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鉄道写真の可能性を広げるキヤノンの最強タッグ

長根広和さんおすすめ! 魅惑のEOS R5 Mark II&RFズームレンズ

キヤノン EOS R5 Mark II/RF70-200mm F2.8 L IS USM Z/200mm/マニュアル露出(F10、1/800秒)/ISO 800/WB:太陽光

RF70-200mm F2.8 L IS USM ZはRF70-200mm F2.8 L IS USM に対して画質は同等以上と公表されているが、個人的にはさらに線の細い描写をする印象だ。桜並木に沿って疾走する列車を捉えたが、拡大して見るとその高精細さに鳥肌が立つほどである。スチル撮影でも感動すること間違いなしの名玉だ。

EOS R5 Mark II
カメラグランプリ2025「あなたが選ぶベストカメラ賞」を受賞

キヤノンRFレンズシリーズの多彩なラインアップから、長根氏が愛用する2本のズームレンズをピックアップ。一期一会の鉄道風景を美しく捉えるなら、ぜひともこの2本のレンズとEOS R5 Mark IIの最強タッグを体感してほしい。

長根広和

鉄道会社のポスターやカレンダー、時刻表の表紙写真などを手掛ける。車両そのものの機能美や力強さを表現した写真に定評がある一方、ドラマチックな鉄道風景写真にファンが多い。日本鉄道写真作家協会会長。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年6月号』より転載・加筆したものです。

どんなシーンも美しく描く妥協なき描写性能

RF15-35mm F2.8 L IS USM
発売日:2019年9月27日
キヤノンオンラインショップ価格:34万6,500円(税込)

●SPECIFICATION
レンズ構成:12群16枚
最小絞り:F22
絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
最短撮影距離:0.28m
最大撮影倍率:0.21倍(35mm時)
フィルター径:φ82mm
最大径×長さ:約φ88.5×126.8mm
質量:約840g

超広角レンズと言うと、風景を広く写せるイメージが強いが、私が使う一番の理由は“迫力”を出すためだ。主題にグッと寄って撮影できるのはもちろん、強いパースペクティブを利用してダイナミックな構図にできる。被写界深度が深いのでカッチリとした写真が撮れるのも魅力だ。

POINT 01|太陽を入れても破綻しない優れた逆光性能

キヤノン EOS R5 Mark II/24mm/マニュアル露出(F13、1/1,600秒)/ISO 1600/WB:太陽光

私は鉄道風景が最も魅力的に撮れるのは逆光、半逆光の撮影だと思っている。光が作り出す一期一会の瞬間には必ずドラマがある。太陽そのものを入れ込むことも多く、逆光性能は私にとっての生命線。上のカットでは太陽を入れてヒマワリを透過光で輝かせた。順光の鮮やかさに比べてドラマチックな印象が増している。優れた逆光性能に助けられた1枚だ。

POINT 02|列車を周辺に置いても安心の高画質

キヤノン EOS R5 Mark II/15mm/マニュアル露出(F10、1/1,000秒)/ISO 1600/WB:太陽光

ミラーレスカメラのメリットが生かされたRFレンズの超広角ズームゆえ、周辺の描写はじつに素晴らしい。冬の渓流を画面いっぱいに配し、列車を隅で写し止めたが見事に描写してくれた。安心して画面構成ができるので、さまざまな構図にチャレンジしたくなる。

POINT 03|写真に迫力が加わるパースペクティブ

キヤノン EOS R5 Mark II/17mm/マニュアル露出(F8、1/2,000秒)/ISO 1600/WB:太陽光

パースペクティブ、すなわち強い遠近感を出せるのが超広角レンズの魅力。もちろん、下からあおって撮影すれば列車はゆがんでしまうのだが、このゆがみも迫力につながると私は考えている。あらゆる要素が多く写るので、フレーミングは細心の注意が必要だ。ここでは桜を額縁のように使い、画面に奥行きを加えている。広い範囲が写るので、特に画面の四隅は撮影前にしっかり確認をしよう。

