トピック

自分だけの表現に出合えるOM SYSTEM OM-3の充実機能

「Coordinate」第2回 中藤毅彦×都市風景

OM SYSTEM OM-3
中藤毅彦

「OM SYSTEM OM-3」には撮影と同時に自在な画作りが可能な充実の機能が備わっている。今回は、モノクロプロファイルコントロール機能を駆使して自分好みのモノクローム写真を得るべく、写真家・中藤毅彦さんが都市風景と対峙する。(編集部)

※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年4月号』より転載・加筆したものです。

しっとりとした雨の夜に横浜にて撮影した。防塵・防滴性能が備わっているOM SYSTEM OM-3であれば、雨の中でも安心してスナップ撮影が可能である。近代的な高層ビル群とクラシックな屋形船の対比が面白かった
M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/20mm(40mm相当)/絞り優先AE(F1.4、1/60秒、+1.0EV)/ISO 6400/WB:オート
カメラの前面に配置されたクリエイティブダイヤルをモノクロにセットして、サンフランシスコの港を撮り歩く。ファインダーの中には重厚なモノクロの世界が広がる。分厚い雲と光の描写が美しい
M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/20mm(40mm相当)/絞り優先AE(F10、1/1,600秒、+0.3EV)/ISO 6400/WB:オート
OM SYSTEM OM-3
発売日:2025年3月1日
実勢価格(税込):26万4,000円前後(ボディ)、29万7,000円前後(12-45mmキット)

●SPECIFICATION
イメージセンサー:有効約2,037万画素、4/3型 裏面照射積層型 Live MOSセンサー
記録メディア:SD、SDHC、SDXC(UHS-I/II)
ファインダー:OLED、約236万ドット
背面モニター:3.0型、約162万ドット、タッチパネル
手ぶれ補正効果(※CIPA2024規格準拠):中央6.5段、周辺5.5段(ボディ単体)/中央7.5段、周辺6.5段(シンクロ手ぶれ補正時)
常用ISO感度:200~25600
シャッター速度:1/8,000~60秒(メカ)、1/32,000~60秒(電子)
連続撮影速度:最高約120コマ/秒(AF/AE固定)、最高約50コマ/秒(AF/AE追従)
動画:C4K 60p、縦位置対応
外形寸法(W×H×D):約139.3×88.9×45.8mm
質量:約496g(付属充電池およびメモリーカード含む、アイカップなし)

高性能とマニアライクな趣味性を高次元に融合させた意欲作

OM SYSTEM OM-3は、金属ボディの高い質感が際立つ美しいヘリテージデザインのカメラである。しかし、そのスタイリッシュでクラシカルな外観とは裏腹に、コンピュテーショナル フォトグラフィ機能をはじめ、フラッグシップ機と同等の機能が満載の最新機であり、高性能とマニアライクな趣味性の高次元な融合に成功している。デザインは異なるが、その存在感はOLYMPUS PEN-Fの姿を彷彿とさせる。

今回、そのOLYMPUS PEN-Fと同様のカラー/モノクロプロファイルコントロールが搭載され、撮影と同時進行で撮影者のイメージに沿った画作りが可能となった。特に、モノクロでの豊富なプリセットときめ細かいパラメーターの充実ぶりは特筆に値する。パソコンなどを使った煩わしいRAW現像をしなくてもカメラ内の機能だけで自分好みの画像が得られるため、モノクロ派にとって極めて有用な機能と言えるだろう。

サンフランシスコの下町で出会ったクラシックファッションの個性的な男性を撮影した。AI被写体認識AFを「人物」に設定しておけばピントはカメラに任せられるため、構図に集中できるのが便利だ
M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/20mm(40mm相当)/プログラムAE(F9、1/125秒、-0.3EV)/ISO 500/WB:オート
1960年代のヒッピームーブメントの中心地だったサンフランシスコのヘイトアシュベリーでの1コマ。ジャニスジョプリンに良く似た魅力的な女の子を見つけて撮影させてもらった。威圧感を与えないコンパクトさと美しいデザインも本機の魅力だ
M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/20mm(40mm相当)/絞り優先AE(F1.4、1/2,000秒、±0EV)/ISO 400/WB:オート
大降りの雨の夜、横浜の観覧車を狙った。防塵・防滴ボディとレンズの組み合わせのおかげで、このような悪条件でも水の侵入を気にせず安心して撮影できた。傘を差していても取り回しやすい機動力の高さを改めて実感した
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II/17mm(34mm相当)/プログラムAE(F3.2、1/80秒、±0EV)/ISO 6400/WB:オート

STYLE 01|4つのプリセットから選んでさまざまなモノクロ表現を楽しむ

モノクロプロファイル機能では基本的な4つのプリセットをベースに自分好みにカスタマイズできる。標準のプリセット1のほか、銀塩フィルム的な強い描写の2、赤外フィルム的な3、柔らかい描写の4が用意される。さらにカラーフィルター、シェード効果、シャープネス、ハイライト&シャドウ、粒状フィルム効果などの項目が調整可能だ。ここでは2を選びモノクロフィルム調に仕上げた。

モノクロプロファイル2
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II/25mm(50mm相当)/絞り優先AE(F10、1/640秒、±0EV)/ISO 800/WB:オート
モノクロプロファイル1
モノクロプロファイル3
モノクロプロファイル4

