写真展

写真展「WILD-Animals in Contemporary Photography」

(プラザ・ギャラリー)

©Andrei Liankevich

野生動物や野生化した動物の写真をテーマにしているわけでもないのに、動物写真の現代アート展のタイトルを「野生」と銘打っているのは、純粋な皮肉として受け取ってもらいたい。我々人間は理性を持ち言葉を理解するという点で動物とは異なるが、この展覧会タイトルは、本能に従うこと、飼いならされていないことをほのめかしている。

展覧会自体は近年の展開に焦点をあてている。本展覧会で紹介する12 名のアーティストによる16点の写真作品は、近景から遠景、身近な仲間としての動物から物質利用の対象としての動物まで、あらゆる様相を視覚的に映し出す。例えば、剥製にされて博物館に展示されている動物、ペットやぬいぐるみ、牧場の家畜、古典の静物画の「ヴァニタス」の題材として描かれる動物の死骸など。これらを見れば、大昔の関心事が現在にいたるまで表現され続けており、今日もなお人々を揺さぶる力を持っていることが分かる。写真に見えることは、人間が動物に自分自身を重ね合わせて見ていること動物を勲章か何かのように収集すること、動物を食物と見なすこと、などである。アーティストのアプローチの仕方や表現法は実に多様である。ある者は劇的に演出し、またある者はユーモアと皮肉をまじえて表現している。こうして見ると、現在の動物はどれほど「野生」さを保っているのかを考え直さずにはいられない。恐怖心と感激、共感と恐怖心の狭間で、我々は、人間が母なる自然の巨大なモザイクにおける微小な存在であること、生まれるものと死にゆくもの、食べるものと食べられるものの、永遠の循環の一部であることを再び思い起こすのである。

(写真展情報より)

©Romana Prinoth

©Thorsten Brinkmann

©Vera Mercer

会場・スケジュールなど

  • ・会場:プラザ・ギャラリー
  • ・住所:東京都調布市仙川町1-24-1
  • ・会期:2015年10月3日土曜日~2015年11月1日日曜日
  • ・時間:10時~18時30分
  • ・休廊:水曜日

出展作家

Thorsten Brinkmann 、Franck Christen 、Hubertus Hess 、Kai-Olaf Hesse 、Martin Klimas、Andrei Liankevich 、Carina Linge 、Vera Mercer 、Romana Prinoth、Christian Rothmann 、Alexandra Vogt 、Marc Volk

(本誌:河野知佳)