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DJI「Phantom 4」発表 自分で障害物を避けるドローン

2つのカメラで被写体を追尾 超音波センサーによる地形認識も

DJI JAPANは3日、クアッドコプター(ドローン)の新製品として「Phantom 4」を発表した。プロフェッショナルからハイアマチュアなどをターゲットとしたPhantomシリーズの最新作で、障害物検知システムやアクティブトラックなどの新機能を追加し、より簡単に操縦できるようにした。

直販サイトでは3月15日から順次出荷が開始される。直販価格は税込18万9,000円。

DJIは今年10周年
これまでのPhantomシリーズ。これは発表会が始まる前の写真。

Phantomシリーズは、DJIの主力ドローン製品として世代を重ね、デザインとしては従来のスタイルを継続しながら、全体的に突起部を減らして流線形を強調することで、より空気抵抗を減らしたほか、本体底部の一部にマグネシウム素材を採用して軽量化を図った。

Phantom 3との比較。全体的にスリムになった
Phantom 4
本体底部。グレーの部分がマグネシウム素材

前部には2つのカメラを配置し、進行方向の3次元情報をリアルタイムで計測することで、障害物を検知することが可能になった。障害物を検知すると自動で回避行動を取り、回避できない場合は障害物手前で停止してホバリングする。自動で離陸地点に戻る「帰還(Return to Home)」機能でも動作し、障害物を回避しながら自動で帰還できる。

前部の2つのカメラで障害物を認識、回避する。
帰還機能(RTH)でも活用される。

本体底部にも2つのカメラと2つの超音波センサーを配置。この4つを使って3次元の地面情報を取得することが可能。従来に比べて5倍の精度となり、さらに地面を計測できる飛行高度が3mから10mまで拡大。より安定した飛行が可能になるという。慣性計測ユニット(IMU)、コンパスはともに二重化して冗長化させて制御することで、信頼性も向上した。

高度10mまでなら、地表の3次元情報を取得して安定飛行を行うことができる

ジンバルのデザインが変更され、カメラを一脚で支える形式ではなく、両側からカメラを挟み込むようなデザインになり、振動吸収や姿勢保持の性能が向上しながら、よりコンパクトになった。従来は高速飛行時に本体が傾くとプロペラがカメラに写り込んでいたが、これが写り込まない位置にジンバルの場所が移動した。

ジンバルの形状が変更され、よりコンパクトになった。
搭載されているカメラ。

カメラは4K・30fpsに加えて、1080pで最高120fpsでのハイスピード撮影に対応。色収差を抑えるなどの画質向上も図られているという。

さらにカメラに写った被写体を認識するアクティブトラック機能を搭載した。タブレットなどの画面内に写った被写体を選択するとそれが人物か自動車か動物か、といった認識を行い、その指定した被写体を追尾することができる。被写体の向きが変わるなどしても追尾し続け、操作をしなくても常に被写体を撮影し続けられる。このアクティブトラック機能は、機械学習による人工知能が処理を行い、GPSがなくても常に追尾できるそうだ。

メインカメラを使ったアクティブトラック機能。
範囲選択して被写体を指定すると、その被写体を認識して追尾してくれる。「Go」にタッチすると追跡を開始する。

これを利用することで、移動する被写体を自動的に撮影することができることに加え、被写体の周囲を旋回しながら撮影することも、Phantom 4が自動で行ってくれるようになった。

2人の人が並んでいる状態で、左側の人物だけを認識している。
被写体の周囲を旋回しながら撮影できる。

モーターの効率化や消費電力管理の改善、新しいバッテリーの採用などで飛行時間も約28分まで拡大。プロペラを押し込んで半回転させるだけで装着・脱着が可能な新機構を採用して、素早いプロペラの取り付けが可能になった。

新しいバッテリー。
新構造のプロペラ。

本体価格には対物・対人保険が含まれているが、さらに本体破損などを保証する「DJI Care」サービスも今後開始する予定。

Phantom 4のカメラは有効画素数1,200万画素1/2.3型センサーを搭載。レンズは8枚構成で35mm判換算20mm相当F2.8。ISO感度は静止画でISO100〜1600、動画でISO100〜3200、シャッタースピードは8秒〜1/8,000秒、連写は3/5/7枚、オート露出ブラケット、タイムラプス、HDR撮影も可能。動画は4K・24/25/30fps、フルHD・24/25/30/48/50/60/120fpsでの撮影に対応。記録フォーマットはJPEG/DNG(静止画)、MP4/MOV(動画)。記録メディアはmicroSDカードとなっている。

Phantom 4のスペック。

新製品の発表会で同社の代表取締役である呉稲氏は、同社のドローン用アプリを使って撮影された写真が、2015年1年間で7,000万枚に達し、1日19万枚の写真が撮影された、と紹介。年間の総飛行距離は2,000万kmを超え、地球約500周にも及ぶ距離の飛行が行われていたとアピールし、各方面でドローンが使われるようになったことで、「ドローンがインフラの1つになりつつある」と話す。

同社代表取締役である呉稲氏。

発表会のゲストには、22台のドローンを所有しているという「ドローン・エバンジェリスト」日本マイクロソフト業務執行役員の西脇資哲氏と、ドローンを表現方法の1つとして活用しているORSOの坂本義親社長が登壇。

西脇氏は、「被写体を追いかけて撮影する」ことがドローンは非常に難しく、それを自動で行ってくれるPhantom 4への期待を口にし、坂本氏は2年間で1700フライト80時間を撮影した操縦訓練がほとんどいらなくなるのでは、と、操縦が簡単になることを強調。「感動体験」と表現した。

左からORSOの坂本義親社長、日本マイクロソフト業務執行役員の西脇資哲氏、DJI代表取締役の呉稲氏。

西脇氏も坂本氏も、人の目線と航空写真の中間の高さに位置するドローンからの映像が全く異なり、「新しい発見がある」(坂本氏)点を紹介し、ドローンによる映像や写真がさらに増えることを期待する。

呉氏は、今後ユーザー数を1万人規模まで拡大させていきたい考えを示し、そのための訓練プログラムも提供していく。昨年12月の航空法改正でドローン飛行ルールが定められ、期待の登録プログラムが開始されたことで、市場は活性化するとみており、今後も継続して製品とサポートを提供していくことを強調した。

(小山安博)