STYLE 02|ハイコントラストで見せる重厚フィルムスタイル

パラメーター
・シェード効果:+3
・粒状フィルム効果:強
・ハイライト&シャドウ:ハイライト+6、ミッドトーン0、シャドウ-6

標準のプリセット1をベースに、ハイライト&シャドウコントロールでコントラストを高めた上で、シェード効果を+3に設定し、思い切り周辺光量を上げた。露出オーバー目の銀塩フィルムから中心部を焼き込んで仕上げた、暗室での手焼きプリントといったイメージである。さらに粒状感を強めてフィルムの粗粒子現像を想起させた。

M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II/25mm(50mm相当)/絞り優先AE(F7.1、1/2,000秒、±0EV)/ISO 800/WB:オート

STYLE 03|赤のカラーフィルターでクラシックテイストに仕上げる

パラメーター
・カラーフィルター:赤+2
・シェード効果:-1
・粒状フィルム効果:強
・ハイライト&シャドウ:ハイライト+6、ミッドトーン0、シャドウ-6

プリセット1をベースに、カラーフィルターの赤を+2に設定し、シェード効果を−1、粒状フィルム効果を強に設定した。イメージとしては、周辺光量の不足するクラシックなレンズで撮影された19世紀あたりの古典写真といったところである。このように、カメラ内で画像を作り込んでイメージを具現化できるのが楽しい。

M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO/20mm(40mm相当)/絞り優先AE(F8、1/2,500秒、+0.7EV)/ISO 800/WB:オート

スナップ撮影に最適な2本の新単焦点レンズで一瞬を切り取る

同時に登場した2種類の軽快な単焦点レンズは、小型・軽量さはそのままに新たに防塵・防滴化され、雨天や雪などの悪天候下でも気にせずに安心して使用できるようになったのもありがたい。取り回しの良い小型・軽量ボディのOM SYSTEM OM-3と組み合わせれば、街やフィールドでのスナップに最適なタフなコンビとなる。

意欲作OM SYSTEM OM-3の登場はOMシリーズの新たな展開の幕開けとなるだろう。

多彩な表現を支える小型広角レンズ

M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
発売日:2025年3月1日
実勢価格:5万7,000円前後(税込)

●SPECIFICATION
レンズ構成:6群9枚
最小絞り:F22
絞り羽根枚数:7枚(円形)
最短撮影距離:0.25m
最大撮影倍率:約0.08倍(35mm判換算0.16倍相当)
フィルター径:φ46mm
外形寸法(最大径×全長):約57.6×37.6mm
質量:約112g

初代のモデルを長い期間愛用してきた。取り回しが良いのはもちろん、明るさも描写も申し分なく、マイクロフォーサーズ機の利点である小型・軽量さをフルに発揮できるレンズであった。しかし、防塵・防滴でないことが唯一の難点と感じていた。今回、II型となって各部が改良されたが、中でも防塵・防滴が実現し、悪天候下でも安心して使えるようになったことは大きい。OM SYSTEM OM-3と併せて常用したい1本だ。

35mm判換算で34mm相当の画角である本レンズは、適度に街の風景を写し込むスナップショットには最適だ。防塵・防塵化されながらもコンパクトさは健在で、気軽にスナップ撮影が楽しめる。インパクトある壁画の前に人物が通り過ぎる瞬間を狙った
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II/17mm(34mm相当)/絞り優先AE(F5.6、1/2,000秒、+0.3EV)/ISO 400/WB:オート

主題を際立たせる高性能標準レンズ

M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
発売日:2025年3月1日
実勢価格:4万8,000円前後(税込)

●SPECIFICATION
レンズ構成:7群9枚
最小絞り:F22
絞り羽根枚数:7枚(円形)
最短撮影距離:0.25m
最大撮影倍率:約0.12倍(35mm判換算0.24倍相当)
フィルター径:φ46mm
外形寸法(最大径×全長):約59.4×42.0mm
質量:約156g

35mm判換算で50mm相当の標準レンズは、街のディテールの一部を切り取る撮影や、ポートレート的なスナップに適した画角だ。F1.8という必要にして十分な開放値と小型・軽量サイズにより、ボディと見事に一体化する。17mmと同様II型になって、防塵・防滴化のほか、ZEROコーティングの採用による描写向上、フォーカスリングの改良によるMF操作の向上など、より完成度の高まった1本となっている。

街のショーウインドウで見かけた気になるディスプレイの一部を切り取ってみた。開放絞りの艶やかな描写が、ブーツのオブジェのメタリックな質感を見事に捉えてくれた
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II/25mm(50mm相当)/絞り優先AE(F1.8、1/8,000秒、±0EV)/ISO 800/WB:オート
中藤毅彦

(なかふじ たけひこ)1970年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部中退。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。都市のスナップショットを中心に作品を発表し続けている。 国内の他、東欧、ロシア、キューバ、パリ、ニューヨークなど世界各地を取材。作家活動と共に、東京四谷三丁目にてギャラリー・二エプスを運営。 写真集に『Enter the Mirror』『Winterlicht』『Night Crawler』『Sakuan,Matapaan-Hokkaido』『Paris』『STREET RAMBLER』がある。第29回東川賞特別作家賞受賞。第24回林忠彦賞受賞。