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三脚もスタンドもこの1台に集約! 新発想のカメラマン向けキャリー「FRAME-ONE」

カメラ機材の悩みの中でも「即、解決!」という具合になかなかいかないジャンルとして昔から話題になるのが「カメラバッグ」だ。当サイトの読者の中にも「カメラバッグ沼」にどっぷり浸かってしまった人も多いのではなかろうか。

その中でも有効な選択肢が少ないな、と感じるのが機材を多く運搬したい人に向けた大型のバッグ類。プロ向けと称するキャリー型のものも複数存在するのだが、三脚などの長物や照明機材も持ち歩きたいユーザー層にとっては、未だ決定打となる製品が見つかりづらい。

さまざまなカメラバッグ類を30個以上は購入している僕にとってもこの部分は大きな悩み。

そこに、新しいジャンルの製品が登場したと編集部からの連絡。早速、試作機を送ってもらって実使用を開始してみた。

新発想のフレーム型

製品名は「FRAME-ONE」。ハードタイプのカメラキャリーケースだ。
初めてみた感想は、「大きいな!」のひとことに尽きる。収納できる機材の多さに期待が膨らむ。

幅41cm/高さ72cmの黒い樹脂製ボディに4輪のキャスターがついた外観の第一印象は「スーツケース!」。

それもそのはず、この製品を手掛けたのは株式会社ティーアンドエス。数多くの人気スーツケースを「LEGEND WALKER」のブランド名で展開している日本のスーツケースメーカーだからだ。昨年9月には表参道に旗艦店をオープンするなど、今、注目度が一気にアップしているブランドと言っていいだろう。

ケースを開けようとして気がつく「FRAME-ONE」ならではのユニークなポイントは、収納部が全て「ポケット式」であるということ。2面あるうちの長尺物側はケース全面をほぼ覆い尽くす大型ポケット、カメラ機材側は上下2つで大小のポケットが設けられており、計3つのポケットで内部にアクセスする構造になっている。

長尺物側。ほぼ全面、縁の部分までをポケットとした設計。長物を収納する場合も引っかかりが少なく、見た目にもすっきりとした印象だ
カメラ機材側。こちらは上下2つのポケットで構成されている。しっかりと全体にフレームがあり、フチ状の部分を残して角丸のポケットが内側にある印象。この大きさをしっかりしたフレームで構造上、支えるように作られている

つまり、通常のスーツケースではサイド部分からパックリとふたつに分かれて2枚貝のように開く「クラムシェル構造」が本製品では採用されておらず、頑丈なサイド部のフレームはそのままに、ポケットだけが開く構造になっている。これが製品名の「FRAME-ONE」の語源となっていると思われる。

ケース天面。通常のスーツケースやカメラキャリーに比べ、かなり厚み方向に余裕を持たせたプロポーションであることが見て取れる
ケース左側面。この面には視覚上のアクセントにもなっている中央を走るアルミの部品が印象的。中央には、横倒しで持ち上げる時用のキャリングハンドルが備わっている
ケース右側面。こちらは横倒しで置く場合、足として機能する4つの金属部分が四隅に配置されている

三脚もスタンドもひとまとめに

さて、それでは実際に機材を収納しながらその使い勝手を検証していくことにしよう。

まずは長尺物側。こちらに収納したいのは、これまでの多くのケース/バッグで内部収納が難しかったスタンド類。大型のこのケースであっても縦方向の内寸は約68cmなので、これは定番と言えるManfrottoのコンパクトスタンド「1052BAC」であったり、ミニスタンド「1051BAC」あたりは収納できない。収納できるのは脚部分を反転して収納するスタイルのナノスタンド類となる。

また三脚についても、動画用の本格的な製品はそのままでは収納が難しい場合が多い。ただし、Libec QL40Cのような業務用三脚でも、雲台部分を取り外せばギリギリ収納が可能。この辺りは使いこなしを求められる部分だ。

