トピック
鉄道写真家・中井精也がソニーαシステムと歩んだ10年
- 提供:
- ソニーマーケティング株式会社
2024年6月20日 07:00
中井精也さんの写真ブログ「1日1鉄!」が開始から20年を迎えた。現在のメインカメラはソニーαシリーズ。αとの出合いと写真がどのように変化したのかを聞いた。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2024年7月号』より転載・加筆したものです。
αに出合って僕の写真は大きく変わった
——「1日1鉄!」20周年、おめでとうございます。1日1鉄!を始めようと思ったきっかけから教えていただけますか。
中井精也(以下、中井): 1日1鉄!は2004年の4月1日から開始しました。元々はウェブ日記をつけようという雑誌の企画でした。当時の僕はこれから写真家としてどうやって進んでいこうかと悩んでいた時期でした。そんなときにデジタル一眼レフカメラが出て、まだ600万画素とういうこともあって仕事では使えないからアマチュア時代の、今で言う「ゆる鉄」のような写真を撮ってとみようと思ったのです。そうしたら写真を撮る楽しさを思い出して、今に続いています。
——ソニーαを使われたのはいつごろからですか?
中井: 2012年10月のα99が最初になります。Aマウントの一眼レフで有効約2,430万画素の最高約6コマ/秒。10年少し前ですね。その後、2013年の11月に世界初[※2]のフルサイズのミラーレスカメラとなるα7とα7Rが出て、これを使ったときは本当に驚きました。フルサイズなのにこれほど小さいとは。僕は小さく、かわいらしいカメラが好みなので、すごく良いなと思いました。その頃から老眼にもなっていて、初めてEVFで画面拡大を使ってピント合わせをしたときは、時代が変わったと実感しました。ミラーレスのことは詳しくは知らなかったし、一眼レフで十分だと思っていましたが、一目惚れをした感じです。さらにα7Rは有効約3,640万画素。デジタルカメラの進化のスピードに驚きましたね。
——リスボンにはα7 IIを持って行きましたね。
中井: α7 IIはフルサイズとして世界初[※1]の光学式5軸手ブレ補正機能を搭載していました。リスボンの路面電車をファインダーがのぞけないような至近距離から撮影したかったので、かなり役立ちました。ISO 25600にも衝撃を受けましたね。フィルム世代からするとどんな数字なの?という感じでした。そんなことを思っていたらISO 409600というよく分からないような数字を持つα7S IIが出ました。α7S IIでカシオペアを撮りに行き、わずかな光さえあれば写ることに感動しました。そこで気付いたのはどんなにカメラの性能が良くても、光がないと写真って撮れないという事実です。機材が進化して、初めて写真の限界点を知った気分でした。
——αをメインカメラで使うようになったのはいつごろですか?
中井: 2017年のα7R IIIからになります。有効約4,240万画素で 最高約10コマ/秒、連続撮影可能枚数も76枚になり、このカメラが登場したことで、今の撮影方法が可能になりました。5軸5.5段の手ブレ補正機能もあり、測距点も位相差検出が399点と、使っていてストレスがまったくなかったです。鉄道写真を撮るのに必要なスペックがすべてそろっていて、これ以降はαがメインカメラです。
——そして2021年には真打ちが登場しましたね。
中井: はい、発売から現在まで愛用しているα1ですね。その後、いろいろなカメラが登場しましたが、このα1が依然としてトップに君臨しています。あらゆるスペックが高次元で統合されており、たとえ今α1が発売されたとしても衝撃を呼び起こすでしょうね。そんなカメラが2021年に発売されたことは本当に驚きです。
——カメラの性能や画質が物足りないことで生まれた「ゆる鉄」だと言われました。その点、αは画素数、連続撮影速度ともに高性能です。写真の方向性も変わったのでしょうか?
中井: そうですね。α1は自分の目で見た風景以上に精緻で美しい、思い描いた風景を撮影できます。この感覚を一度味わってしまうと、美しい写真を撮りたいという方向にどんどん向かっていってしまいます。だから写真の狙いから撮り方、色の作り方も最初の頃に比べると大幅に変わったと思います。僕はいつも言っていますが、写真は自分が感動したものを伝えるための手段です。自分が良いと思った風景を最高の状態で伝えられるのであれば、届けたいと思うのは当然ですよね。
——撮影方法ですが、AIプロセッシングユニットによる被写体認識はどのように使っていますか?
