ロモグラフィーのインスタントカメラ「Lomo’ Instant」を使ってみました

「LOMO'INSTANT CAMERA WHITE +3 LENSES」(税込1万6,800円)の同梱物。カメラ本体、フィッシュアイレンズアタッチメント、ポートレートレンズアタッチメント、クローズアップレンズアタッチメント、そして、4色のカラーフィルターなど。

ロモグラフィーから、インスタントカメラ『Lomo’ Instant』(ロモインスタント)が発売されました。チェキと同じinstax miniフィルムを使うインスタントカメラです。

多彩な撮影モードを搭載

Lomo’ Instantは、富士フイルムのインスタントカラーフィルム「instax mini」を使用し、撮影できるカメラです。

フィルムは、1カートリッジで10枚撮影できます。

撮影すると、カメラの右手側からフィルムが出てきて、数分で像が浮かび上がります。

単四乾電池で動きます。乾電池使用なので、電池が切れてもお店ですぐに入手でき、手軽に撮影が可能です。

レンズ上部のレバーがシャッターです。スライドさせるように動かしてシャッターを切るので、慣れるまでは、カメラが動いてぶれてしまわないように注意が必要です。

撮影モードは3つあります。本体下のこのレバーで操作します。

オートフラッシュモード 周りの明るさを感知して、フラッシュのオン、オフを自動的に調整します。

マニュアルモード・フラッシュオン 撮影時に必ずフラッシュが発光します。屋内での撮影に向いています。

マニュアルモード・フラッシュオフ フラッシュは発光しません。長時間露光時などに、このモードを選択するといいでしょう。

マニュアルモードではさらに、シャッタースピード切り替えレバーでノーマル(N)、バルブ(B)を設定できます。

バリエーション豊かな撮影も

カメラ本体には、約27mm相当(35mm判換算)のワイドレンズが搭載されています。購入するセットによっては、その他3本のアタッチメントレンズが同梱されている場合があります。

カメラ搭載のワイドアングルレンズ

風景を撮影するのにピッタリのレンズです。広々とした景色をそのまま収めることができます。最短撮影距離も40cmと、被写体にかなり寄ることができます。

フィッシュアイレンズアタッチメント

円形にくり抜かれたような形に像が写ります。画角は約170度。見えている景色をぐるっと収めてくれます。

ポートレートレンズアタッチメント

ポートレート撮影だけでなく、スナップにもぴったりです。

クローズアップレンズアタッチメント

被写体まで10〜15cmに近づけて撮ることができます。ミニ三脚などを携行すれば、カフェで食べたスイーツなどの写真も残しておけますよ。

写真はお人形たちに10cmと迫り、撮影しました。屋内での撮影のため、シャッタースピードはBに設定し、絞りはf/8(-2)に。約2秒間露光しました。ピントの合った下段の小さな人形の目と口の刺しゅう部分はとてもシャープに。あとはゆるやかにボケていっています。

撮って、その場で見られる!デジタルとは違った楽しさ

instax miniフィルムの面白さは、シャッターを切ったあと、出てきたフィルムから、ゆっくりゆっくりと像が浮かび上がるところ。撮ってすぐに見ることができるのはデジタルカメラも同様ですが、それとは違った楽しさがあります。

これからの季節は気温が低いので、像が見られるまでにやや時間がかかりますが、10分もすれば色も定着します。

気になったものをどんどん撮り歩いて、お茶を飲みながら定着したフィルムを見るのもいいかもしれませんね。

像のカタチをしたオブジェが、公園にたくさん並んでいたところをパチリ。中心部分は意外とシャープに写ります。
内蔵のワイドアングルレンズは、やや歪みますが、タイルやガラスの作る格子柄をしっかりと写してくれました。
陽が暮れる直前のブルーアワーもこの通り。薄暗くなる時間帯では、シャッタースピードをBに設定して、長めにシャッターを切ります。スマートフォンなどに露出計アプリを入れておくと、こんなときに便利に使えます。
高いところからジャンプする子どもを下から撮影してみました。レンズのかなり近くに足が来るのでドキドキしますが、最短撮影距離40cmで、かなり寄ることができます。

日中から夜まで、好きなシーンを切り取れる

フラッシュのオン、オフ、また、絞りを変更できるので(後述)、明るい屋外だけでなく、屋内、夕暮れ時など、さまざまな場面で撮影を楽しめます。

シャッタースピードはN(1/125秒)とB(バルブ)を選択することができるので、バルブに設定して、長時間露光をすることも可能です。

陽が落ちて、ビルの灯りやイルミネーションがともり始める時間帯に、シャッタースピードをBに、絞りをF8(-2)に設定し、2秒露光しました。ロモならではのトンネル効果も楽しめます。

夜の遊園地のアトラクションを撮影してみました。空は真っ暗でしたが、シャッタースピードをB、絞りをf/8(-2)に設定し、4秒露光しています。明るさや光跡の長さ、形などは、露光時間を変えることでさまざまに変化させることができます。

ロモのお家芸、多重露光スイッチを搭載!

