トピック

【CP+2024】Synologyブースで手に取る前に読んで欲しい! 画像データを手軽にバックアップできる「BeeStation」

個人向けに特化した“パーソナルクラウド”の心地よさ

カメラユーザーの少なくない悩みのひとつと言えば、増え続けるデータの保管場所だろう。時代とともに画素数およびファイルサイズが増大。いつの間にか複数のHDDにデータが散在していたり、クラウドストレージも一杯になっていたりと頭の痛い問題だ。

また、写真データを快適に管理するにはとにかく1カ所に集約しておくことが重要(バックアップは別として)。ストレージやクラウドに散在していると、使いたい写真を探すのも一苦労ということになる。そのため、ストレージが足りなくなったら、大容量のHDDにリプレースしていくというのは一般的なやり方だろう。

多くの人は数TBのHDDがあれば収まると思うので、外付けか内蔵のHDDを買うのはコストも抑えられて手っ取り早い。ただ、PCに直接繋がったHDDは基本的にそのPCからしかアクセスできず、出先でノートPCに写真をダウンロードしたりといったことは難しい。

新機軸のネットワーク対応HDDが誕生

そこで注目されたのが「NAS」(Network Attached Storage)だ。名前の通りLANを使ってネットワークに接続するストレージで、出先からもアクセスできるのが特徴となっている。ただ、セッティングや使いこなしにはある程度ネットワークの知識も必要でハードルが高い。個人向けにもっと簡単に使えるネットワーク対応ストレージが求められていた。

そんな折に登場したのがSynologyの「BeeStation」という製品だ。Synologyは業務用からコンシューマー向けまで幅広くNASを手がけていることで有名なメーカーなので安心感は高い。BeeStationはNASのようにネットワーク対応ながら、非常に簡単に使えるという新機軸のストレージとなっている。

ちなみに本日開幕したカメラ・写真関連の大型イベント「CP+2024」において、BeeStationをSynologyブース内で手に取ることができる。この記事で興味を持った方はぜひ実機を現場で見て欲しい。

CP+2024のSynologyブース

BeeStation<主な仕様>

  • 容量:4TB
  • プロセッサー:Realtek RTD1619B
  • メモリー:1GB DDR4
  • LANポート:1GbE RJ-45
  • 外部ポート:USB-A 3.2 Gen 1×1、USB-C 3.2 Gen 1×1
  • 外形寸法:148×62.6×196.3mm
  • 重量:820g
  • 保証期間:3年

NASとは一線を画するサイズ感

大きさは1ベイのNASよりは少し小さいかなという、外付けHDDの筐体サイズに近い。4TBのHDDのほかプロセッサを内蔵しており、有線LANでルータに接続して使用する。NAS同様、24時間点けっぱなしで使うのが前提のストレージだ。NASと異なり、最初からHDDが入っているのが手軽で良い。

背面に電源スイッチや各ポートが並んでいる
冷却ファンレスなので音はHDDの駆動音だけだ

PCからはブラウザベースでの操作が基本となる。スマートフォンからも専用アプリでアクセスしやすくなっている。

QRコードで簡単セットアップ

NASの場合、初期設定でつまずいたという人もいるかもしれないが、BeeStationならその心配は無用。パッケージに入っているQRコードをスマートフォンで読み込み、画面に従って操作すれば難なくセットアップが完了する。

同梱のクイックスタートガイド
クイックスタートガイドのQRコードを読み込んでセットアップを始める
本体下部にもQRコードがあるので、クイックスタートガイドを無くしてしまっても問題無い

まずはアカウントの登録だ。Synologyアカウントを作成しても良いが、GoogleかAppleのアカウントがあればそれでOKなので手間が無い。

アカウントを登録

続いては配線。電源を繋ぎ、付属のLANケーブル(約1.5m)でルーターやホームゲートウェイなどと接続する。電源を入れ、スマートフォンの表示に従って電源ボタンを長押しする。これは操作しているのが本人かどうかを認証するもので、かなりの安心ポイントと言える。

配線を確認
同梱のLANケーブルとACアダプター

フロントインジケーターがオレンジ色に点灯すれば準備OK。シリアル番号を確認すると初期設定が始まる。このときアップデートも行われ、BeeStationのOSが最新版に更新される。

LEDランプで状態をチェック
シリアル番号を入力
画面に自動表示されるので実際は入力しなくて良い
OSのアップデートが自動でスタート

BeeStationには名前が付けられるので、自分の名前などを入れてわかりやすくしておくと良い。これで初期設定は終了し、ファイルを記録できるようになる。

名前を付ける

PCには「デスクトップ用BeeStation」というソフトを、スマートフォンには「BeeFiles」と「BeePhotos」という専用ソフトをそれぞれインストールしておく。

