トピック

動画/静止画編集の処理速度で見る「DAIV S5」の実力

最新GPUを搭載したノートPCを6つのテストで検証

静止画・動画の編集や書き出しには、常に「重い」処理がつきものだ。スマートフォンやタブレットが高性能化して様々なことができるようになっても、写真編集や映像制作などクリエイティブな領域では、強力なマシンパワーを持つPCの優位性は依然として揺るがない。

「クリエイター向けPC」として販売されているPCが、基礎性能の面で一般用途向けPCよりも優れている必要がある理由のひとつは「時短化」だろう。静止画・動画の選定や編集、書き出しの各工程において、処理を行うマシンの基礎性能が高ければそれだけ早く作業を終えられるし、データのチェックと微調整のサイクルが速まれば、そのぶん成果物のクオリティアップに注力できる。

DAIV S5-I7G60SR-Aなら出先でも強力な動画/静止画編集が行える

便利な最新機能にアクセスしやすくなることも見逃せないポイントだ。近年のクリエイティブアプリはAI関連の機能を次々に追加している。例えばAdobe Lightroom Classicの「AIノイズ除去」や「AIマスキング」、DaVinci Resolveの「AI Magic Mask 2」や「Super Scale」、Adobe Premiere Proの「オートリフレーム」などが挙げられるが、どれも便利さの代償に高いマシンパワーを要求する。

クリエイティブアプリを快適に利用する鍵は「ビデオカード(GPU)の搭載」と「メモリ(メインメモリ)容量」だ。ごく単純化して説明するならば、並列処理が得意なGPUは大量のピクセルを同時処理するのに向いており、メモリはよく例えられるように「机(作業領域)の広さ」に相当する。もちろんCPU性能やストレージ容量も重要だが、先に述べた最新の機能を利用するにあたって、特にGPUの性能は重要性を増している。

最新世代「GeForce RTX 5060 Laptop GPU」を搭載

本稿ではこのたびマウスコンピューターのクリエイター向けPCブランド「DAIV」の15.3型ノートPC「DAIV S5-I7G60SR-A」を試用させていただき、一般向けPCでクリエイティブアプリを使った場合と処理時間にどのくらいの差が出るのかを比較した。

本題に入る前に、PCの基本的な性能を確認しておきたい。

DAIV S5-I7G60SR-Aは、CPUにCore Ultra 7 155H、ビデオカードには最新世代のミドルレンジGPU「GeForce RTX 5060 Laptop GPU」を採用し、RAW現像や4K/8K動画制作、CADをはじめとした幅広い用途に対応している。

BTOでメモリを最大64GBまで増量することも可能で、クリエイティブアプリのAI関連機能も実用的な速度で利用できる高い汎用性が魅力だ。標準構成はメモリが32GB、ストレージが1TBのM.2 NVMe SSD、OSはWindows 11 Homeで価格は37万9,800円から。

ディスクリートGPUを搭載することで映像出力も充実しており、2基のHDMI、Thunderbolt 4、mini DisplayPort、USB Type-Cと、本体のディスプレイを合わせて最大6画面の同時出力が可能となっている。

映像関連のポートを背面に集約。DisplayPort Alt Mode対応のUSB Type-Cポートに加え、HDMI×2を備える

本体ディスプレイは2,560×1,600(WQXGA)の非光沢液晶パネルを採用し、出荷前にキャリブレーションを実施済み。最大180Hzのリフレッシュレートが設定可能で、映像作品の制作や鑑賞だけでなくゲーミング用途にも向いている。

15.3型2,560×1,600(WQXGA)のディスプレイを採用

SD Express 7.0対応のSDメモリーカードリーダーやWi-Fi 7、有線LANポート、Bluetoothなどを標準装備。ディスプレイ上部に備えた内蔵Webカメラには近年のトレンドにもれず物理的にレンズを覆うプライバシーシャッターを備えている。

右側面にはSDメモリーカードリーダーも

バッテリー容量は99Whで、駆動時間の目安は動画再生時で約9.5時間、アイドル時で約18時間。

業務用途などでOffice文書を扱う必要がある場合は「Microsoft 365 Personal」のサブスクリプションが付属するモデルも用意している。

数値入力で活躍するテンキーも装備
手動でWebカメラを隠すことも可能だ

検証1:AIノイズ除去(Lightroom)

