インタビュー

障害物を避けるドローン、DJI「Phantom 4」について聞く

あらゆる点をブラッシュアップ 静止画メインのフォトグラファーにも

Phantom 4を持つKevin On氏

DJI JAPANが発表した新型ドローン「Phantom 4」。被写体の自動追尾機能を搭載するなど、高機能化した新しいドローンについて、DJIのAssociate Director of CommunicationsであるKevin On氏に話を聞いた。

――Phantom 4の特徴を教えて下さい。

Phantom 4の特徴は「5つの目」にあります。前方に2つ、下方に2つ、そして撮影用カメラ自体の5つが、すべてセンシング機能を備えています。前方の2つは正面の3次元情報を取得して衝突防止、回避機能を提供。撮影用カメラも衝突回避に利用されます。下方の2つは地面の3次元情報を取得してGPSがなくても安定した飛行が可能になります。

Phantom 4

衝突回避機能は15m先でまず障害物を検出して減速し、回避ができないと判断した場合は1.8〜2.3m手前でホバリング状態になります。

この機能には「機械学習」を利用しています。我々は機械学習はとても重視しています。

――ハードウェアの変更点はほかにありますか。

底部の一部をマグネシウムにして、軽量化と強度の向上を図りました。バッテリーの改善によって5分間の飛行時間が延長されましたが、重量はやや増えました。

大型化したバッテリー

内部のプロセッサも増やしています。インテリジェントなセンシングによって得られた情報をから、機械学習をベースにした機能を実現するには、さらなる「ブレインパワー」が必要だったからです。

もう1つ重要な点はジンバルの変更です。従来の形状からU字型のフレームに改良しました。これによってカメラがとても安定するようになりました。重心の改良による運動性能の向上なども実現しています。

外観はよく似ていますが、従来のつや消しのデザインから光沢のある塗装に変更しました。また、今まで赤やゴールドのラインが入っていたのがなくなりました。これは、よりミニマムでシンプルなデザインにするためです。

――今までProfessionalモデルなどの違いでラインカラーが変わっていましたが。

現時点で、Phantom 4にProfessionalモデルなどのバリエーションを追加する予定はありません。このPhantom 4にフォーカスしています。

Phantom 3 Standard。赤いラインが入っていた。

――機械学習の成果など、ソフトウェア部分の改良をほかのモデルに流用する予定などはありますか?

今回のファームウェアはPhantom 4のために作ったもので、ほかのモデルには適用できません。ハードウェアとの連携が必要な機能があり、ほかのモデルにはそうしたハードウェアが搭載されていないからです。

Phantom 4にはオートトラッキング機能がありますが、例えばPhantom 3にはGPSを使ったFollow Me機能があります。位置情報を元に、その場所を自動で撮影する機能ですが、この場合、被写体が移動すると追跡できません。Phantom 4では、被写体の形状を検出するので、被写体が移動しても追尾できます。

こうしたセンシングの機能などは、デベロッパープラットフォームのMATRICE 100のオプションとして提供しており、これまで十分にテストしてきたものを、Phantomに採用しました。

――現状の日本のユーザー数を教えて下さい。

我々は国ごとのユーザー数は公表していません。グローバルでは毎年3〜5倍の割合でユーザー数が伸びています。日本は非常に重要な市場です。こういったプレスカンファレンスを開催すると100人規模のメディアが集まります。ニューヨークで開催したときもプレスの参加は120人ぐらいだったので、日本のメディアの注目度は高いと思いますし、我々も重視しています。第三者機関による2016年2月の調査では、世界シェアでDJIは70%を維持しています。

――カメラ部分の新しい機能を教えて下さい。

レンズが新しくなって色収差が抑えられるなど、高画質化しています。ハードウェアよりもソフトウェアを改良しており、アルゴリズムを改善しました。我々は世界中に1500人の技術者がおり、ソフトウェア部分を重視しています。ハードウェアは簡単に作れますが、ソフトウェアはそうはいきません。

――ドローンは動画撮影が基本ですが、静止画ユーザーにもPhantom 4は有効でしょうか。

我々は飛行に関するソフトウェアだけでなく、動画や静止画のクオリティも重視しています。Phantom 4では、(オートトラッキング機能などの)スマート機能によって、今まで操縦に必要だった作業を自動で行ってくれます。

これまで、障害物の見張り役、パイロット、撮影といった役割が必要でしたが、障害物の回避やフレーミングを自動でやってくれるので、本来の写真の撮影に集中できるようになりました。

――市場には小さくて廉価なドローンも出ていますが。

小型のドローンはカメラがなかったりおもちゃだったりします。我々はプロシューマ、プロフェッショナルにフォーカスしています。画質や飛行能力などを重視しており、カテゴリが違うと考えています。

小山安博