エプソン、「カラリオ」2011年秋冬モデル発表会

~年末商戦はシェア51%でトップを目指す

 エプソンは31日、インクジェット複合機「カラリオ」シリーズの2011年秋冬モデル発表会を開催した。ここでは発表会の模様をお伝えする。

カラリオ2011年秋冬モデル会場の様子

 発表会に登場したイメージキャラクターの役所広司さんと、ビデオレターで参加した黒木メイサさんについては役所広司さんが2011年秋冬モデル発表会に登場で紹介している。

 なお、各機種の詳細は記事末の関連記事を参照されたい。

「PX-7Vは記憶に残るプリントが残せる」

 A3ノビ対応プリンター「PX-7V」(9月15日発売。店頭予想価格6万円代後半の見込み、以下同)は、写真愛好家向けの「プロセレクション」シリーズの新製品。「PX-G5300」の後継に当たり、現行モデル「PX-5V」の下位に位置する。

PX-7V

 内部の機構はPX-G5300をベースに、新たに「ブルーインク」を搭載。新設した色補正モードの「ポジフィルム調」と合わせて、深みのある青が表現できるとする。製品を紹介したセイコーエプソン業務執行役員 情報画像事業本部長の奥村資紀氏は、「記憶に残りやすいプリントが得られる」と説明した。

ブルーインクの採用で色域が広くなったとするマットブラック(MB)インクとの排他切替えでブルー(BL)インクを選択できる
新色補正「ポジフィルム調」搭載PX-7Vのプリントサンプル。左からマットブラック使用のEPSON基準色、ブルーインク使用のEPSON基準色、ブルーインク使用のポジフィルム調。ボジフィルム調では、海、空の青や田の緑などがより高彩度に表現されているのがわかる
操作ボタン。有線/無線LANも標準搭載する内部
カメラ誌掲載の作品のうち、約7割がエプソン製プリンターというPX-5Vと同様に、さまざまなカメラを使用している写真家によるプロモーションを行なう
体験イベント「それいけ! 写真隊」は今後、米子、松本、甲府、高知を回る
純正の最上位用紙「クリスピア<高光沢>」にA2サイズが加わった。発売は9月15日。

内蔵コンテンツを2.5倍に増やした「宛名達人」

 “宛名達人”の名称をもつキーボード付きコンパクトフォトプリンター「E-820」(9月15日発売。5万円台中盤)は、新たに内蔵テンプレートを従来機の2.5倍となる1,055種類収録した。幅広い年齢層に対応するテンプレートになっているという。

E-820テンプレートを大幅に増やした

 「E-350」(9月15日発売。1万円台後半)は、メモリーカードを挿入して画像を選ぶだけでプリントできるという簡単操作のコンパクトフォトプリンター。従来よりも、さらに外装の着色部分を増やした。

E-350

使い勝手を向上させた複合機

 奥村氏はカラリオ複合機の新モデルを「いたれり、つくせりなプリンター」と表現。簡単、快適、キレイ、スタイリッシュといった世界がユーザーの周りに広がるイメージだとした。新製品では、それぞれについてユーザの声を反映させたという。

セイコーエプソン業務執行役員 情報画像事業本部長の奥村資紀氏
新機種のラインナップ「いたれり、つくせり」が今回のキーワード

 簡単操作を実現するための「先読みガイド」、快適に使うための「原稿取りわすれ警告機能」や「自動用紙サイズチェック機能」などを新たに搭載した。無線LAN設定も、ケーブル接続不要でより簡単になったとしている。また、環境への配慮として、自動電源OFF機能も搭載した。なお、搭載する機能は機種により異なる。

新モデルの訴求ポイント原稿の取り忘れを音で知らせる機能を追加
操作をより簡単にする「先読みガイド」
印刷前に用紙サイズを自動でチェック素用になった無線LANのセットアップも簡単になった
自動電源OFF機能

 モバイル端末やクラウドを活用したプリント機能「スマートフォンプリント」も今回から拡充させた。メールプリント、Epson iPrint、AirPrint、Google Cloud Printの4つに対応することで、使い勝手を高めた。