さて前置きが長くなったが、ここからはクリエイティブアプリを使った処理時間を一般向けノートPCと比較していきたい。一般用途の15.3型ノートPCを用意した。CPUにCore i7-13620Hを採用し、16GBメモリを搭載。ブラウザベースのAIアプリやOfficeアプリの利用、動画配信サイトの閲覧など比較的軽めの作業を行うぶんには支障はないスペックになる。単体のビデオカードは搭載していないが、CPU内蔵のGPUが使えるので、クリエイティブアプリの利用自体は問題ないと考えられる。

処理時間の比較に使ったクリエイティブアプリは「Adobe Lightroom Classic」(以下Lightroom)と「Adobe Premiere Pro」(以下Premiere)。どちらもGPUを使う処理には必ずGPUを用いるよう設定し、静止画と動画のそれぞれで、負荷の高い処理や書き出しにかかる時間を計測した。小数点以下の秒数は切り捨てている。

Lightroomでは「AIノイズ除去」「一括書き出し」「1:1プレビュー作成」を行なってテストしてみた。

「AIノイズ除去」は、被写体のディテールを保ったままノイズだけを判別して除去する機能。GPUの性能に強く依存し、Lightroomの中でも特に高負荷な機能として知られている。今回は20枚のRAWファイルに対して適用量50の処理にかかった時間を計測した。

AIノイズ除去の処理ではGeForce RTX 50シリーズのAI専用演算ユニット(Tensorコア)が働いている。このためGeForce RTX 5060 Laptop GPUを搭載したDAIV S5-I7G60SR-Aでは単純計算で1枚あたり7~8秒と実用的な時間で完了している一方、単体GPU非搭載かつTensorコアを持たない比較対象PCは、処理時間が極端に長引いた。この結果だけでも、GPU非搭載のPCでAIノイズ除去を使うのは現実的に難しそう、という判断ができる。

検証2:RAWデータの書き出し(Lightroom)

次に、500枚のRAWからJPEGへの変換にかかる速度を計測した。

RAWファイルの容量は1枚あたり45~50MB。ここではCPUのマルチコア性能と処理中のメインメモリ使用量を見ている。使用中のメモリがいっぱいになると速度は落ちるはずだが、最近のメモリは1枚50MB程度のファイルを扱う限りにおいては速度にさほど違いが出ないだろうし、1枚1枚の処理にかかるCPUの負荷は重くないため、大きな差はつきにくいはずである。

それでもできるだけ差が出やすいように追加の負荷をかける目的で、書き出し時の画質を100に設定し、さらにシャープネス出力として「スクリーン」の適用量「標準」でシャープネスをかけている。

搭載メモリ容量はDAIV S5-I7G60SR-Aが32GB、一般向け15.3型ノートPCが16GBだが、タスクマネージャとプログレスバーを観察した感じでは、どこかの時点でメモリがいっぱいになって速度が落ちた感じはせず、単にCPU(にGPU支援を加えた)性能の差が出ただけのように見えた。どちらも十分実用的な速度といえるが、これが数千枚以上の規模になると、軽視できない時間差になってくることは考慮に入れておきたい。

検証3:1:1プレビュー生成(Lightroom)

1:1プレビュー生成は、ライブラリ/現像モジュールにおいて等倍以上に拡大してすばやくディテールを確認する際に使用するプレビュー。500枚のRAWを読み込んで、すべてのプレビューを作成し終わるまでの時間を計測した。

大量のファイルを連続して処理するが、こちらも処理の負荷よりはストレージとメモリのリード/ライト速度が重要。DAIV S5-I7G60SR-AがDDR5-5600、一般向け15.3型ノートPCがDDR4-3200のメモリを採用しており、仕様上はどちらのストレージもNVMe Gen4 x4としか表記されていない。メモリの転送速度や帯域幅の制限分のほかには、処理に参加しているビデオカードの有無が性能差の要因となる。

ストレージとメモリの性能差に加えて、処理に参加したビデオカード専用の高速メモリ(VRAM)の有無で差が出ていることが考えられる。「メモリの容量は机の広さ」だが、VRAMとメインメモリとでは「机までの距離と道幅の広さ(帯域)」がいずれも異なる。またCPU内蔵GPUは、ビデオメモリ(VRAM)の役割をメインメモリの一部で代用するため、利用できるリソース環境がより苦しい。結果として「机までの距離が近く、道幅の広い」ビデオカードを搭載しているDAIV S5の方が早く処理を終えられた。