長物の収納例。上からGitzoの1型三脚+SmallRigの小型ビデオ雲台「CH20 4170」/DJI OSMO 360用自撮り棒+三脚/Manfrottoナノポールスタンド「MS0940A」/60cm長スライダー「EDELKRONE SliderPlus」/円形ライトボックス「Aputure LightDome SE」
前面を上にした状態でポケットをフルオープン。ここでは外しているが、ケースを立てた状態でもポケットの蓋が地面につかないようにする両支えのストラップも付属している
前面ポケットを開けたところ。スーツケースと同様に、この面には薄い緩衝布が取り付けられている。左にはマジックテープ式のループテープが装備されているので、ここではCOB LEDライトの電源ケーブルをまとめて装着した
前面ポケットの裏部分。複数のポケットとメッシュポケットを装備。脱落防止ストラップ付きの大きなポケットにはApple iPad Pro 12.9”、その下の2連ポケットにはCaribrite ColorCheckerPassportとHDMIケーブル、メッシュポケットにはCOBライトの電源バラストを収納した

とは言え、これまで多くのケースで諦めていた長物を内部に収納できるのは大きなメリット。またケース内部はこの長物収納部と、反対面にある機材収納部とは頑丈な隔壁とクッション材で完全に分離されている。比較的、ガチャガチャと乱雑に扱われがちな長物類とカメラなどの精密機器がしっかりと分離されていることは安心感につながる。

次はカメラ機材側下部の中サイズのポケット部。ここは、サイズ的には小型バックパックぐらいのサイズ感で、主にカメラやレンズを入れるのに最適な場所。FRAME-ONEは全体の厚みが35cmとかなり奥行きのあるプロポーションなのだが、前述の通り長尺物収納部とは内部の頑丈な隔壁で分離された構造のため、カメラ機材側の収納部自体の深さは約15cmとなる。

メイン収納と言っていい中型ポケットの中の収納例。ここでは比較的、大きな機材のセットとした。左上からステレオマイク「SHURE VP83」、標準ズームレンズ「Canon EF24-70mm F2.8L USM II」、ストラップ「PeakDesign Slide Lite」、ストラップの下にVマウントバッテリー×2個、LED COBライト「Amaran 200d」、シネマカメラ「Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Pro」、ブロワー、7インチモニター「Blackmagic Video Assist 12G HDR 7”」、望遠ズームレンズ「Canon EF70-200mm F2.8L IS USM II」
中ポケットの裏面は通常、写真右に置かれたクッション材がマジックテープで貼られているのだが、これを剥がしたところにメッシュポケットを装備。面積が広いので、薄手のフィルターなどを収納可能だ

これだけの大きさを持つケースなので、機材はレンズをつけたまま収納できるスタイルを僕は希望するのだが、それは難しい。特に、動画系ユーザーは多くの場合、カメラにリグをつけたりトップハンドルをつけるもの。だが、そのままだとカメラを立てた状態での収納は難しく、レンズを外してカメラを寝かせた状態で収まりが良くなる。

全高の低いカメラでトップハンドルなしであれば、レンズをつけたままの収納も可能だが、この場合は付属の仕切り板のサイズバリエーションが少ないことが悩ましい。ケース幅いっぱいにまたがる長さの「大」、もしくは幅の短い「小」の2種類なので、レンズをつけたまま収納をすると意外とデッドスペースが大きくなってしまうのだ。

ここは、大サイズの2/3程の長さの仕切り板があれば収納コンパートメントのカスタマイズが今以上に楽しく、便利に行えるに違いない。

そして最後の収納部はカメラ機材側上部の小ポケット部分。このポケットはケースを転がす状態で縦方向にすぐ開けられることから、頻繁に取り出す必要のある小物類や上着などを収納するのに最適。

小ポケットの収納例。小さなポーチ類や予備バッテリー、DJI OSMO 360などを収納している
小ポケットの裏面は、メッシュポケットになっており、小物を整理して収納可能

また、この上部小ポケットと下部中ポケットの気室自体は繋がっており、マジックテープによる隔壁を上下にずらすことによって各収納スペースのサイズ変更も可能。下部にもう少し余裕を持たせて機材を収納したり、上部の小物類スペースを増やしたりといった使いこなしが可能になっている。

