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パナソニックと富士フイルム、「有機CMOSイメージセンサー技術」を開発

 パナソニックと富士フイルムは11日、「有機CMOSイメージセンサー技術」を共同で開発したと発表した。デジタルカメラ、モバイル端末、監視・車載カメラなどに向ける。

有機薄膜は1層で、カラーフィルターを使用する。

 有機CMOSイメージセンサーは、イメージセンサーの受光部に光を電気信号に変換する機能を持つ有機薄膜を用いたセンサー。

 パナソニックの半導体デバイス技術で、信号の飽和度を従来のシリコンフォトダイオードを光電変換部とするイメージセンサーに対し4倍向上させた。さらにノイズを抑える回路を新開発することで業界最高のダイナミックレンジを実現したとする。明るいシーンでは白トビがなく、暗い被写体も鮮明な映像を取得できるという。

 また、富士フイルムの有機材料技術で開発した有機薄膜層を画素内の配線やトランジスタの上に積層した。このためイメージセンサー全面に受光部分となる有機薄膜を形成できることから従来の約1.2倍の感度を実現したとしている。

 有機薄膜は光吸収係数が大きく、厚さをシリコンフォトダイオードの数分の一という0.5μmに薄膜化した。この結果、光線入射角が60度と従来の2倍程度に広がり斜めから入る光も利用できるようになった。混色の無い忠実な色再現性を可能にするとしている。加えてレンズの設計自由度が増すことで、カメラの小型化にも繋がるという。

 また富士フイルムは、有機薄膜を保護する無機薄膜を作る技術も開発し、水分や酸素による性能劣化を防ぐことを可能にしたとしている。

 光電変換部を配線層の上部に配置する構造としては、ソニーが裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」で実用化している。Exmor Rは光電変換にフォトダイオードを使用している。

(本誌:武石修)