検証4:4K30P書き出し(Premiere)

Premiereでは、12分と3分の4K30P動画を用意して、「エンコード」「エフェクト処理の適用」「手ブレ補正効果の適用」の作業を実施した。

エンコードでは、素材となる12分の動画ファイルをH.264形式のMP4ファイルとして出力するエンコード処理にかかる時間を計測した。プリセットは「Match Source - Adaptive High Bitrate」で、パフォーマンスはもちろん「ハードウェアエンコーディング」を選択。GPUの動画変換処理能力を比較している。

現行のGeForce RTXシリーズではハードウェアエンコーダーとしてNVENCが利用できるため、ビデオカードを搭載しているDAIV S5-I7G60SR-Aが倍以上の差をつける結果となった。扱う動画ファイルの数が増えるほどにトータルでかかる時間の差は広がっていくはずだし、エフェクトをつけない単純なエンコードでもこれだけ差がつくのだから、これだけでも動画制作を行うPCにおいてGPUの恩恵は大きいといえる。

検証5:複数エフェクトの適用(Premiere)

エフェクト処理の適用では、3分の動画に対して「露出の調整」(色補正)と「ガウスぼかし」(変形)のエフェクトを設定し、適用から書き出しにかかる時間を計測した。GPUの処理性能を確認する点はエンコードと同じだが、エフェクトの処理にはGeForce RTXの並列演算性能(CUDAコア数)が効いてくる。また処理中のデータを置いておく場所もVRAMとPCのメインメモリで異なるため、これもビデオカードの搭載/非搭載で処理速度に差がつく要因となる。

1フレーム4Kのデータに1枚ずつエフェクトを適用していく計算は並列処理に参加する演算装置の数が重要。計算にはCPUだけでなく、GeForce RTX 5060 Laptop GPUのCUDAコアも使われている。VRAMの有無も処理時間の短縮に貢献しており、このテストでも、GPUの有無は動画編集の実用性に大きく影響している。

検証6:ワープスタビライザーの適用(Premiere)

手ブレ補正効果の適用では、動画に「ワープスタビライザー」エフェクトを適用し、完了するまでの時間を計測した。ワープスタビライザーは手ブレ補正効果を適用する際に動画の解析を行う。ここではCPU1コアあたりの演算能力とメモリの速度が影響する。

DAIV S5-I7G60SR-AのCore Ultra 7 155Hのコア数は16コアで、一般向け15.3型ノートPCのCore i7-13620Hは10コア。どちらも同世代のCPUとしてはミドルレンジに属しているが、世代間えのアーキテクチャ上の大きな転換が起きているため、大きな差が出ていると考えられる。処理待ち時間は基本的に「待っていることしかできない」ので、動画編集用途においてはこの時間を短縮したいかどうかでCPUを選ぶ余地がある。

まとめ

簡易的なテストながら、Lightroomを用いた計測では、GPUを使う機能の処理を除けば一般向けPCでも十分実用的な性能が得られる。

一方Premiereでは、GPUの有無で処理時間に大きな差がつく結果となっている。処理にかかる時間は短ければ短いほど良いはずなので、もし動画を扱う用途を含むPCの購入を考えている場合は、ビデオカード搭載のモデルを選んでおくのが無難だろう。

底面には吸気のためのスリットが
物理ボタンでパフォーマンスモードにできる

DAIVブランドのノートPCは現在、14~15.3型と16~18型の2ラインを展開中。画面サイズごとに構成は異なるが、クリエイターPCとして必要な処理性能を担うCPUとGPUを軸に選択が可能になっている。現行モデルではCPUがCore Ultraシリーズ2と第13世代Core、Ryzen AIシリーズから選択可能。ビデオカードはGeForce RTX 40もしくは50シリーズが主流だ。

ハイスペックなPCはクリエイティブアプリだけでなく、テレワークやゲーミングなど幅広い用途に応用が効く。

「DAIV」ブランドのPCに関しては標準で3年間のセンドバック保証と24時間365日の電話サポートがついているため、当面の間は故障による買い替えの心配をする必要もない。供給難のいまではあるが、メーカー保証が心強いタイミングでもあり、その意味では、高性能なPCを安心して長く使える今こそ、購入を検討する好機といえるだろう。

関根慎一