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全天球ボール型カメラ「Panono」の撮影イベントが開催

滋賀県の高校ブラスバンド部が日本初の被写体に

 独Panono(パノノ)がクラウドファンディングで資金を集め、開発を進めていた全天球ボール型カメラ「Panono」が今年9月に発売される。9万ドルの資金調達を目指していたが、今年1月にこれを達成し、正式な発売にこぎつけた。今回、開発中のプロトタイプを使った撮影会が滋賀県で行なわれた。

全天球ボール型カメラのPanono。これはモックだが、実際のデザインはこの形になるそうだ。シャッターボタンやUSB端子などが追加されるそうだ。耐衝撃、防滴性能も備えている

 Panonoは、球形のボディに36個のカメラを内蔵し、全天球の画像を撮影できる。撮影結果はRICOH THETAと同様だが、頭上に放り投げてそこで撮影することで、上空から見下ろすような写真が撮影可能。36個のカメラから得られた画像を合成することで、1億8,000万画素という高画素の画像が生成される。

左が製品版、右がプロトタイプ。プロトタイプは画素数が7,200万画素だが、製品版では1億8,000万画素になるそうだ
プロトタイプなので大ぶりのボディとなり見た目もあまり良くないが、36個のカメラが搭載され、それぞれが撮影した1枚1枚の写真を、独自のアルゴリズムで全天球の画像に合成する

 ボールを投げると、加速度センサーで最高到達点に達する時間を計測し、その最高点で撮影するという。一定時間後に撮影することもでき、手に持って掲げた状態や、三脚に装着して撮影する、といったことも可能。スマートフォンアプリからリモートでシャッターを切ることもできる。

 製品版では、無線LAN、Bluetooth、USB端子を内蔵しており、撮影した画像は、iOS/Androidアプリに転送できる。同社のWebサイトにアップロードすることで、360度の全天球画像をWebブラウザで閲覧することも可能だ。

 発売は9月で、599ドルの予定。現在は先行予約を開始しており、先行予約特典として549ドルで購入できる。日本への発送にも対応しているが、現時点での国内発送するためにはメールで予約を行わなければならない。今後、Webサイトで購入できるようにしていく、という。

世界で1台のPanonoで、ブラスバンド部を記念撮影

 今回、「世界で1台」というPanonoのプロトタイプを使った撮影が、滋賀県立甲西高校で行なわれた。これは同社がTwitterで行ったキャンペーンに、同校の藤井京介教諭が応募して実現したもので、顧問を務める同校吹奏楽部を撮影する、という形だった。

今回の撮影会のために来日したPanonoのSarah Schulze Darup氏(左)。右は藤井教諭

 吹奏楽部の高校生たちは、「ボールを投げて撮影する」という独特の撮影会に興味津々で、明るくポーズを取ったり、吹奏楽部らしく演奏しているシーンを撮影したりと、楽しく撮影を体験した。

撮影の様子。このようにボールを上空に放り投げて撮影。撮影できたかどうかは、電子音で分かるようになっていた
校内にいた他の部の生徒を集めたり…
ブラスバンド部ということで、演奏中の記念撮影も。撮影は終始、和気あいあいと進んだ

 当日撮影された写真の一部がこちら。上空のPanonoから、360度の画角をカバーしているのがわかる。

(小山安博)