中井: 僕は鉄道車両をアップで撮影することは少ないですが、撮る際は100%活用しています。もともと編成写真を撮るのが苦手で(笑)、ピントを合わせる位置によって、車両の後方がはみ出たり余ったりして見栄えが悪くなってしまいます。車両を自動で認識してピント合わせてくれるので、確実にバランスの良い位置で撮影できます。α9 IIIでは、画面内に列車が入れば連写した全カットでピントが合う、それはもう恐ろしい時代になったと思いますね。誰でも良い写真が撮れるというのが、カメラとしては最高の機種だと思います。本当に良い時代になったと感じています。
——写真の表現力にはレンズ選びも重要になりますね。
中井: もちろんそうですね。αは何がすごいのかというと高画質でもレンズが小さく軽いというところです。良い写真と残したいとは誰もが思うはずです。でもレンズが大きくて重いと行ける場所に制限がでてしまう。良いレンズが持ち運びやすくなれば、より良い写真が撮れる。今、僕がメインで使っているGマスターII型のレンズはそういった意味で、非常にバランスが良く理想的なレンズです。もうほかの選択肢は考えられません。αとGマスターのレンズを使って、美しい日本の風景を今後も残していきたいと思っています。
My Favorite CAMERA
発売日からずっと愛用している最強にして最高の相棒
小型・軽量なボディに有効約5,010万画素を誇るフルサイズ積層型CMOSセンサーを搭載。最高約30コマ/秒の高速連写が可能。リアルタイムトラッキングなど高性能なAF性能のほか、ファインダーも美しく、もはや死角なし。
My Favorite LENS
広角端のゆがみが少なく逆光でもフレアが出ない
ダイナミックな表現を実現する、僕のメインの超広角ズームレンズ。このクラスとしては世界最小・最軽量[※4]を誇り、重量はわずか約547g。広角端の16mmから、開放絞りで撮影しても、高精細でクリアな描写力を見せてくれる。
どんなシーンでも使える標準ズームレンズの完成形
このレンズもクラス最小・最軽量[※5]を実現。手に持ってみるとF2.8通しのズームレンズかと思うほど小さく、標準ズームの完成形として活躍してくれる頼もしいパートナー。細かいところでは、ズーム操作感切り換えスイッチを使うことで、ズーミング流しの成功率が劇的にアップした。
「大三元は重い」という常識を覆した名レンズ
α1と同じくらい、登場時に衝撃を受けたレンズ。このクラスとしては信じられないほど軽く、手ブレ補正MODE2の採用で、流し撮りの成功率が格段に上がった。他のGマスターII型の大三元レンズ2本とともに、僕にとって欠かせない存在となっている。
夜の撮影には必携、明るいF値で高画質
約460gと信じられないほど軽く、信じられないほど価格が安い(中井の感想)。16mmでは物足りないとき、カメラバックに潜ませたこのレンズにいつも助けられる。F1.8という明るさは夜の撮影で大きな威力を発揮する。撮影には単焦点レンズを必ず持っていく。
Information
写真展
中井精也「1日1鉄!」ブログ20周年記念写真展
『ゆる鉄絶景100〜中井精也が捉えた100の鉄道名景~』
岡田紅陽写真美術館
会期:2024年7月6日(土)〜9月8日(日)
しもだて美術館
会期:2024年9月14日(土)〜11月24日(日)
写真集
『1日1鉄!』
1日1鉄! 20周年を記念して、クラウドファンディングにて出版したオリジナルの写真集。オンラインショップで購入できる。
『ゆる鉄絶景100』
写真展「ゆる鉄絶景100~中井精也が捉えた100の鉄道名景~」で展示される100点を1冊にまとめた写真集。図録としても楽しめる。
[※1]35mmフルサイズセンサー搭載デジタル一眼カメラとして(2014年11月20日広報発表時点 ソニー調べ)
[※2]オートフォーカス機能を搭載したノンレフレックス型レンズ交換式デジタルカメラとして(2013年10月16日広報発表時点 ソニー調べ)
[※3]レンズ交換式デジタルカメラとして(2023年11月広報発表時点 ソニー調べ)
[※4]オートフォーカス対応のフルサイズの16-35mm F2.8広角ズームにおいて(2023年8月広報発表時点 ソニー調べ)
[※5]オートフォーカス対応のフルサイズの24-70mm F2.8 標準ズームにおいて(2022年4月広報発表時点 ソニー調べ)