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ケンコー「PRO1D R72」

〜デジタルカメラで赤外線撮影を実現

PRO1D R72
 フィルムでは、通常のモノクロフィルムのほかに、赤外線に感光する赤外フィルムがある。かつてはいくつかの赤外フィルムが存在したが、現在はほぼわずかで、入手が難しい。そこで、デジタルカメラでも赤外写真が楽しめるように開発されたのが、ケンコーのフィルター「PRO1D R72」だ。ケンコーのデジタルカメラ向けフィルター、PRO1 Digitalシリーズの中で、最も特殊なフィルターと言える。

 人間が感じられる色(可視光線)は、波長で約380〜780nm。数字が少ない方が波長の短い青や青紫。数字が大きい方が波長の長い赤。380nmより短い波長を紫外線、780nmより長い波長を赤外線と呼んでいる。なおさらに外側には電波やX線などもある。

 赤外線撮影すると、植物の緑は白っぽく写り、青空は黒く落ちる。そのため通常のモノクロフィルムでは得られない明暗を持つ写真が撮れる。主に自然の風景を印象的に表現するのに効果的だ。

 デジタルカメラでは、当然赤外フィルムを使うわけにはいかない。しかも、多くのデジタル一眼レフカメラに搭載されているローパスフィルターにより、赤外線をカットしてしまっている。それでもわずかながら赤外線に感光するため、それを生かして赤外線撮影を行なうのがPRO1D R72なのだ。


E-3に装着したところ
 フィルター径は、52mmから77mmまで7種類。価格は52mm径の標準価格が1万1,000円。最も大きい77mm径が1万8,000円。数本のレンズで使いたいなら、大きめのサイズを選び、小さいサイズはステップアップリングで対応させると経済的だ。

 PRO1D R72は通常のフィルターのようにレンズに装着して撮影するのだが、その扱いは通常の撮影とちょっと異なる。

 まずはカメラを三脚に固定する。次に仕上がりモードをモノクロに設定。カラーではオレンジ色の写真になってしまうからだ。そして撮影モードはマニュアルに設定。ファインダー内のインジケーターを見て露出を合わせたら、シャッター速度を10段分下げる。つまりフィルターなしの状態で1/1,000秒が適正だとすると、1秒に設定する。ピントもMFで合わせておく。

 構図、露出、ピントが決まったら、ここで初めてPRO1D R72を装着し、撮影する。スルーシャッターなので、ケーブルレリーズやリモコン、またはセルフタイマーを使用すること。露光が終わったら、液晶モニターで仕上がりを確認し、もし露出アンダーなら、さらにシャッター速度を遅くして撮影する。なおキヤノンEOS Digitalの場合は、赤外線透過量が少ないため、他社よりシャッター速度を2倍から3倍ほど遅くする必要がある。


 筆者が実写したところ、晴天の順光で、オリンパス「E-3」だとISO200でF8、10〜15秒が適正。キヤノン「EOS 30D」では、ISO400でF8、20〜30秒が適正だった。赤外フィルムでは、感度はISO50相当前後だが、PRO1D R72を装着したデジタルカメラは、それよりはるかに低い感度になる。


PRO 1Dを装着して撮影
E-3 / 15秒 / F8 / ISO200

モノクロモードで撮影したもの
E-3 / 1/200秒 / F8 / ISO200
こちらはカラーで撮影したもの
E-3 / 200秒 / F8 / ISO200

 そして赤外撮影では、もう1つ気を付けなければならないことがある。それはピントだ。赤外線は可視光線より波長が長いため、ピントが合う位置が違う。普通にピントを合わせた状態では、後ピンになる。

 MF一眼レフカメラが主流の時代は、レンズに赤外指標があり、ファインダーでピントを合わせたら、指標までずらすことで解決していた。しかしAFの時代になってから、赤外指標を設けているレンズは少なくなってしまった。特にズームレンズは指標を持たない。そのため、できるだけ絞り込み、被写界深度を深くして撮影するのがポイントだ。

 通常よりシャッター速度が10段以上も遅くなるので、PRO1D R72を装着している状態では、ファインダーは真っ暗。構図を確認したい、あるいは構図を少し変えたいと思ったら一旦フィルターを外し、決定したら再びフィルターを装着する。PRO1D R72を使うのは、正直なところ面倒だ。特にネジ込み式なので、フィルターの脱着は落下させないようにかなり気を遣う。難しいかもしれないが、ワンタッチで確実な脱着ができると、使い勝手は飛躍的に向上すると思う。

 そしてシャッター速度が極端に遅くなるため、スピーディーな撮影は困難だ。例えば露光時間が10秒だとすると、露光が終わってもノイズリダクションでさらに10秒かかる。露光時間が30秒なら、1カット撮るのに1分もかかる。晴天なのに長秒撮影を行なっているのは不思議な感覚だった。

 仕上がりは赤外写真らしく、通常のモノクロとは明らかに違う。撮影の手間はかかるが、デジタルでも本格的な赤外写真が撮れるのは楽しい。ただし赤外フィルムと比べて、コントラストが低いようだ。効果をより強調したい場合は、レタッチで調整することをお奨めする。

 このフィルターでの撮影に適した被写体は風景だろう。赤外独特のトーンに加え、極端に遅いシャッター速度で、被写体ブレを生かした作品も撮れる。風に揺れる木の葉、川や雲の流れを赤外で表現してみたい。今回使用したのは冬だったが、新緑が映える初夏に使うと、より効果的なはずだ。


●作例

※サムネイルをクリックすると1,024ピクセルに縮小した画像を表示します。


E-3 / 10秒 / F8 / ISO200 EOS 30D / 20秒 / F8 / ISO400

EOS 30D / 30秒 / F11 / ISO400 EOS 30D / 30秒 / F8 / ISO400


URL
  ケンコー
  http://www.kenko-tokina.co.jp/
  製品情報
  http://www.kenko-tokina.co.jp/filter/4961607325209.html

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( 藤井智弘 )
2009/01/07 00:01
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