「スマートフォンプリント」の概要スマートフォンプリントの1つ「メールプリント」
スマートフォンプリントの提供開始時期各サービスの対応機種
会場ではiPadからプリントするデモを行なっていた

・EP-904F/A

 カラリオシリーズ複合機のフラッグシップモデル。FAX機能付きの「EP-904F」(9月15日発売。4万円台中盤)と、FAX機能を省略した「EP-904A」(同、4万円前後)を用意する。外装の仕上げを変更し、より高級感を演出した。

EP-904FEP-904A
外装をリニューアルしている

・EP-804A/AW/AR(9月15日発売。3万円前後)

 カラリオシリーズ複合機の主力モデル。新色のレッド「EP-804AR」を追加。デジタルカメラやノートパソコンで多く使われていることから、外装に赤色を採用したという。前モデルはブラックとホワイトの2色展開で、比率はほぼ同数が売れていたとする。ただホワイトを選んだユーザーは、カラーやデザインに対する関心が高い人だったという。

レッドブラック
ホワイトインテリアに合わせて3色から選べるとしている

・そのほかの複合機

EP-774A(9月15日発売。2万円台中盤)。6色インクのスタンダードモデル。先読みガイド、うっかり防止アラート、原稿置き忘れ通知などを搭載EP-704A(9月8日発売。1万円台後半)。6色インクのベーシックモデル。先読みガイドなどを省略することで価格を抑えた
PX-434A(11月中旬発売。1万円台後半)。無線LAN機能を搭載した4色モデルPX-404A(11月中旬発売。1万円前後)。無線LAN機能などを省いたモデル
PX-434AおよびPX-404Aは、従来に比べて小型化を実現した小型化のために、メインボードのダウンサイズや内部レイアウトの見直しなどを行なっている
新開発のエンジンにより環境にも優しいとする

年末はトップシェアを目指す

 販売戦略については、エプソン販売代表取締役社長の平野清一氏が説明した。

エプソン販売代表取締役社長の平野清一氏年末商戦ではトップシェアを目指す

 年末商戦のシェア目標については、インクジェットプリンターで51%、キーボード付きプリンターも51%でともにトップシェアを目指す。「強気と思われるかも知れないが、今年は例年以上にラインナップを揃えた。エプソンが市場を牽引していくという意気込みでこの数字にした」(平野氏)。

東日本大震災で落ち込んでいた販売台数は、6月から前年比プラスに転じた2011年度のインクジェットプリンター市場は、通期で前年比4%増を見込む
2010年モデルで白いボディを選んだユーザーは、デザインやカラーを購入の動機としている割合が高いEP-804Aの色別構成比の想定。レッドが3割を占めると見ている
スマートフォン市場の急速な拡大に対応して、スマートフォンとの親和性をアピールする。新たに“スマートフォンプリント”のロゴも作成したメールプリントは女性の活用および購入意向度が高いことから、女性層をメインに訴求する
メールプリントの想定用途キーボード付きフォトプリンターの市場も伸びているという
“写真のハガキで会いましょう”をキーワードにした「絆」プロモーションも新たに展開する
イメージキャラクターには、引き続き役所広司さんと黒木メイサさんを起用した会場には役所広司さん(中央)が駆けつけた

“マイクロピエゾテクノロジー”のメリット

 同社がプリンターで採用している「マイクロピエゾテクノロジー」に関する紹介もあった。説明を行なったのは、セイコーエプソン常務取締役 情報機器事業セグメント担当の羽片忠明氏。

セイコーエプソン常務取締役 情報機器事業セグメント担当の羽片忠明氏

「エプソンはプリンティングの世界を変えていくために、マイクロピエゾテクノロジーを核に独自技術を磨き続ける」(羽片氏)とした。

独自のマイクロピエゾテクノロジーで、プリンティングの世界を変えていくとする他社が採用するサーマル/バブルジェット方式との違い
ピエゾ素子でインクを突出する原理プリントヘッドにはノズルが多数並ぶ
マイクロピエゾテクノロジーの特徴と利点



(本誌:武石修)

2011/8/31 19:25