トピック
ハービー・山口さんの美しいモノクロを作り出す「DxO FilmPack 8」
- 提供:
- DxO Labs
2026年1月22日 07:00
アナログの質感を再現するソフトとして知られる「FilmPack」。ハービー・山口さんのモノクロ作品もこのソフトで仕上げられています。今回はハービーさんの展示でプリントを担当する「山ノ手写真」の高橋さんを交えて、ハービーさんの深いこだわりがソフトを通じてどう具現化されたのか、その制作工程と表現の秘密に迫ります。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2026年2月号』より転載・加筆したものです。
デジタルでよみがえる銀塩の記憶
高橋 :ハービーさんといえば、やはり「モノクローム」のイメージが非常に強くあります。銀塩時代からの長いキャリアがある中で、今のデジタル全盛の時代にあえてフィルムやモノクロを使う魅力は、どのように感じていらっしゃるのですか?
ハービー :そうですね。音楽においても、クリアで完璧なデジタル音源より、レコードのアナログな音を求める人が増えているのと写真も同じだと思うのです。料理に例えるならば、洗練されたコース料理も良いけれど、みそ汁を飲んだときに「あ、おふくろの味だ」とホッとする感覚に近いでしょうか。あの人間味や懐かしさといったアナログへの回帰は、どのような分野でも求められている気がします。
高橋 :近頃は若い人の間でもエモいという感覚で、オールドレンズやフィルムカメラがはやっていますね。
ハービー :デジタルカメラは高感度でノイズレスに撮れるようになりましたが、逆にそのきれい過ぎる部分を、自分の好みに合わせてザラザラとした質感へ変化させていくのが面白いのかもしれませんね。そのような自由度も写真表現の魅力です。
高橋 :プリントも少しノイズがあった方がよく見えることがあります。
ハービー :高橋さんが仕上げてくれたプリントは、黒の締まりが良いですし、目にピントを合わせている部分もシャープに見えます。これはどのような処理をしているのですか?
高橋 :これはDxOの「FilmPack」というソフトウェアを使用して仕上げています。ハービーさんのデジタルデータをそのまま素直にプリントすると、グラデーションは滑らかなのですが、階調が出過ぎてしまい、どうしてもデジタルののっぺりとした感じが残ってしまいます。そこで、FilmPackを使ってフィルム特有の「粒状感」を加えています。
ハービー :なるほど。粒状感が入ることで、逆にシャープに見えるのですね。
高橋 :粒子が加わることでピントの食いつきが良くなると言いますか、見た目の質感がグッと向上します。ハービーさんの場合、昔の銀塩プリントとデジタルのプリントを並べて展示することもありますから、そこで違和感が出ないように、デジタルの人工的な感じを消してアナログな雰囲気に近づけています。
ハービー :FilmPackは、単にノイズを乗せるだけのフィルターとは異なるのですか?
高橋 :全く異なります。実際のフィルムの粒状感や特性を細かく抽出してデータ化されています。例えば「コダック T-Max 400」や「TRI-X」など、銘柄ごとの特徴をシミュレーションでき、粒状性も細かく調整できます。最新のバージョン8では再現できるフィルムの数もかなり増えています。
ハービー :それは興味深いですね。昔のように「TRI-Xを感度3200に増感したときの荒れ具合」といったこともできるのですか?
高橋 :はい、粒状感の強弱はもちろん、フォーマットも35mm、中判、大判と選択できるため、増感現像したときの荒れたニュアンスも再現可能です。
ハービー :デジタルでもフィルムの豊かなニュアンスをいろいろ試せる素晴らしいツールですね。私も昔は森山大道さんたちに憧れて、現像液の温度を上げてザラザラにしたり、逆に微粒子現像に戻ったりと試行錯誤しましたからね。
高橋 :2026年以降もすでにいくつかの写真展をご予定されていると伺っています。
ハービー :ええ。1月19日から、「SUPER LABO STORE TOKYO」で写真展を開催します。それから大きなところでは、2026年に六本木の富士フイルムスクエア、暮れには台北ライカギャラリーでの企画展が決まっています。
高橋 :大伸ばししたときこそ、FilmPackで足した粒状感が効いてくると思います。
ハービー :デジタルでもフィルムでも、最終的に人の心に届く良い写真に仕上げることが一番大切ですから。高橋さんのプリント技術とこのソフトの力を借りて、これからも作品を作っていきたいと考えています。
高橋流 ハービー・山口のモノクロ写真の仕上げ方
1.シミュレートするフィルムを選ぶ
ハービーさんの作品では「Kodak T-Max 400」を選ぶことが多い。かつてハービーさんが使用されていた銘柄の1つであることはもちろんだが、粒状感が比較的整っており、微粒子で上品な印象に仕上がる点が大きな理由だ。撮られた状況を加味してフィルムを選ぶことがある。例えば夜間撮影など増感した雰囲気を出すなら「Fujifilm Neopan 1600」も有力な選択肢となる。
2.粒状感を設定する
レンダリングを上げるとコントラストが強過ぎるので、ほどよいところが「25」だった。粒状感は、ハイライトから中間調にかけての効果を見つつ決めている。今回は「85」を選んだ。
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