被写体追従特性 | ノーマル |
速度変化に対する追従性 | ノーマル |
測距点乗り移り特性 | ノーマル |
ピクチャースタイル | スタンダード |
高感度時のノイズ低減 | 標準 |
高輝度側・階調優先 | ON |
オートライティングオプティマイザ | OFF |
周辺光量補正 | する |
色収差補正 | する |
歪曲収差補正 | する |
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協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社