さらなる高みへ誘う極上の望遠ズーム

RF70-200mm F2.8 L IS USM Z
カメラグランプリ2025「あなたが選ぶベストレンズ賞」を受賞

発売日:2024年11月29日
キヤノンオンラインショップ価格:49万5,000円(税込)

●SPECIFICATION
レンズ構成:15群18枚
最小絞り:F22
絞り羽根枚数:11枚(円形絞り)
最短撮影距離:0.49m(70mm時)、0.68m(200mm時)
最大撮影倍率:0.2倍(70mm時)、0.3倍(200mm時)
フィルター径:φ82mm
最大径×長さ:約φ88.5×199mm
質量(三脚座含まず):約1,115g(ホワイト)、約1,110g(ブラック)

鉄道撮影で最も使用する70-200mm域のレンズだけに、性能への要求は高まる。エクステンダーが装着可能なことに加え、非Zモデルを凌駕する精緻な描写は、鉄道風景をこれまで以上に美しく残してくれる。まさに極上とも言える本レンズは、一番のお気に入りレンズとなった。

POINT 01|列車を捉えて離さない正確無比なAF性能

キヤノン EOS R5 Mark II/159mm/マニュアル露出(F11、1/1,000秒)/ISO 1600/WB:太陽光

AFのスピードがすこぶる速いこのレンズは、EOS R1やEOS R5 Mark IIという最新カメラとの相性が抜群。高速で走る列車を追従する「検出する被写体:乗り物優先」の性能を遺憾なく発揮。向かってくる特急やくもを早々に認識したと思ったら、ピントをつかんだまま離さない。驚くことにミスショットは1枚もなかった。

POINT 02|主役をさわやかに彩る美しいボケ味

キヤノン EOS R5 Mark II/163mm/マニュアル露出(F2.8、1/4,000秒)/ISO 800/WB:太陽光

踏切にピントを合わせF2.8で撮影。手前の草のボケがとても美しく、SLマークの標識のボケ感も理想通りに。さらに踏切はもちろんのこと、その先を走るトラクターは高精細に描写されている。このメリハリある表現がじつに気持ち良く、開放F2.8レンズのメリットを存分に感じられる。だからF4ではなくF2.8レンズが私は好きだ。

POINT 03|エクステンダーの使用で最大400mmをカバー

キヤノン EOS R5 Mark II/400mm/マニュアル露出(F7.1、1/30秒)/ISO 12800/WB:太陽光/EXTENDER RF2x

本レンズ最大の魅力は、ズーム全域でエクステンダーが使用できることだ。これまで200mmオーバーの撮影のためにRF100-500mmも一緒に携行していたが、もうその必要はない。さっとエクステンダーを装着し、400mmによる圧縮効果を利用し線路の傾斜をダイナミックに写し撮った。AFや画質に関してデメリットをほとんど感じさせないことにも驚きだ。

EXTENDER RF2x
キヤノンオンラインショップ価格:8万5,800円(税込)

EXTENDER RF1.4x
キヤノンオンラインショップ価格:7万1,500円(税込)

ニューラルネットワークノイズ低減を使えば夜の撮影の幅がさらに広がる

キヤノン EOS R5 Mark II/28mm/マニュアル露出(F5、1/250秒)/ISO 51200/WB:太陽光
効果:標準

鉄道は高速シャッターが必要ながら高感度による画質劣化は避けたいワガママな被写体。そんなワガママにはEOS R5 Mark IIのニューラルネットワークノイズ低減が最適だ。作例のようなISO 51200の高感度時でも美しい画質に仕上がる。おかげでF値にも少し余裕ができるので、絞って桜をぼかさずに撮影できた。ニューラルネットワークノイズ低減と組み合わせることで、これまではあきらめていた夢のような撮影が可能になった。

長根広和