写真展
幕末・明治の肖像写真「海を渡った侍たち」
(JCIIフォトサロン)
2016年7月25日 17:00
嘉永6年(1853)とその翌年に、黒船を率いた日本遠征艦隊司令官ペリー提督が開国を求め来航したことから、鎖国政策を続けてきた日本は嘉永7年(1854)、ついに日米和親条約を締結し、200年余りも続いた鎖国の扉を開けました。次いで安政5年(1858)の日米修好通商条約締結後、本格的に外国船が来航するようになると、幕府は条約の批准や改正交渉のため、欧米へ使節団を派遣するようになりました。
開国後初の公式訪問団である万延元年(1860)の遣米使節団をはじめ、文久元年(1861)の第1回遣欧使節団(フランス、イギリス、オランダ、ドイツ、ロシア、ポルトガル)、文久3年(1864)の第2回遣欧使節団(フランス)、文久2年(1863)に派遣されたオランダ留学生、慶応3年(1867)に幕府が最初で最後に参加したパリ万国博覧会へ派遣された、徳川昭武率いる使節団、幕府から政権が代わり、新政府が不平等条約改正や国書の提出と留学生派遣のために送った明治4年(1871)の岩倉使節団(アメリカ、ヨーロッパ諸国)のメンバーらが当時現地で撮影された、貴重な写真が多数残されています。
メンバーそれぞれに使命は違いますが、丁髷に袴、大小の刀を脇に差したいでたちの彼らは、各国では異様な姿に写ったようで、海を渡った侍たちの姿は、新聞の挿絵になるほど話題となりました。彼らの挿絵が載った当時の新聞も、会場で写真とともに展示いたします。
遣米使節団の随行船・咸臨丸の艦長として使節に随行した勝海舟、遣米使節と第1回遣欧使節に随行した福沢諭吉、オランダに留学した榎本武揚、岩倉具視率いる使節団に随行した木戸孝允、伊藤博文、大久保利通など、幕末・明治維新の動乱期に海を渡って新たな文化を肌で感じ、明治維新では近代化に大きく貢献した者も多い使節たちの姿は、みなエネルギーにあふれ凛々しい表情をしています。
また、津田塾大学の前身である女子英学塾を創設した津田梅子を含む、岩倉使節団に随行した5名の女子留学生たちや、パリ万博内の日本茶屋で人気を博した三人の柳橋芸者など、当時としては非常に珍しく海外へ渡航できた女性たちの姿もご覧いただきます。
会場・スケジュールなど
- ・会場:JCIIフォトサロン
- ・住所:東京都千代田区一番町25番地JCIIビル
- ・会期:2016年8月2日(火)〜8月28日(日)
- ・時間:10時〜17時
- ・休館:月曜日
- ・入場:無料
石黒敬章・井桜直美 トークショー「海を渡った侍たち」を語る
石黒敬章
昭和16年(1941)生まれ。昭和41年(1966)に「石黒コレクション保存会」設立。古写真を中心に、骨董品などに関する著書を多数執筆し、展覧会の企画も行なう。主な著書に、『下岡蓮杖写真集』(新潮社、1999年)、『明治・大正・昭和 東京写真大集成』(新潮社、2001年)、『幕末明治の肖像写真』(角川学芸出版、2009年)などがある。日本写真芸術学会評議員。ゆうもあくらぶ事務局長。
井桜直美
平成3年(1991)より幕末、明治、大正期の写真の収集及び研究に没頭。平成5年(1993)古写真を専門に、雑誌に執筆や販売、貸出などを行う「桜堂」を始める。平成12年(2000)『セピア色の肖像』(朝日ソノラマ)を出版。平成16年(2004)より、日本カメラ博物館の古写真研究員として勤務。
【開催概要】
・日時:2016年8月27日(土)14時~16時(開場13時30分)
・定員:100名
・料金:300円