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海外から初上陸 エプソンの「エコタンク」プリンター

新興国での改造品をヒントに開発、カートリッジとは別の価値提供へ

発表会でお目見えしたEW-M660FT(上段)、PX-M160T(下段左)、PX-S160T(下段右)

すでに本日の記事、エプソン、カートリッジより低ランニングコストの「エコタンク」搭載プリンターで掲載した通り、エプソンはインクボトル式のインクジェットプリンターを1月12日に発表。都内で発表会を行った。

加えて、カラリオおよびカラリオミーの新製品や、新しい販売施策となるカラリオV-editonについても説明があった。

エコタンク搭載3モデルを発表

従来、コンシューマー向けのインジェットプリンターは基本的にカートリッジによるインク交換が行われていたのはご存知の通り。今回エプソンが発表したEW-M660FT、PX-M160T、PX-S160Tはインクカートリッジではなく、チューブ付きのインクボトルをユーザーが交換する方式をとる。

EW-M660FT
これがインクタンク。ここにインクボトルからインクを充填する。
付属のインクボトル

インクボトルはカートリッジより容量が大きく、例えばA4カラー文書1万1,000ページをプリントすると想定した場合、従来のインクジェットプリンターPX-M650Fでは88回のインクカートリッジ交換が必要。一方、EW-M660FTではインクボトル8本でまかなえる。一度インクタンクにインクを充填すれば、一般家庭での利用なら、ほぼインクのことは忘れて使えるとのことだ。

さらに、インクカートリッジよりも低ランニングコスト。カラー1枚当たりのコストは、PX-M650Fの13.5円に対し、EX-M660FTは0.8円と少ない。

本体を含めたトータルコストでも有利。ただし多くの枚数をプリントするユーザー向けだ。
車にたとえると2年間給油不要!という説明も。

こうしたメリットはあるものの、現状ではインクボトル式モデルの本体価格が高価に設定され、初期導入コストはインクカートリッジ式の方が低い。また、たくさんプリントしない場合も、インクカートリッジ式の方が有利になる。インクの色数も4色に限られているため、表現力においてもカートリッジ式モデルに分がある。エプソンではカートリッジ式をやめるわけではなく、従来のラインアップは、引き続きカートリッジ式を採用する意向だ。

エプソンではインクボトル式プリンターを2010年から海外で導入。インドネシアを皮切りに新興国に展開し、約130カ国で販売した。その後、2014年下半期に西欧、2015年上半期に北米と販売地域を拡大。このたび、日本への導入が決まった。

もともと東南アジアなど新興国では、カートリッジ式のプリンターに手を加え、ユーザーがインクをボトルから補充する改造品が出回っていた。それをエプソンが自社の正規品として設計・販売したところヒットにつながったという。その後、先進国でニーズがあるか検討を進め、各地域ごとに導入を進めた。

インクボトル式は新興国で先行して展開。「エコタンク」という名称は日本のみとなる。

日本市場での調査でも、プリントにまつわる不満として、「インク切れやコストが気になり、気軽にプリントできない」という声が聞かれたという。今より低ラニングコストで、さらに気軽にプリントできれば生活が便利になる例がいくつか挙がり、例えば子どもの教育用としてドリルの再プリント、持ち帰り仕事の資料のプリントなどの需要が浮かび上がった。

また、高齢者の中には、スマートフォンの地図を見ながら目的地に向かうより、自宅で地図をプリントする人も見られる。中には「夫がいないとカートリッジを交換できない」という家庭もあり、プリントコストとインクカートリッジの交換が、プリント機会を減らしている現状が確認されたという。

インクボトルはプリンター本体に付属。購入後、ユーザーがタンクに充填する。保存期限は約3年。継ぎ足しても品質に問題ないそうだ。

カラーモデルのEW-M660FTは、カートリッジ式と同じくPCや本体でインク残量が確認できる。モノクロモデルのPX-M160TとPX-S160Tにはそうした機能がなく、残量を知るには直接インクタンクを確認する。

3モデルの詳細は、エプソン、カートリッジより低ランニングコストの「エコタンク」搭載プリンターを見ていただきたい。

モノクロモデルのPX-M160T
PX-M160Tのインクタンク
ブラックインクのインクボトル。インク名は「クツ」。ちなみにカラーは「ハサミ」。
同じくモノクロモデルのPX-S160T。
エコタンク製品のCMキャラクターは米倉涼子さん。
発表会場では、インターネットの料理レシピプリントを1万800枚展示。
これが約1万1,000枚プリントできるという。

EP-10VAが価格改定、ランニングコスト重視型に

こうしたランニングコスト重視の流れを受け、エプソンでは昨年10月より発売しているA3複合機「EP-10VA」とそのインクカートリッジを価格改定した。

具体的には、本体価格を4万5,980円から5万9,980円へと値上げ。逆にインクカートリッジは1セット8,780円を約半額の4,740円に値下げする(共に直販価格)。たくさん写真をプリントするユーザーに有利な設定となる。価格改定は、本体が3月1日納品分より。インカートリッジが1月13日納品分より。

本来カラリオシリーズのひとつだったが、これを機に、写真を大量にプリントするユーザー向けのブランド「カラリオV-editon」の第1弾として位置づけられる。他のV-editionの予定は未定。

EP-10VAは、A3対応のインクジェット複合機。新インク「Epson ClearChrome K2インク」を採用し、上位シリーズ「プロセレクション」より廉価でありながら、作品制作に十分な写真愛好家向けモデルとしている。

EV-10VA
3月1日までに本体を買い、3月1日以降にインクカートリッジを交換するユーザーが一番ラッキー。
発売以来、ハイアマチュア層に人気というEP-10VA。通常のカラリオより、プリントボリュームが多いと見られてのV-editon選出だ。

カラリオにも新モデルが

カラリオ系列にも新製品が発表された。いずれも昨秋にリニューアルから漏れていたモデルで、機能追加として「オートファイン! EX」の強化、テキスト画質の向上、背景除去機能の追加など、昨秋モデルと同様のアップデートが行われている。

このうち「オートファイン! EX」は、暗部の認識と補正が可能に。風景写真などでの黒つぶれを低減する。

EP-708Aは、A4対応のインクジェット複合機。EP-707Aの後継に当たる。直販価格は税込1万6,178円。

EP-708A

PX-048Aは、4色顔料タイプのインクジェットプリンター。PX-047Aの後継モデル。直販価格は税込1万778円。

PX-048A

A5モデルはカラリオミーとしてリニュアール

同時に発表されたPF-71は、昨年10月に発売されたPF-70の後継になる。基本機能はそのままに、新製品の両面半光沢名刺に対応。ロール紙からプリントも対応コンテンツが増えている。直販価格は税込2万1,578円。

その他の仕様はPF-70と共通。ただし、PF-70では省略されたカラリオミーブランドが復活、今回からカラリオミーのブランド名を冠する。やはり長年親しまれたブランドネームを求める声があり、コンセプトが類似するPF-71をカラリオミーとしたという。

PF-71
引き続きロール紙に対応。
新しく登場する両面半光沢の名刺用紙に対応。写真名刺として活躍しそうだ。

インクカートリッジの価格を改定

なおこの発表会で、インクカートリッジ188製品の出荷価格を平均約6%値上げする価格改定も発表された。

3月1日納品分より改定され、内訳はコンシューマー向けが152商品、ビジネス向けが36商品。

理由は、海外生産拠点での人件費上昇、為替影響によるもの。出荷価格の改定は初めてという。