写真展

下瀬信雄写真展「つきをゆびさす II」

(ニコンサロン)

指月(しがつ・しげつ)は仏教用語で「つきをゆびさす」ことを言う。月という真理を指し示しているのにその指先だけにとらわれると両方を見失うという楞厳経(りょうごんきょう)の教えによる。

私の育った萩には指月(しづき)公園という城跡があり子供の頃からの遊び場だった。萩城は別名「指月山城」(しづきやまじょう)とも呼ばれ、毛利氏の居城だったが明治以後城は取り壊され公園になった。その重箱読みの名前の由来や幾多の変遷を知ったのはずいぶん後のことだ。

「つきをゆびさす」はその「指月」に由来する題名で、指し示す「写真」と指し示そうとする「思い」との関係を模索する中で生まれた。

もっとも私に「指し示す真理」などあろうはずもなく、出来事もごく些細なものでしかない。それでも日常の中にある小さな出来事に光を当てて浮かび上がるエッセイのようなもの、写真でしか表せない表現のようなものを集めて一望してみたいと思っている。

(下瀬信雄)

カラー36点。

展示情報より

会場・スケジュールなど

  • ・会場:銀座ニコンサロン
  • ・住所:東京都中央区銀座7-10-1STRATA GINZA(ストラータ ギンザ)1・2階
  • ・会期:2016年12月7日(水)~12月20日(火)
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

  • ・会場:大阪ニコンサロン
  • ・住所:大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • ・会期:2016年1月19日(木)~1月25日(水)
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1944年新京(満州)生まれ。終戦に伴い山口県萩市に引き揚げる。67年東京綜合写真専門学校を卒業。以後、萩市を拠点に写真雑誌、個展などで作品を発表する。受賞歴に、90年日本写真協会新人賞(写真集『萩・HAGI』)、05年第30回伊奈信男賞(写真展「結界V」)、15年第34回土門 賞(写真集『結界』(平凡社))、杉道助記念・萩市芸術文化奨励賞、山口県選奨などがある。作品はプリンストン大学(米国)、山口県立美術館などに収蔵されている。