ロモグラファーなら一度は撮ったことがあるはずの「多重露光」。Lomo’ Instantにも、しっかりと多重露光モードが搭載されています!

レンズ左上にあるスイッチを「MX」にセットすれば、1枚のフィルムに何度でも露光が可能です。

MXにセットしてシャッターを切ると、フィルムが排出されず、再度シャッターを切ることができます。同じフィルム上に何枚でも像を重ねることができ、MXを解除すれば、フィルムが排出されます。

ちなみに下側のレバーで、被写体までの距離を設定します。

像が重なるごとに、オーバーになっていくので、撮影枚数によって、露出補正をかけましょう。

もちろん、この露出補正は、明るい場所、暗い場所でも利用できます。ダイヤルを回すと、レンズの上に穴の大きさの違う絞りプレートが移動してきます。このギミックも面白いですね。

レンズの右上に見える、小さな四角い窓。その上のダイヤルで露出補正を行ないます。

露出補正ダイヤルを-2に設定して、アングルを変え、3カット重ねました。看板の文字や人の動きがグラフィカルに表現できます。

三脚を使って、子どもに文字と文字の間を移動してもらい、2カットを重ねました。日陰での撮影のため、露出補正かけず、Aを選択しています。

付属の4色のカラーフィルターで、ちょっとした異世界を演出

本体、レンズアタッチメントのほかに、赤、黄、水色、紫のカラーフィルターが付属しています。フラッシュの部分がカバーになっており、そこにあるスリットにカラーフィルターを差し込んで、フラッシュを発光させればOKです。

付属の4色以外にも、自分の好きな色を大きさを合わせてカットし、スリットに差し込んで使っても楽しいと思います。

明るい場所では、効果が薄いので、できるだけ暗い時間帯や場所を選んで使うと、面白い効果が得られます。

50cm程度まで寄って、各色のフィルターを使い、フラッシュONで撮影しました。未使用の写真とは違い、どこか違和感のある面白い雰囲気の写真になります。撮ったフィルムを見せると、その色の効果で、子どもも大喜び。ノリノリで違うポーズを繰り出しています。

フラッシュON、カラーフィルターなし
フラッシュON、カラーフィルター赤
フラッシュON、カラーフィルター黄
フラッシュON、カラーフィルター水色
フラッシュON、カラーフィルター紫

さまざまな使い方ができ、幅広い撮影ができる

オート撮影、フラッシュのオン、オフだけでなく、レンズ交換、多重露光、長時間露光やカラーフィルター遊びまで、さまざまな撮影が楽しめるLomo’ Instant。

撮った後は、マスキングテープなどを使って、部屋に貼って楽しんでもいいし、フレーム部分に色を塗ったり、文字を入れるなど、撮影すること以外の部分でも楽しむことができるのが、インスタントフィルムのいいところです。

撮ってすぐに見られるので、友人とシェアすることも簡単です。日常のスナップや、パーティなど人の集まる場所での撮影にオススメなだけでなく、シャッターを切った後、音を立ててフィルムがカメラから出てくると、普段スマートフォンやデジタルカメラになじんでいる子どもは、珍しがって大喜びします。「撮って撮って!」と機嫌よく被写体になってくれるので、小さなお子さんのいらっしゃるママさんにもぜひオススメしたいカメラです。

(2014/11/21)
笠井里香
出版社の編集者として、メカニカルカメラのムック編集、ライティング、『旅するカメラ(渡部さとる)』、『旅、ときどきライカ(稲垣徳文)』など、多数の書籍編集に携わる。2008年、出産と同時に独立。現在は、カメラ関連の雑誌、書籍、ウェブサイトを中心に編集、ライティング、撮影を務める。渡部さとる氏のworkshop2B/42期、平間至氏のフォトスタンダード/1期に参加。