「スタジオ写真フェア2009」が開催

~フォトストレージによるライブビューや3D撮影システムなど

 営業写真館やブライダル写真向けの機材、ソリューションの展示会「スタジオ写真フェア2009」が東京ビッグサイト西3ホールで開幕した。開催日は6月30日と7月1日。開場時間は10時~17時。入場は無料。主催はプロメディア。

 今回で6回目を迎える同イベントは過去最多となる95社(計199小間)が出展。初日は多くの入場者で賑わっていた。スタジオ写真フェアは、プロ向けの機材、用品、商材の展示会。関連サービスや、トータルソリューションを提案するブースも見られた。各ブースではカメラマンなどを招いてのセミナーを、また会場のステージでも主催者が用意したセミナーなどを実施している。

 今回は、新たなテーマとして「フォトブック」に設定して大きく展示を行なっていた。「フォトブック大展覧会」と銘打ったコーナーには、各社のフォトブックのサンプル約300冊を展示。多数の来場者が足を止めていた。また、フォトブックをメインに展示する出展社も目立った。

フォトブック大展覧会のコーナーは大盛況

エプソン

P-7000でライブビューを行なうデモの様子。カメラはニコンD700

 エプソンは、フォトストレージ「P-7000」と「P-6000」でライブビュー撮影を行なうデモを実施していた。現在発売中のP-7000/6000でライブビュー撮影はできないが、今夏に公開予定のファームウェアを適用することで、ライブビュー撮影が可能になる。

 ライブビュー撮影が可能になるのは、今のところニコン製のデジタル一眼レフカメラのみとのこと。USBでカメラとフォトストレージを接続すると、フォトストレージの液晶モニターで画像を確認しながら撮影ができる。対応機種は「D3X」、「D3」、「D700」、「D300」、「D90」。

 P-7000/6000の液晶モニターは4型とデジタル一眼レフカメラの液晶モニターより大型で、拡大表示も可能なことから超望遠撮影などにも適しているとしている。フォトストレージ側でグリッドを生成して表示することもできる。

 測距点変更、AFの開始、シャッターレリーズ、露出補正、絞り値変更、シャッター速度変更、ホワイトバランス変更、ドライブモード変更などをフォトストレージ側で操作可能となっている。また、ダイヤルの回転でマニュアルフォーカスにも対応する。「OKボタン」がレリーズボタンに割り当てられている。

P-7000でライブビュー表示を行なっているところ。グリッドも表示可能画面を拡大できるのでマニュアルフォーカスも容易にできる
[カメラ設定]では、露出補正、絞り、ホワイトバランスが設定可能[レリーズモード]では、連写やブラケティングの設定もできる
三脚の脚にP-7000をアームで固定し、展示していたバックアップによるデータの二重化とより高精度なマニュアルフォーカスができる点を訴求した

 併せて、カメラとフォトストレージを接続するとフォトストレージにデータを転送して保存可能で、バックアップとしての機能もアピール。「プロカメラマンにもお勧め」(説明員)とのこと。バックアップ機能は、キヤノン製のデジタル一眼レフカメラでも可能になるという。

 ブースでは、三脚の脚部分にP-7000を装着してデモを行なっていた。取り付けは市販のアームとホルダーを使用している。

富士フイルム

 富士フイルムブースでは、デジタル一眼レフカメラ4台を使用した3D写真作成システム「リアルポートレート3D」を初出品した。今回は参考出品で、発売時期と価格は未定となっている。

リアルポートレート3Dを初めて展示した出力例。掲載の写真ではわからないが、単に平面の人物が前に浮き出るのではなく、人物自体が立体的に表示されていた(プリントを3Dで見る際は、専用メガネは不要)
撮影には、4台のデジタル一眼レフカメラが必要背面から。1つのレリーズで4台のシャッターを同時に切れる

 リアルポートレート3Dは、4台の「FinePix S5 Pro」と専用ソフト「Hyper-Utility MS5」(仮称)から成り、肉眼で3Dに見えるプリントを作成できるシステム。三脚上のレールに4台のカメラを配置し、ケーブルレリーズで1度に4枚撮影し、Hyper-Utility MS5が動作しているPCに転送し3D処理を行なう。また、3D表示対応のディスプレイと専用メガネを用意すると、液晶モニター上で顧客を交えて3D写真の閲覧やセレクトができる。画像形式は、CIPAが定めた「マルチピクチャーフォーマット」に準拠している。

 撮影した写真は、専用ラボで3Dプリントにする。対応プリントサイズは、六切サイズ、キャビネサイズ、カードサイズの3種類に対応する。用紙はフジカラープロフェッショナルペーパーを使用。

