イベント告知
糸崎公朗展「フォトモの世界」
(EMON PHOTO GALLERY)
2017年4月18日 12:52
フォトモは平面である事が前提とされる写真を立体化した作品だが、これを再び平面に押し戻したのが今回メインとなる展示作品である。これは96~04年に雑誌『散歩の達人』に連載していた版下原稿として製作したものだ。フォトモを最初に発表したのは93年、池袋西武百貨店内のアトリエヌーボーという小スペースだった。この時、同じ池袋の東武百貨店では葛飾北斎展が開催され、そこで北斎作のフォトモにそっくりな立体作品が展示してあり仰天した。それは立版古という江戸時代のペーパークラフトで、パーツが並んだ木版画を切り抜いて組み立てると、浮世絵の世界が立体的なミニチュアとなって出来上がる。私は隔世的に優良な遺伝子を受け継いだことを確信した、と同時に直接的にも影響を受け、フォトモのパーツをバラバラに分解し平面にレイアウトした版下原稿を『散歩の達人』編集部に持ち込んだ。この連載原稿は全てフィルムからのプリントを手作業で精密に切り貼りしている。今はすべての作業がパソコンに置き換わり、文字通り「失われた技術」になった。この作品の一部は14年に東京都写真美術館に収蔵され、17年のコレクション展に出品された。この時同じ出品者の写真家山本糾氏は、私の作品に対し驚きをもって「キチガイだ」と評してくれた。思えば私は写真というものの外部に出ることで、写真そのものの根本を捉え直そうとしていたのである。
開催概要
開催期間
2017年4月21日(金)~5月20日(土)
開館時間
11時~19時(土曜は18時まで)
日祝日閉館
会場
EMON PHOTO GALLERY
東京都港区南麻布5-11-12 togoビルB1F
ワークショップ
開催日
2017年5月13日(土)
時間
11時~17時
参加費
3,000円
定員
10名
参加希望者の連絡先
emon_photogallery@emoninc.com
プロフィール
長野県生まれ。東京造形大学卒業。写真を立体構成した「フォトモ」の他、様々な写真技法による作品を発表。個展他ワークショップ、雑誌連載など多方面に活動する。