カメラ機材側を上に横倒しにしてポケットを開けた状態。これで、機材全体が見渡せる

4輪キャスターで移動もスマートに

機材を入れた状態で運んでみて、まず感心させられたのはキャスターの転がりの良さと扱いやすさ。2輪のキャリーバッグだとこれだけの重量では手にかかる負担ががとても大きくなるものだが、4輪であれば重量は全て車輪が支えてくれるので本当にラク。

車輪部の直径が十分に大きくゴム張りである上、回転が滑らかなので静かに転がせ、方向転換もスッと行えてストレスがない。さらに電車移動時などでの4輪キャリーは電車の揺れに合わせて動いてしまいがちなのだが、足先でサッとON/OFFできる車輪ストッパーレバーがあるので、移動中に神経を使うこともない。

ゴム巻きで動きも回転もスムーズなキャリー部。足先で簡単にON/OFFできるストッパーレバーも装備している

また、転がさない場合は幅広の上下引き出し式ハンドルが収納できることはもちろんだが、収納状態からでもちょこんと押すだけで数センチポップアップしてくれるところはとても使いやすい。この状態でハンドルを掴むとほんの10cmほどのところできっちりとロックがかかり、ケースを持ち上げるキャリングハンドルとして使えるのだ。階段などでケースを持ち上げるときにはここを持つのが手っ取り早いし、ケース側面の長辺部分にもハンドルがついているので、横倒し状態からでも持ち上げやすい。

上面の幅広ハンドルはフラットに収納可能。使いたい時は中央のボタンを押せば自動的にポップアップ。このままケース全体を持ち上げるハンドルとしても使えるし、好みに合わせて4段階の長さに調節可能だ

さらに、ケースの底部車輪面にもグリップとなる凹みがついているので、車に載せる時、棚に持ち上げる時などの指がかりとして使いやすく設計されている。

現場を支えるギミック

また、この製品ならではのギミックにも注目したい。

まずは、天面に設けられた1/4と3/8サイズのネジ穴。これらは三脚ネジ穴の規格なので、カメラや照明用の各種パーツが取り付け可能になっている。取り付ける天面の板が薄めの軽量設計なので、カメラのようなしっかりとした固定が必要なものには向かないが、ちょっとしたモニターや自撮り棒+360°カメラなどの固定にはピッタリ。

上面スレッドにマジックアームを使い、小型モニターを乗せた使用例。適度な高さで出先でもスタッフの映像確認が捗る
天面スレッド部に、超小型LEDバッテリーライト「COLBOR W100R」を装着してみた。見た目はいい感じだが、照明として使う場合にはもうちょっと高さが欲しい場合が多い。そこで……
ダボつきのエレンクリップで伸ばした状態のハンドルに取り付けてみた。こんなふうに、今までにない使い方を工夫してみたくなるのがこのケースだ!

長物収納部には大きめなバッテリーポケットが用意されており、ここから天面のUSB Type-A/Type-Cポートに給電が可能。移動時など、ポケットを全部閉めたままでもスマートフォンなどに給電が可能な設計だ。

長物収納部にはモバイルバッテリー専用のポケットを装備。中には、天面のUSBポートに直結可能なUSBケーブルが装備されている
上面のUSBポートはケースを開けることなくスマホなどにケース内のモバイルバッテリーから直接、給電が可能

そしてセキュリティ面にも配慮が行き届いており、全ポケットが3桁の好きな番号で施錠可能。TSA対応なので、おもに北米などへの渡航時にも施錠したまま預け入れが可能になる。TSA対応でない錠をかけた場合、航空セキュリティは錠前やケースを破壊して内部検査をしていい決まりなのでこれは重要なポイントだ。

また、この部分にはスマートフォンでのトラッキングが可能なセキュリティタグが内蔵されている。Appleの「探す」と、Googleの「Find Hub」に対応している。

ケース上面。シリコーン製の蓋を外すと1/4、3/8のねじ穴が現れる。その下はトラッキング機能が付いた3連ナンバー式のTSAロックを装備

遠征撮影の相棒に

ここまででもかなりユニークな製品だなあと感じていたのだが、それもそのはず。こちらの製品は映像クリエイター・鳥越万紀雄さんからの、「こんなカメラ機材用キャリーがあったらいいのに」という意見が開発のきっかけになったとのこと。

