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【CP+2016】カメラと感光材料の歴史に親しむ、日本カメラ博物館コーナー

本邦初公開「1億画素超の4×5判デジタルバック」など

CP+2016の日本カメラ博物館のコーナーでは、特別展「メカニズムからみるカメラの歴史」が開催中。本稿ではその見どころをレポートする。

フォトイメージングエキスポ(PIE)から数えて10年目の参加になるという日本カメラ博物館。今回はCP+中古カメラフェアが併催されることもあり、カメラと感光材料の進化をカメラ・オブスクラの時代からデジタルカメラまで通して見られる展示とした。

ダゲレオタイプカメラ(銀板カメラ)のレプリカ。半蔵門の日本カメラ博物館には本物が常設展示されているが、CP+会場にはそのレプリカを展示している
湿板および乾板用の携帯暗室。たたむとトランク型になる
ソニーマビカ試作機(1981年)。ビデオ技術を応用し、28万画素で2インチFDに記録する。スミソニアン博物館と日本カメラ博物館にしか展示がないという

コダックのDCSは世界初のデジタル一眼レフカメラ。ニコンF3をベースに130万画素のCCDセンサーを組み込んだ。横の外部機器は、ストレージとプレビュー用のモニター。HDDをカメラ背面に取り付けて単体撮影もできたが、その場合は撮影画像のプレビューができなかったという。

ほかの電子スチルビデオカメラでは、こうした大型の電送機と繋いで使ったものもあるが、このカメラにおいては記録とプレビューのためにこれだけの機器を必要とする。シールに書かれた「32MB」とは、バッファメモリーの容量。

コダック プロフェッショナルデジタルスチルカメラDCS(1991年)
ファインダーのマスクが見える。この範囲内が記録された

本邦初公開という、パイオニアが開発した4×5判・1億8,507万画素のスキャンタイプのデジタルバック。4×5判カメラに取り付けて使う。この時代は、こうしてカメラメーカー以外もデジタルカメラの開発に挑戦していたのだという。ピント合わせは撮像面から撮影レンズを通じて被写体にLEDライトを照射し、被写体に映し出された光のピントを見て撮影距離を決めるという仕組み。

パイオニアDF-S2(2001年)
このLEDライトを被写体側に照射してピント合わせを行う

展示されているカメラは、各時代において「初」の要素を含むものが中心。一部カメラはカットモデルも展示し、その仕組みをより見やすくしている。

一例として測光メカニズムについて観察すると、キヤノンF-1はファインダースクリーン部分のコンデンサーレンズで光を分け、背面側に導いて部分測光を実現している。

キヤノンF-1

また、ペンタックスLXとニコンF3では、レフレックスミラーの一部がハーフミラーになっていて、ミラーボックス下部に光を導いて測光する。

ペンタックスLX
ニコンF3

ニコンFは、交換用ファインダーとして「フォトミックファインダー」という露出連動機構を内蔵したものを用意し、カメラ本体と測光のメカニズムを分離していた。

ニコンF(1959年)
ニコンF用フォトミックファインダーのカットモデル。電子的な測光メカニズムと、カニのはさみに連動する前面の機械的な見どころが共存する

各時代・各社がどこにどんな機能を詰め込んだのか、こうした仕組みの違いが見られるのもカットモデルの楽しさだ。

ミランダT。国産初のペンタプリズム式一眼レフカメラ

そのほか、目立った形状・大きさのものを眺めるのも楽しい。

ニッコールO 2.1cm F4。ニコンF用の超広角レンズ。後玉が出ていてミラーアップしないと使えない。外付けファインダーを巻き戻しクランクの部分に取り付ける
キヤノンF-1とペンタックス67。35mm判に比べ、6×7のミラーは化粧も直せそうな大きさだ
ペンタックス67のシルバーは、製品にはなっていないレアモノ
ミノルタα-9000のスケルトンモデル。ストロボまでスケルトンで作られているのは珍しい
ハイドスコープとFinePix REAL 3D W1の共演。ハイドスコープは、フランケとハイデッケがフォクトレンダーを出て二眼レフ以前に販売していたステレオカメラ
これまでに日本カメラ博物館で行われた特別展の図録が揃っている

(本誌:鈴木誠)