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上位機並みの連写性能やAFを誇る「ニコン Z5II」野鳥撮影の実用度
- 提供:
- 株式会社ニコンイメージングジャパン
2025年4月18日 07:00
フルサイズ入門機のZ5が約5年を経てZ5IIへと進化した。Zシリーズの野鳥撮影能力はZ9を機に飛躍的に向上しており、定評のある9種類の被写体検出をはじめとするAF機能は、以降のモデルに順次搭載されてきた。Z5IIでもZ9譲りの機能が盛り込まれ、被写体検出の「鳥」専用モードが採用されたことで、手が届きやすい価格帯のカメラでも本格的な野鳥撮影が楽しめるようになった。実際にZ5IIをフィールドに持っていき、その実用度を検証してみたい。
1972年生まれ。東京農業大学農学部林学科卒業。主に野鳥や飛行機の撮影を得意とし、雑誌やカレンダー、広告などに作品を発表する。「Jetscape~飛行機のある風景」と、「Birdscape~鳥のいる風景」を2大テーマに国内外を飛び回る。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年5月号』より転載・加筆したものです。
Z5IIはAF・連写・画質・画作りなど全方位に進化した新フルサイズ
今回は公園の池でのカモ類やカワセミに始まり、暗い森林での小鳥類、海辺でのシギ・チドリ類、夜明けの沼でのガンやハクチョウ類の飛翔など、あらゆるシーンにZ5IIを投入したが、各場面において上位機種に迫る能力を確認できた。
3,000cd/㎡の高輝度EVFは明るい屋外でも見やすく、動体撮影時の追従性も旧世代モデルより飛躍的に向上。センサーの特性上、連写時のブラックアウトや電子シャッター時のゆがみなど、上位機種にかなわない部分はあるものの、実勢価格でZ8の約半額ということを考慮すれば十分過ぎる性能を持つ。
画質面では2,450万画素の広い画素ピッチらしく高感度性能に優れ、低感度撮影時でも透明感や立体感にあふれる描写が得られる。Z5IIはこれから野鳥撮影を始めるメイン機として、Z9やZ8のサブ機としても心強い相棒となるだろう。
ニコンダイレクト参考価格(税込):25万8,500円(ボディ単体)、29万9,200円(24-50レンズキット)、35万8,600円(24-200レンズキット)
●SPECIFICATION
イメージセンサー:2,450万画素、フルサイズ、裏面照射型
画像処理エンジン:EXPEED 7
ボディ内手ブレ補正:中央7.5段、周辺6.0段
イメージングレシピ:対応
記録メディア:SDカード(UHS-II対応)、ダブルスロット
電子ビューファインダー:0.5型、Quad-VGA OLED、約369万ドット、3,000cd/㎡
シャッター速度:1/8,000~30秒(900秒まで延長可能)、Bulb、Time
連続撮影速度:高速連続撮影:最高約14コマ/秒(JPEG記録)
ハイスピードフレームキャプチャー+:最高約30コマ/秒(JPEG記録)
常用ISO感度:ISO 100~64000
AF低輝度限界:-10EV
被写体検出設定:人物、犬、猫、鳥(専用モード)、車、バイク、自転車、列車、飛行機(専用モード)
記録画素数/フレームレート:4K 60p(クロップ)、4K 30p(フル画角)、フルHD 120pほか
最長記録時間:125分
映像圧縮方式:N-RAW(12bit)、H.265/HEVC(8bit/10bit)、H.264/AVC(8bit)
背面モニター:3.2型TFT、約210万ドット、バリアングル式、タッチパネル
インターフェース:USB Type-C、HDMI Type Dほか
バッテリー:Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL15c
撮影可能コマ数:約330コマ(ファインダーのみ、パワーセーブオフ)
使用温度:0~40℃
外形寸法(W×H×D):約134.0×100.5×72.0mm
質量:約700g(バッテリーおよびメモリーカードを含む)
野鳥撮影時は現場で混乱しないように操作を簡略化するのがコツ。撮影時の操作はシャッター速度で被写体ブレとカメラブレをコントロールし、カメラが鳥を正しく認識できるAFエリアモードを選択するという2点に留意しよう。
・撮影モード:マニュアル露出
・F値:開放絞り
・シャッター速度:1/2,000秒を基準に、周囲の明るさや鳥の動きに応じて1/125~1/4,000秒の間で調節
・ISO感度:オート
・ホワイトバランス:オートまたは晴天
・フォーカスモード:AF-C
・AFエリアモード:ワイドエリアAF(L)またはオートエリアAF
・被写体検出設定:鳥
POINT 01|プリキャプチャーを使えば1秒前の瞬間も逃さない
Z5IIはプリキャプチャーに対応し、シャッターボタンを押してから最大1秒前までさかのぼれる。AF/AE追従で最高30コマ/秒の高速連写が行えるハイスピードフレームキャプチャー+を組み合わせることで、鳥の飛び立ちなどの予測しづらい動きも撮影できる。画質がJPEG(L)NORMALで被写体が高速だとゆがむことがあるが、決定的瞬間を逃さずに一連の動きを記録できるのは魅力だ。
POINT 02|鳥専用の被写体検出とAFの精度はかなり優秀
Z9から受け継がれる9種類の被写体検出がZ5IIにも採用された。Z5IIは鳥専用モードを搭載しており、快適な野鳥撮影をサポート。実写における検出精度は上位機種と同等で必要十分だ。AF合焦時間もZ5比で1/3に短縮されたこともあり、AF速度の面でも上位機種に引けを取らない。AFエリアモードはオートエリアAF、ワイドエリアAF(L)、シングルポイントAFの3種を使い分ける。
POINT 03|優れた高感度画質は薄暗い飛翔シーンで活躍
Z5IIの最高常用ISO感度は64000と、Z6IIIと同等の高感度性能を備える。AF低輝度限界も-10EVで、暗所性能においてはZ9やZ8を超えてニコンNo.1を誇る。野鳥撮影においては、夜明け前後に飛び立つガンの群れや日没前後にねぐら入りするチュウヒやハイイロチュウヒの撮影など、光量が厳しい薄暮の時間帯でもシャッター速度を稼ぎたいというような場面で大きな武器となる。
POINT 04|鳥の質感描写は申し分なく用途次第でトリミング可能
クロップ撮影やトリミングが日常の野鳥撮影において、フルサイズ2,450万画素では物足りないのは事実だが、巨大なプリントにでもしない限りは十分な画素数とも言える。特に等倍鑑賞時は高画素機よりも質感描写が優れている印象だ。フルサイズ撮影時は6,048×4,032pxで約2,438万画素、1.5倍の望遠効果が得られるDXクロップ時は3,984×2,656pxで約1,058万画素となる。