鳥越万紀雄氏プロフィール

フリーランスの映像クリエイター・ビデオグラファー。
YouTubeチャンネル「まきおfilm」を運営し、カメラや映像制作に関する情報を発信。
登録者約9,800人以上、総再生回数約200万回を誇り、クリエイターが集まるコミュニティ「クラスルーム」を主宰する。

製品の開発に関しては、ワンオペ、または少人数で活動するビデオグラファー・フォトグラファーにとって使い勝手の良いキャリーケースを目指して、現場のプロの視点を取り込みながら進めていったとのこと。

「これまでにない」「ビデオグラファー/フォトグラファーに向けた」キャリーケースというのは僕も大いに賛同できるポイントだ。

それを考慮し、この製品の最適な使用シーンを考えてみたい。

ひとつは、雨天時の移動。多くのケースやバッグは布製だが、本製品はポリカーボネイトの本体に、止水ジッパーという構成。もちろん、完全防水ではないが少々の雨で機材が濡れる心配は少なく、雨の日でも頼れる相棒となってくれるだろう。

また、忘れ物が多い人、機材をとにかくひとつにまとめたい人にも好適。長物バッグや小物バッグ、カメラバッグなどがひとつにまとまるので忘れ物の心配を減らせる。

航空機での移動について、客室内持ち込みはサイズ的に無理。預け入れは可能だが、各航空会社の預け入れ荷物重量は22kg前後が多いため、自重が約8kgのFRAME-ONEに機材を入れると重量オーバーになりがち。また肉厚樹脂のハードケースと違い、スーツケースのような外装なので空港での荒い扱いでは、精密機材の預け入れにはちょっと心配が伴うだろう。

だが、新幹線移動で車両最後部の荷物置きスペースに荷物を置く場合などは便利。荷物がひとつにまとまるうえに各ポケットにはそれぞれTSA式のロックが採用されているし、スッと転がしてサッと車輪をロックできる。

どうしても精密なカメラワークが欲しい僕はSachtlerの「System aktiv8 flowtech75 GS」をバッグ外のカラビナ取り付け可能な足穴部分に装着。マジックテープなどは汎用品を使用している

また、肉厚樹脂のハードケースと違って業務チック、コンバットチックな雰囲気が過度に漂わないのも個人的には嬉しいところ。できるだけ仰々しいことは避け、移動はスマートに行いたい遠征撮影などに最適だと感じられた。

これまでにほとんど見られなかった「カメラマン向けの機材オールインワンのスーツケース」というコンセプトは本当に尖っており、誰にでも無条件に勧められる製品でないことは確か。

だが、新しいチャレンジから生まれた製品として、手にすると色々な使い方のアイディアが浮かんでくる実感もある。

カメラバッグ沼の住人であれば、1度は手にしてその真価を試してもらいたい製品だ。

実際の動作はこちらの動画からご確認いただけます(動画制作:編集部)
販売情報

直販サイト

※7/22日(水)に予約販売が開始。発送は8月上旬。

直販サイト:https://legend-walker.com/products/5905-72
製品情報ページ:https://tands-luggage.jp/products/5905_hard-case

実店舗

※8月上旬から販売開始予定。取り扱い店舗は以下の通り。

  • LEGEND WALKER OMOTESANSO Flagship Store
  • ヨドバシカメラ 新宿西口本店
  • ヨドバシカメラ マルチメディア池袋
  • ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba
  • ヨドバシカメラ マルチメディア横浜
  • ヨドバシカメラ マルチメディア梅田

吉村永

YouTubeがリリースされる前からネットでカメラ業界情報動画を配信していた「元祖カメラ系動画配信者」。高校生の頃から映像制作に目覚め、テレビ番組制作会社と雑誌編集を経て現在、動画と写真のフリーランスに。ミュージックビデオクリップの撮影から雑誌、新聞などの取材、芸能誌でのタレント、アーティストなどの撮影を中心とする人物撮影のカメラマン。2017年~2020年カメラグランプリ外部選考委員。