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PEN-Fで学ぶ「モノクロ写真セミナー」レポート

モノクロ撮影の視点、PEN-Fのモノクロ機能とは

熊切大輔さん。EIZOモニターにPEN-Fでのモノクロ撮影例を示しながらレクチャーした

5月15日(日)まで東京・代官山のヒルサイドフォーラムで開催されている写真展「マグナム・ファースト日本展」において、オリンパスのミラーレスカメラ「OLYMPUS PEN-F」を題材としたデジタルで撮るモノクロ写真セミナーが5月8日(日)に行われた。講師は熊切大輔さん。

マグナム・ファースト日本展は、マグナム・フォトが60年前に初めて開催した写真展のオリジナルプリント83点が日本初上陸している展示で、ギャラリートークやイベントも併催。熊切さんのPEN-Fモノクロセミナーには、参加者のほかに展示作品を鑑賞したあとで足を止める来場者の姿もあった。

情報量の少なさが魅力

デジタル時代におけるモノクロ写真の魅力を、情報量が少なく「語りすぎない、見せすぎない」点と語る熊切さん。モノクロは作品を見る側にも「行間を読む面白さ」があると説明した。

PEN-Fの内蔵モノクロ機能は、銀塩モノクロ写真においてフィルム現像やプリントの作業で仕上がりを変えるような絵作りを、カメラ内の操作で仕上がりイメージを見ながらできるのが特徴。熊切さんにとってPEN-Fはモノクロ専用機のような感覚だという。

OLYMPUS PEN-F

モノクロならではの視点も、熊切さんがセミナーを通じて伝えたポイント。モノクロ作品は単純にカラー写真の色を抜けば成立するものではなく、カラーとモノクロのどちらで撮るかによって、被写体のチョイスや撮影テクニックも変わってくるとのことだった。

PEN-Fで撮影実習。モノクロ撮影の各機能を解説

用意された15台のPEN-F。レンズは17mm F1.8を基本とした

今回の参加者15名のうち、挙手によると銀塩モノクロの経験者は数名。また、このセミナーでの貸し出しで初めてPEN-Fを手にする参加者がほとんどだったことから、まずはオリンパスがPEN-F独自の特徴としてアピールする「モノクロプロファイルコントロール」の使い方について説明があった。

カメラ前面のクリエイティブダイヤル(クラシックカメラのスローダイヤルのような部分)を「MONO」に設定し、背面右手側上部に備わるレバーを左右に倒すと、各種パラメーターのコントロール画面が順番に切り替わる。

モノクロプロファイルコントロールの設定画面を呼び出すレバー

熊切さんはモノクロ撮影のコツとして、「露出を抑えてトーンを活かす」ことを紹介。シルエットが浮かび上がるような印象的な絵作りには、PEN-Fの上面右手側に備わる露出補正ダイヤルが有効に使えると解説した。

また、銀塩モノクロに取り組む方にはお馴染みの「カラーフィルター」の効果も実演。特にオレンジは青空の濃さに影響するため、晴れ模様だったイベント当日のセッティング例として、オレンジフィルターの効果を強める方法が紹介された。トーンカーブをカメラのダイヤルで直接操作できる「ハイライト&シャドウコントロール」は、暗室ワークにおいて印画紙の号数を変えてコントラストを調整する手法に通じる。

出発前には改めて、ひとつの被写体に群がって街の人を驚かせないように配慮することなど、撮影マナーに関するアドバイスがあった。また熊切さんは、右目でファインダーを覗く場合には撮影の瞬間まで左目も少し開けておき、周囲の状況を確認しながら撮影するテクニックがあると紹介した。

撮影実習は約1時間、会場の代官山ヒルサイドフォーラム周辺で行った。いくつかポイントを紹介し、以降は各自の自由行動。熊切さんの言葉を聞き逃すまいと最後まで同行する参加者、早々に集団を離れて自分だけのシーンを狙う参加者、それぞれに撮影を楽しんでいた。

撮影後はセミナー会場に戻り、各参加者が選んだベストショットに対する講評を通じて「モノクロ」という“縛り”や“ハードル”を設ける面白さに言及。また、周囲に抵抗感を与えにくいPEN-Fという小型カメラゆえの特徴も再確認した。

会場スタッフだったオリンパス担当者によると、以前から熊切さんはPEN-Fとそのモノクロ撮影機能について「これは実際に触ってもらわなければ伝わらない」と話していたそうで、今回その魅力を伝える機会が実現した。同社では、今後もこうしたPEN-F関連のイベントを開催予定とのことだった。

参考:OLYMPUS PEN-Fのモノクロ関連記事

(本誌:鈴木誠)