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Induro「DM23」

~アメリカ発、新ブランドの高精度自由雲台

Induro DM23
 三脚を使って撮影するとき、三脚を立ててしまった後で、もっとも頻繁に操作する可能性の高い箇所は雲台(ウンダイ)である。数千円で売られているような安価なものを除いて、多くの三脚は脚部と雲台部分を自由に交換できるよう作られている。

 6月より日本国内発売が始まった、米Macグループが手がける新三脚Induroは、カーボン三脚のシリーズとともに自由雲台のシリーズが発売となっている。高精度タイプのスムーズな動きを特長とする「DM」という名称が付けられているものには、対応する三脚のサイズに合わせて「DM23」、「DM12」、「DM01」の3種類がラインナップされている。


パッケージ上部に耐荷重18kgの文字がある。DM23本体に雲台のみを収納するポーチが同梱されている
 今回チェックしたのは「DM23(価格3万3,390円)」で、同社のカーボン三脚CXシリーズ「CX213」、「CX214」とCシリーズ「C313」、「C314」、「C213」、「C214」に対応するという。日本では、今から10年ほど前に当時の近江屋写真用品から発売されていたハンザの「PRO65」をはじめとする高精度自由雲台を皮切りに、自由雲台が人気となり、現在、さまざまなメーカーから同様のタイプが販売されている。

 世界では、高精度自由雲台の代表格といわれるアルカスイスが高価な製品ながら大型カメラユーザーを中心に支持を集めており、InduroのDMシリーズは、日本の高精度自由雲台よりも、アルカスイスの形式に近いものだ。

 国産の高精度自由雲台は、1つのノブであらゆる動きの固定ができるもの。カメラの取り付けはクイックシューを使わない、直接固定式のものだが、DM23ではスライド式のクイックシューを採用している。大きな径のボールを採用していること、ベース部の角度目盛りあたりに黄色いアクセントラインがあるのもアルカスイス風ではあるが、全体的な造りは異なる。


三脚に取り付ける

 カメラの固定は、スライド式の専用クイックシューを使う。シューベース部の固定ノブを緩めて、シューをスライドさせ、脱落防止のボタンを解除しながら引き出す。シューは前後2方向から挿入が可能。シューの裏側には、カメラに固定するためのワイヤー製ツマミ、中心にコインで増し締めするための溝がある。その外側が六角形になっており、Induro三脚の石突交換や雲台取り付けネジの規格を変換するための六角ナットと同形状となっており、工具を流用できる。カメラの台数だけクイックシューを用意すれば、工具を使ってシューをあらかじめ固定しておけば、カメラの取り付け・取り外しが素早く行える。ただ、カメラによっては力強くカメラを固定してしまうと、カメラ底から埋め込まれているカメラの三脚取り付けネジが外れてしまうことがあるので、気をつけて作業しなければならない。


カメラ取り付けには、まずスライド式のシューを抜き出す。写真左手にあるのが脱落防止のボタン。押しながらスライドするとシューが取り出せる 専用のクイックシューの裏側。外側にレール、内側に脱落防止に対応する溝がある

カメラをクイックシューに固定するには、シュー裏側のワイヤー製つまみで固定できる よりしっかりカメラに固定するなら、Induro三脚に付属の工具を使って、増し締めができる

重量級の機材も思い通りに

 雲台の三脚取り付けネジはいわゆる大ネジ(U3/8インチ)のため、Induroやジッツオ、マンフロットなどの海外製品にはそのまま取り付け可能だが、ベルボンやスリックなどの国産メーカーの中型、小型三脚には大ネジアダプター(300円程度で市販されている)が必要となる。

 今回は、ベストマッチとされるCX214と組み合わせて使ってみた。DM23の特長のひとつにボールの動きの固さが調整できるということがある。一般にハンドルがついた3ウェイ雲台が望遠レンズや大型カメラ用、自由雲台は小型カメラ用に便利であるが、自由雲台に大型機材を載せることができない、というわけではない。自由雲台の場合、雲台を緩めたときの動作が大きすぎ、重量級の機材ではじっくりフレーミングができない欠点があるのだ。その点、3ウェイ雲台は上下・左右・タテヨコをじっくり調整するので、重量級の機材に向く。DM23のようにボールの動きの固さを調整できれば、重量級機材でも安心して自由雲台を使うことができるのだ。


 ボールの動きの固さは、設置場所(InduroCX214は、エレベーターを傾けることができるので、必ずしも上に機材が載るわけではない)や搭載機材の重量、バランスに合わせて調整する。そのため、撮影現場でカメラを載せてから行なうこととなる。ボールを固定する大きなノブを緩めたままでボールがフリーに動く状態としておき、もう片方の小さなノブでカメラを支える手を離してもすぐにガクッと動かないが、向きを変えようとすれば軽く動く状態に調整していく。あとはカメラを持つ手で自由にフレーミング、狙いをつけた場所でボールを締め付けるだけだ。この方法を使えば、重量級の機材もじっくり、思い通りの構図にセットできる。


撮影現場で使う機材をDM23に載せ、カメラを片手で支えたままボールを固定しているノブを緩める 反対側にあるボールの動きの固さを調整するノブを操作し、「手を離しても動かないけど、軽く力をかけると動く」固さに調整する あらかじめ「緩めても動かない」角度にセットしておけば、片手でカメラの向きを調整し、片手で固定するだけで、思い通りのフレーミングができる

雲台ベース部には、カメラの左右のみの動きを調整するためのツマミがある スライド式のクイックシューは、カメラの前後方向に1cmちょっとの調整が可能だ

 国産の高精度自由雲台は、ボールの固さ調節がなく、ボールの締め付けを緩めると一気に緩んでしまう。しかし、DM23には、雲台のベース部に左右の動きのみを固定するツマミがある。これも国産の同種製品にない工夫であり、構図の微調整には役立つものだ。

 カメラを取り付けるクイックシューは、カメラ位置を前後できるため、特にマクロ撮影時に被写体とレンズの距離の微調整を行うとき役立つ。脱落防止がついているためカメラを覗きながら操作をしていて、うっかりカメラを落とす心配はない。

 CX214で、エレベーターを傾けて使うときもう少し軽い雲台の方がバランスが良さそうと思うこともあったが、一般撮影時には、軽さと充分な固定力を兼ね備えた高精度自由雲台だ。構図の決定には、いい自由雲台を使いたいと思う方に最適な、アメリカ生まれの期待の星である。



URL
  プロフォト
  http://www.profoto.jp/
  Induro(英語)
  http://www.indurogear.com/

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( 木村 英夫 )
2007/07/03 13:21
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