スクエア写真でセンスの訓練!

ショーウインドウの中のオブジェ。スクエア写真では中央以外に配置できない王道の形ですね。後は、大きく写すか小さく写して周りを入れるかの選択だけです

被写体の一番を見つけ出してクローズアップ!

今回は、初めてスクエア写真を撮る方に向けて写真の収まりが良くなる方法と、スクエア写真を撮ることのメリットをお話しましょう。

スクエア写真とは、縦と横の比率が同じ真四角の形の写真の事を言い、カメラのアスペクト比の設定を1:1もしくは6:6に変更することで撮影できます(カメラの比率設定についてはメーカーによって違いますのでお持ちのカメラの説明書をご覧ください)。

使用するカメラはどんなカメラでもOKですが、毎日1枚撮るくらいの気持ちで気軽に撮影して欲しいのがスクエア写真。ですので、持ち歩きしやすいコンパクトデジカメ、その中でも絞りを変えられる機能を備えたコンパクトデジカメがオススメです。

私は、今回の作例では全て「OLYMPUS STYLUS XZ-10」を使用しました。F1.8の明るいレンズは被写体の幅が広がるので日常撮影を楽しくしてくれます。また、アクセサリーのシリコンジャケットを付けると片手で持ったときに滑って落とす心配もなくなりますので、本機をお持ちの方はぜひ使って欲しいアクセサリーです!

次にカメラの持ち方ですが、縦に持っても横に持っても撮れる写真は正方形なので、自分が撮りやすいように構えましょう。

いざ撮影! スクエア写真が初めての方、もしくはうまく撮れないと思っている方は「主役の被写体を大きく中央に配置する」ように撮ってみてください。つまり、黄金分割を忘れて日の丸構図で撮影するのです。

スクエア写真は縦と横が同じ比率なので、縦長や横長の写真のように空間を意識し過ぎると写っている被写体が小さくなって寂しいイメージになったり、逆にアレもコレも写そうとすると狭い空間に情報が多くなり過ぎて散漫な写真になってしまうことがあります。それを回避するために、被写体の撮りたい部分を決めて中央に配置してみましょう。

さて、そのような作業をすると言うことは、撮影するときに漠然と「この辺が撮りたい」と思うのでなく、「この被写体のココが撮りたい」とさらに絞った考え方をしなくてはなりません。そうすることは、今までなんとなく撮っていた被写体をもっとよく見つめて、「情報の取捨選択=写真の引き算」ができる頭を育てることになるのです。

スクエア写真がちょっとうまくなったなと思えたときは、きっと、長方形の写真もいままでよりもちょっとうまくなっている…はずですよ!

冬仕様のマネキン。ラインストーンのマツゲに一番目が引かれたので中央付近に配置しました。顔が画面左を向いているので、ほんの少しだけそちらに空間を作りました
壁面のオブジェを主役に、周りの緑をぼかしつつ鮮やかになるようにジオラマフィルターを使いました
お皿に2つ盛られて来たミニサンド。奥にあるチーズがかかったサンドは写真的に面白くないので切って、手前のサーモンのサンドだけに寄って撮影しました
日中シンクロで花の先端部分だけをクローズアップ。とても小さな花でしたが他の葉や枝は一切入れずに全体をブルーの色調にまとめました
横長の写真なら鳥が向いている方向に空間が欲しいところですが、スクエア写真なのでシンプルに中央に据えました。ジオラマフィルター使用
シャンデリアと後ろのステンドグラスが画面全体を占めるように構図。周囲が暗くて情報が少ないので画面いっぱいにふたつの被写体があってもうるさくなりません

撮影機材:OLYMPUS STYLUS XZ-10

(2013/12/16)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com