デジタルカメラマガジン

写真学科で本当に使われる「写真の教科書」出ました

撮影技術、カメラの仕組み、有名作品を学べる1冊 書店でも買えます!

インプレスのデジタルカメラマガジン編集部より、書籍「さあ、写真をはじめよう『写真の教科書』写真を本格的に学びたい人のための基礎と演習」(1,900円+税)が発売されました。

さぁ、写真をはじめよう 写真の教科書

この「写真の教科書」の最大のポイントは、実際に大学の講義で使われる教科書だということ。東京工芸大学芸術学部の写真学科1年生が、「写真制作 I」の演習科目で2016年4月から実際に使用します。付録として簡易的なカラーチャートが付いているのも面白いです。

デジカメWatchとデジタルカメラマガジンは同じインプレスのカメラ系媒体で、なにより編集部が隣同士なので、企画の経緯についてデジタルカメラマガジンの編集長に話を聞いてきました。

教授達が欲しかった新しい教科書

――どんな経緯で企画がスタートしたのですか?
デジタルカメラマガジンの本誌でお世話になっている大和田良さんから、「最近の学生はデジタルのことも勉強したくて来ているのに、授業で使う教科書はデジタルカメラ登場以前のものを買っている」という話を聞きました。

大和田さんは非常勤講師として写真学科1年生の講義を担当していますが、教授達はみんな古い教科書で教えることに苦慮していて、学生からも「この内容でいいんですか?」という声があったそうです。スクリーンに映すスライドを教授達がその都度作ったりもしていたそうですが、やはりまとまったものを作りたいという思いがあり、今回「写真の教科書」を企画するに至りました。

編集部としては、完全に大学用のテキストを制作するというよりも、ベーシックな解説書として市販もしたほうが面白いと考えました。その際に東京工芸大学の名前を使わせてもらうことなど相談すべき事項がいくつかあったのですが、大学側の協力もあって、とてもいい方向で進めることができました。

内容は教授6名の共同執筆で、実際のカリキュラムに沿って構成することにしました。普通は市販の本を作る場合、編集部側からも「この項目を入れたほうが…」などのリクエストが入るものですが、今回はほぼすべてを大和田さんにまとめ役として担当してもらいました。

――この教科書の特徴はどんなところですか?
以前に教科書として使われていたものは、昭和の時代に制作されたもので、かなり文字が多いにように感じました。今は活字を読むのが得意な人ばかりではないので、写真とキャプションを見ていけばわかるように組み立てて、文字数を極力減らそうというのが基本コンセプトです。そのため128ページの本にしては写真点数がとても多いはずです。そこが特徴的ですね。

RAW現像とデジタルプリントの項では、写真で各操作に対する効果を見られる

カメラや写真に関する初心者向けの書籍はたくさんありますが、多くは“対処療法”だと思うんです。もちろん即効性があるし、編集部でもそうした書籍をいくつも作ってはいますが、それとは別の軸として、ベーシックなところからカメラや写真の知識や歴史を知りたいと思っている人がいるはずです。むしろ、そうした書籍が今の時代に求められているのではないかと考えました。

新しい教科書を作るにあたっては、“教科書然”とせず、市販の書籍のような体裁にしたいという希望が教授達にありました。なので、カメラの月刊誌や解説書を作っているデジタルカメラマガジン編集部に教科書の制作打診があったのだと思います。教授6名の教科書を作ることに対する熱い思いによって、いい教科書ができたと思っています。

レンズの仕組み、F値の仕組みなど、原理を理解できるのも「教科書」らしさ

――作品研究が載っているのも珍しいと思いました。
国内、海外を問わず、著名な写真家とその手法(スタイル)を知っておくことはとても大事だと思います。「写真の教科書」のベースにある、写真の基礎的な知識や技術を下地に、そこから写真家がどのようにして個性を生み出したのかを学べると思います。デジタル時代なので下地(基礎知識)がなくてもシャッターボタンを押せば写真を撮ることができるでしょうが、やはり下地は大事ですよ、と伝えたかったんです。

各テーマごとに「作品研究」のページを用意

――今回の教科書は、10年使えることを目指したそうですね。
デジタルの技術進歩は加速度的で、10年後の写真やカメラの形は誰もわからないけれど、コンセプトとしてはそれを目指しました。改訂する部分は出てくるかもしれませんが、それでも「絞りとシャッタースピードが露出であること」「ピントをどのように合わせるのか」といった基礎中の基礎は、Lytroのようなカメラが出てきたとしても変わらないはずです。今の時代にあって、フィルム現像についても記述されていることも、カメラのHow to本とは一線を画す部分かもしれませんね。

いずれにしても、今回の「写真の教科書」は大和田さんをはじめ、6名の講師たちが自分たちの教科書を作りたいという熱い思いが結実したものです。はっきり言えば、私は何もしていません(笑)。これから写真をはじめてみたい人、デジタルカメラから写真をはじめたけど基礎をしっかりと学びたい人、写真学校に行ってみたいけど働いていたり、主婦であったりする人、そんな真面目に写真を向き合ってみたい人に読んでほしい書籍です。

本書の中身を一部公開!

ライティングパターンについて。光の方向、光源の高さ、レフ板の効果など
光の「硬い」「柔らかい」、トレーシングペーパーを使ったディフューズ
フィルムの扱い方から、手現像、引き伸ばし、スポッティングまでの基礎解説
「焼き込みと覆い焼き」は、銀塩・デジタルともに手順をカバー
後半は基礎知識。「露光の仕組み」では、今さら聞けない露出計の仕組みを解説。単体露出計も扱う
シャッター速度による描写の変化と、カメラの構え方、三脚の使い方
AFモード、レンズ補正、手ブレ補正、ストロボなどの機能解説も収録
デジタル完全対応の教科書なので、もちろんカラーマネジメントの仕組みと方法もカバー

付録は「カラーチャート」

本書にはカラーチャートが付属しています(使い方は、本書の中に)。本から切り取って、裏に厚紙などを貼って光を通さないようにして使います。あくまで簡易的なものだそうですが、本書と一緒に持ち歩いていれば、イザという時に便利に使えるでしょう。

付録のカラーチャート。電子書籍版には付属しません
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写真の教科書

(本誌:鈴木誠)