 富士フイルムでは、2眼式のD3コンパクトデジタルカメラ「FinePix REAL 3D」をフォトキナ2008で出品しているが、リアルポートレート3Dは、FinePix REAL 3Dと共通の原理によるシステムとのこと。2眼式の場合、背景に対して人物などの前景が立体的に見えるのに対して、リアルポートレート3Dはカメラを4台使用することで、人物自体を繋がりよく立体的に描写可能としている。撮影時は、最大6台のストロボ同期撮影が可能で動いている被写体も撮影可能という。

3D表示対応のディスプレイと専用メガネを用意すると、プリント前に3D写真を体験できる3Dディスプレイ用のメガネ

マミヤデジタルイメージング

 マミヤデジタルイメージング(マミヤDI)ブースには、7月15日発売の新型デジタルバック「Mシリーズ」の動作モデルを展示していた。フェーズワンとの共同開発による製品で、操作系やメニューなどもほぼフェーズワンと共通になっているとのこと。「価格などでフェーズワンは敷居が高いと思っているユーザーに使って欲しい」(説明員)。

トヨビューに装着した「M22」。実際に撮影を試すことができるM18で実際に撮影したサンプルを展示していた

 これまで銀塩の中判カメラを使用してきた営業写真館などに、中判カメラならではのボケ味などクォリティを落とすことなくデジタルシステムに移行できるとアピールしている。

 Mシリーズの店頭予想価格は、有効3,160万画素の「M31」が170万円前後、有効2,210万画素の「M22」が170万円前後、有効1,800万画素の「M18」が125万円前後となっている。M31はM22より高画素だが、センサーサイズがやや小さいため価格は同じになっている。

DNPフォトルシオ

 DNPフォトルシオでは、同社が総代理店を務めるフェーズワンのデジタルバックを展示していた。中でも5月20日に発売した有効4,000万画素のデジタルバック「P40+」(370万円)を手に取る人の姿が見られた。

P65+(左)とP40+(右)フェーズワン645AF
キャプチャーワンのデモも人気

 またブースでは、2009年3月に発売した有効6,050万画素デジタルバック「P65+」(590万円)も展示。P40+と併せて、同社の中判カメラ「645AF」に装着した状態で試すことができる。説明員によるとP40+は、撮影速度が向上している点などが広告やファッション分野で好評とのこと。

 「P40+などは高価格なこともあり、購入できる営業写真館は限られる部分はある」とのことで、営業写真館やブライダル関係には、フェーズワンの汎用RAW現像ソフト「キャプチャーワン」を強力にアピールしていた。

 学校写真や結婚式などで複数のカメラマンが別々のカメラを使用していても、色合わせなどが容易という点を訴求していた。

キヤノン

 キヤノンブースでは、例年通り無線LANによる画像転送や写真館向け画像ソフト「Digital Photo Presenter」などを合わせたトータルソリューションを提案していた。その中で、写真館やブライダル関係者に向けた「EOS 5D Mark II」による動画をアピールする展示に力を入れていた。

セミナーでは、EOS 5D Mark IIにシフトレンズや大口径単焦点レンズなどを装着してデモを行なったキヤノンブース内では、カノープスのエディウスシリーズも実演していた

 キヤノンの調べでは営業写真館の8割程度はデジタル化が完了しているとのことだが、撮影のスタイルなどに大きな変化は見られないという。そうした中、目の肥えた顧客への差別化として動画撮影の提案を行なった。写真館からも動画を使いたいという要望が寄せられていたとのこと。

 「これからは、各カメラメーカーで静止画と動画の垣根が無くなって行くのではないか」(説明員)。キヤノンでは、静止画と動画の融合によって新しい成果物を生み出す動きを「クロスメディアイメージング」と呼び、今後注力していきたいとのこと。

 ブースでは、EOS 5D Mark IIの動画撮影デモと編集の方法などを講師がセミナー形式で説明。また、EOS 5D Mark IIのフルHD動画編集に対応したカノープスの「エディウス」(EDIUS)シリーズのデモも行なっていた。そのほか、ボーゲンイメージングがEOS 5D Mark II向けに推奨している雲台も参考展示していた。

ボーゲンイメージングがEOS 5D Mark IIでの使用を推奨している三脚と雲台。ジッツオ「G2380」(雲台、2万9,400円、左)、マンフロット「755XB」(三脚、5万7,750円、右下)、マンフロット「701HDV」(雲台、2万9,295円、右上)オーディオテクニカ製の外付けステレオマイク「AT9941」を装着したEOS 5D Mark IIも展示


(本誌:武石修)

2009/6/30 20:08