イベント

アルス― 『カメラ』とその周辺―

アルスが刊行した写真雑誌創刊号各種

文芸出版社であったアルスは、アマチュア写真が盛んになった大正期に月刊写真雑誌『カメラ』を創刊しました。芸術写真から新興写真へと表現や使用機材が移る中で、「趣味写真」「好事写真」への穏健な姿勢と多様な記事で多くの読者を得ました。戦時下では1940年末の雑誌統廃合により『写真文化』に巻次を引き継ぎ、1943年には『写真科学』に改編されながら命脈をつなぎました。終戦後はいち早く復刊し、土門拳や木村伊兵衛が月例審査を担当するなど「リアリズム写真運動」の舞台にもなりました。やがて起った趣味写真のブームによって、写真雑誌が次々と創刊して激しい競争となり、1956年8月に休刊しました。『カメラ』とその周辺を追うと、高桑勝雄、鈴木八郎、勝田康雄、北野邦雄、伊藤逸平、桑原甲子雄、藤川敏行、永井嘉一など、日本の写真界を牽引した写真ジャーナリストを多数輩出していたことに気づかされます。またアルスは『芸術写真研究』、『月刊ライカ』、『カメラクラブ』など、幅広い層に向けた各種の写真雑誌や講座集、単行本など多数の写真書刊行に加え、写真用品や薬品、そして写真機材の開発や販売までも手掛けて、日本の写真文化形成に極めて大きな役割を果たしました。

本展示では大衆アマチュア写真の文化が花開いた大正時代から戦中、戦後を経て、日本製カメラが世界に向けて飛躍を遂げつつあった昭和30年代までの約40年間に、日本の写真文化形成に極めて大きな役割を果たした出版社アルスの写真分野について、写真雑誌『カメラ』を中心に実誌や関連資料を交えて展示・紹介いたします。

(イベント情報より)

イベント名

アルス― 『カメラ』とその周辺―

開催期間

2015年12月1日火曜日~2015年12月24日木曜日

会場

JCII クラブ25(東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル地下1階)

開館時間

10時~17時

休館日

期間中無休

料金

無料

(本誌:河野知佳)