132°の画角を持ちながら、ディストーションの少ない直線的な描写が魅力。画面周辺の星にも不自然な色付きはない
ソニー α7R V/9mm/マニュアル露出(F5.6、15秒)/ISO 12800/WB:オート 高画質な星空風景を撮影するには、フルサイズフォーマットのカメラと広角レンズが有利。特に、夏に立ち昇る天の川は端から端までしっかりと写し込みたい。そんな星空風景に最適なレンズを、2回にわたって紹介する。1回目は、フルサイズ編として広い画角をストレートに表現できる超広角レンズと、夜空を1枚に写し込める対角魚眼レンズをピックアップした。
藤原嘉騎
米国National Geographicや、米国Walt Disney Companyにサプライヤー登録されている写真家。多数の国際フォトコンテストで受賞歴を持ち、企業やカメラメーカーへの写真提供、雑誌への寄稿など幅広い活動を行う。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年8月号』より転載・加筆したものです。
夜空の広がりと輝く星をシャープに見せる
七工匠 7Artisans 9mm F5.6 ASPH+リアフィルターセット
発売日:2025年5月30日
実勢価格(税込):9万8,000円前後(レンズ単品)
9万9,000円前後(ND64フィルターが付属)
9万9,000円前後(ND1000フィルターが付属)
10万円前後(ND64フィルター+ND1000フィルターのセット)
●SPECIFICATION
対応マウント:キヤノンRF、ソニーE、ニコンZ、ライカL
レンズ構成:11群16枚
絞り羽根枚数:5枚
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.2m
フィルター径:専用のNDのみ
外形寸法(最大径×全長):約70×82mm
質量:約467g
※数値はソニーEマウント 圧倒的な超広角で、広大な星空と地上の風景を同時に写し込めるのが最大の魅力。132°の画角の中には夏の天の川も余裕で収まり、ダイナミックな星空風景が撮影できる。描写性能も高く、開放絞りでも中心部はシャープで、星も点像に近い描写となる。個性的で広がりのある星空風景写真を撮りたい人に強くおすすめできるレンズだ。専用のリアNDフィルターは昼間の風景撮影に重宝する。
足元の木道のディテールを写し込みながら、頭上に広がる天の川をダイナミックに収めた。星空のスケールと輝きの臨場感を表現できる
ソニー α7R V/9mm/マニュアル露出(F5.6、15秒)/ISO 12800/WB:オート POINT 1|画面周辺まで色収差を抑制して描写
ソニー α7R V/9mm/マニュアル露出(F5.6、15秒)/ISO 12800/WB:オート 上の写真の左上部を拡大してみる。星の周囲に不自然な色付きはなく、美しい星空が再現される。本レンズには非球面レンズ2枚、EDレンズ2枚、高屈折レンズ3枚が採用され、色収差がしっかりと抑制されている POINT 2|10本の美しい光条が夜の風景を輝かせる
ソニー α7R V/9mm/マニュアル露出(F11、13秒)/ISO 100/WB:オート F11まで絞って、道路のライトから光条を発生させた。F値を絞ると10本の美しい光条が現れる。星の撮影では絞ることはないが、都市夜景などで絞って撮影するときらびやかな雰囲気の写真が撮れる 立ち昇る天の川を広く描く
七工匠 7Artisans 10mm F2.8 II Fish-eye ED
発売日:2025年5月16日
実勢価格(税込):5万6,000円前後
●SPECIFICATION
対応マウント:キヤノンRF、ソニーE、ニコンZ、ライカL
レンズ構成:8群11枚
絞り羽根枚数:10枚
最小絞り:F16
最短撮影距離:0.15m
フィルター径:装着不可
外形寸法(最大径×全長):約74×89mm
質量:約602g
※外形寸法と質量はマウントにより異なる 夜空を横断する天の川もあますことなく捉えられるのが魅力だ。広大な夜空を185°の画角に収められる魚眼レンズ。開放F2.8でも高いシャープネスを持ち、中心から周辺までしっかりと星を点像で描写が可能だ。金属製の鏡筒は高級感があるだけでなく、堅牢性も備えているため、フィールドでも安心して使える。暗い場所で見やすい蓄光塗料が施されるなど細やかな配慮もうれしい。
画像の中心の建物は比較的自然な描写だが、周辺部に行くほど魚眼レンズ特有の湾曲が現れる。185°のダイナミックな世界が楽しい
ソニー α7R V/10mm/マニュアル露出(F11、13秒)/ISO 6400/WB:オート POINT 1|開放F2.8でも星を点像として描き出す
レンズを真上に向けて地平からかかる天の川を写し出した。F2.8の開放絞りで立ち昇る夏の天の川をはっきりと浮かび上がらせた
ソニー α7R V/10mm/マニュアル露出(F2.8、15秒)/ISO 6400/WB:オート 開放F2.8でも、画面中央から周辺にかけて非常にシャープな描写となる。非球面レンズ1枚とEDレンズ2枚を使用した結果、コマ収差や色収差も抑えられている。上の写真の星を拡大してみても、点像で描写しているのが分かる POINT 2|微調整も軽快に行えるフォーカスリング
フォーカスリングの操作感が滑らかで、MFの操作性が高い。適度なトルク感があり、軽過ぎず重過ぎない絶妙なフィーリング。微調整がしやすく、無限遠の位置で滑らかにピントが合わせられるのでスピーディーに撮影できる ・七工匠 7Artisans 9mm F5.6 ASPH + リアフィルター セット
・七工匠 7Artisans 10mm F2.8 II Fish-eye ED 魚眼レンズ