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富士フイルム「ポートフォリオレビュー/アワード」、講評担当の写真家によるトークイベントを開催
2025年3月3日 18:36
富士フイルム株式会社が主催する若手写真家応援プロジェクト「ポートフォリオレビュー/アワード 2024」のアワード展開催に合わせて、同アワードの受賞者およびレビュワーによるトークイベントが行われる。開催日は東京会場が3月29日(土)、大阪会場が4月26日(土)。
45歳以下の写真家から作品を募集し、審査・講評を担当したプロの写真家(レビュワー)が受賞者の写真展開催をサポートするという企画。2024年4月~6月にかけて作品を募集し、10月に最終選考を実施し受賞者を決定していた。
受賞者によるアワード展は、3月21日(金)に富士フイルムフォトサロン 東京でスタートし、4月10日(木)まで開催。その後4月25日(金)~5月8日(木)にかけて富士フイルムフォトサロン 大阪に巡回する。
3月22日(土)には、レビュワーを務めた浅田政志氏、公文健太郎氏、小林紀晴氏、野村恵子氏ら4名によるトークショーも開催。フジフイルム スクエアでのリアル参加、もしくはオンライン参加が可能。いずれも事前予約制で参加費は無料だが、リアル参加は先着150名となっている。
冒頭に触れた受賞者およびレビュワーによるギャラリートークでは、それぞれ「受賞者×レビュワー」の組み合わせで、レビューの過程や作品づくりについて語る内容という。
アワード受賞者紹介(五十音順・敬称略)
Vol.1 赤堀あゆみ「ちちよせあつめ」(レビュワー:浅田政志)
父の還暦を機に、これまで撮った写真を改めてプリントしてみようと思いました。
記念写真や記録写真、視覚的に面白いと思ったもの、何となく繰り返し現れるけれど全く同じではない時間、いつかは無くなる日々の写真たち。
父を撮ることは、お互いのどちらかが棺桶に入るまで、または燃え尽きてもなお、存在を感じながら続けるだろうな……とぼんやりと思っており、その時のために向かって撮っている気すらしています。
けれど写真を見直している時に感じるのは絶対的に訪れる喪失への不安ばかりではなく、今まで続いてきた時間の強さと圧倒的なパワーでした。
私の父って最高じゃん!
そのパワーや楽しさが、写真を見てくれた誰かにも伝わったらいいなと思っています。決め顔の父から普段の父、その周りの人間たちを楽しんでいただけたら幸いです。
Vol.2 梶瑠美花「わたしのなかの彼女」(レビュワー:野村恵子)
わたしは見たい――彼女たちの姿を。
わたしは聞きたい――彼女たちの語りを。
新型コロナウイルスが私たちの生活を脅かし始めたころ、九州で医療従事者として働いていた私は、SNS上での繋がりだけでは満たされないものを感じ、自分を見失っていました。ついには仕事を辞め、それからは毎週のように見知らぬ女性たちに会い続けることにしました。
SNSで繋がった彼女たちが選ぶ場所で共に過ごす時間。親しい間柄ではないからこそ、表出できるものもあるのだろうか。抑圧された世界から解放されるたび、私たちは少しだけ自己を取り戻すような経験をする。
この相互作用が、撮るものと撮られるものの間だけに留まらず、さらなる外側へと続いていくことを願っています。
Vol.3 鎌田三四郎「影を遺す」 (レビュワー:小林紀晴)
この作品では、記憶と場所を結びつける行為を視覚化しています。いずれ取り壊される祖母の古民家に、古い家族写真を用いることで自分のルーツを明らかにし、自身の身体や記憶、そして祖先の魂が土地やそこにある家具などに存在していることを写真作品で証明しようと試みました。
2020年のコロナ禍で、私は祖父と曾祖母を亡くしました。簡素化された葬式で、親族の死が自分と全く関わりがないような、あっけない感覚を覚えました。同時に自分のルーツを感じさせてくれる彼らの存在が自身と引き離されていくような恐怖を感じました。
私が今回の表現を選んだのは、記録写真は実体のある物的証拠であり、かつてそこにいた人たちの死や消失を想起させる素材になっていると考えたからです。これらの行為により、家族の記憶に対して訪れる消滅への抵抗と、自分にとってそれらを受け入れるための儀式となっています。
Vol.4 和佐阿佑美「1/2」(レビュワー:公文健太郎)
泉北ニュータウンという、50年余前に開発された土地に、結婚を機に住んでいます。 C.A.ペリーの『近隣住区論』をもとに計画されたというこの街は、いい意味で空っぽです。ほどよく自然があり、忙しない日常とは反対に、時間が止まっています。田舎育ちの私には心地よく、新参者を優しく受け入れてくれました。
子供を産み育てるのは、不思議な行為。 赤子のころは「お母氏似だね」と言われることが多かったけれど、大きくなるにつれ夫に瓜二つ。一方で性格は、嫌なくらい私に似ている。遺伝子の半分は私で、もう半分は夫なのです。
幼児から少女に変わりゆく今、妙な恐ろしささえ感じています。これからどのような表情を見せてくれるのだろうか。家族の見えない繋がりを追いかけるように記録しています。
アワード展概要
富士フイルムフォトサロン 東京
- 開催日:2025年3月21日(金)~4月10日(木)
- 開館時間:10時00分~19時00分(最終日は14時00分まで)
- 休館日:会期中無休
- 入館料:無料
富士フイルムフォトサロン 大阪
- 開催日:2025年4月25日(金)~5月8日(木)
- 開館時間:10時00分~19時00分(最終日は14時00分まで)
- 休館日:会期中無休
- 入館料:無料
レビュワー4名によるトークイベント
- 日時:2025年3月22日(土)13時30分~15時00分
- 参加形式:リアル参加(先着150名)/オンライン参加
- 会場:フジフイルム スクエア2階特設会場(リアル)
- 参加費:無料
- 申込:用事前予約
- レビュワー:浅田政志氏、公文健太郎氏、小林紀晴氏、野村恵子氏
- 聞き手:佐藤正子氏(コンタクト)、福島晃(デジタルカメラマガジン編集長)
「受賞者×レビュワー」ギャラリートーク
梶瑠美花×野村恵子・赤堀あゆみ×浅田政志 ギャラリートーク
- 日時:2025年3月29日(土)13時30分~14時30分
- 会場:富士フイルムフォトサロン 東京 写真展会場内
- 聞き手:佐藤正子氏(コンタクト)、坂本太士(デジタルカメラマガジン編集部)
- 参加費:無料
- 申込:予約不要・定員なし
和佐阿佑美×公文健太郎・鎌田三四郎×小林紀晴 ギャラリートーク
- 日時:2025年4月26日(土)13時30分~14時30分
- 会場:富士フイルムフォトサロン 大阪 写真展会場内
- 聞き手:佐藤正子氏(コンタクト)、坂本太士(デジタルカメラマガジン編集部)
- 参加費:無料
- 申込:予約不要・定員なし