アプリをインストール
アプリのインストールを行えばスマートフォン側の準備は完了
無事写真を表示できた
BeePhotosアプリから写真を見たところ

アップロードも簡単。閲覧はかなり高速

BeeStationはファイルの管理タイプとして「BeeFiles」と「BeePhotos」の2つがある。前者は主に一般的なファイルを入れる場所で、後者は写真専用の場所となっている。

PCブラウザでBeeStationにアクセスしたところ。Googleフォトなどからデータを移す機能もある

ブラウザだけでも操作はできるが「デスクトップ用BeeStation」というソフトをインストールしておくとフォルダの同期や通知などでさらに使いやすくなる。

まずは、BeePhotosに写真を入れてみた。多くの読者はPCで写真を管理していると思うので、ここではPCのブラウザでの操作を行ってみる。

デスクトップ用BeeStationが起動していれば、そこの地球型アイコンをクリックするとブラウザでBeeFilesが表示されるので、右上のメニューでBeePhotosに切り換える。

BeeFilesが表示されるので、右上からBeePhotosに切り換える

「写真のアップロード」のボタンを押すと「マイコンピュータからアップロード」が出るのでそれを選択。するとファイル選択画面が出るので全選択などをして「開く」を押す。するとBeeStationへのコピーが始まる。

BeePhotosが出たらアップロードする写真を選ぶと、写真のアップロードが始まる
写真の選択は一般的なファイル選択画面で行える

これはローカルドライブからのコピーだが、PCに繋がっているカードリーダーからも同様に写真を移すことが可能だ。自分で日付などのフォルダを作ること無く、とにかく写真をどんどん読み込ませるだけなので楽である。

コピー後はサムネイルの生成などの処理が行われ、それが終わると利用可能になる。BeePhotosでは撮影日別に並んだ形のサムネイルで閲覧できる(並び順は変えられる)。システムがよくできており、ブラウザ上ではスクロールがかなり高速。画像ソフトと変わらないレベルでサクサクと大量の画像を見ることができた。

アップロードされた写真をBeePhotosで表示したところ

よくある問題は、ローカルディスクに撮影日別のフォルダで保存していると画像ソフトで日をまたいで一覧するのは難しいということ。その点、BeeStationだと現在から昔に遡る形でスクロール操作のみでどんどん見られるから楽しいし、うろ覚えで「あの頃に撮ったあの写真」という感覚で探せるのも良い。

サムネイルはクリックすると拡大表示される。この拡大画面は元データがフルサイズで出てくるわけでは無いのだが、必要十分な大きさで鑑賞できる。ローカルに必要な写真はダウンロードして利用する。このとき元データかリサイズしたJPEGかを選べるので、出先などで軽いデータが必要な場合も便利だろう。試したところリサイズしたデータは1,924×1,280ピクセルだった。

拡大表示したところ
カメラやレンズなどで写真を絞り込む「クイックフィルタ」機能も使える

また、「アルバム」機能によって写真を自動的に分析し、様々なジャンル別に写真を自動的にまとめてくれるのも便利だ。人物が写っている場合は顔認識で分けることもできる。

ジャンル別に自動分類してくれた

アルバム機能では自分で条件を作って写真をまとめることも可能。例えば旅行など特定の期間に撮影した写真をグループにすることも容易。検索してアルバムができるまでの時間もほとんど一瞬というほど高速に処理されていた。

撮影期間を区切ってアルバムを作ってみた
旅行などの写真を簡単にまとめられる

URLを使っての共有も可能。1枚または複数枚を選んで共有のアイコンを押すとURLが生成される。この辺りの動作も含め、全体的にGoogleドライブに近い操作性なので、日頃からそうしたシステムを使っていればすぐに慣れると思う。

ところで、JPEGのほか複数メーカーのRAWデータもそのまま入れてみたが問題無く表示できた。Synologyによるとほぼ全てのRAW形式に対応しているそうである。この辺りもカメラユーザーには大変心強いところだ。

「フォルダ同期」で簡単にバックアップ

PCに接続した既存のストレージをメインに使う場合は、BeeStationをバックアップ先にするという使い方もできる。BeeStationのデスクトップアプリを使うと、これまた簡単にローカルファイルをバックアップできる。

アプリの「マイコンピュータ」からフォルダの同期という形でBeePhotosへ画像をバックアップできる。バックアップしたい親フォルダを指定すると下位のフォルダも含めてすぐにコピーが始まる。

フォルダの同期機能
同期するフォルダを選ぶ
PCでは同期しているフォルダにマークが付く
デスクトップ用BeeStationのソフトによって、デスクトップでアップロード状況が表示される

バックアップしたファイルもBeePhotosで閲覧できるので、共有や出先でのダウンロードなどの恩恵にあずかれる。その上でメインのストレージに障害が起きた場合は、デスクトップアプリから復元作業が行える仕組みだ。

フォルダ同期のため、メインストレージに新しいフォルダを作ったり写真を追加したりすれば、随時BeeStationにも同じ変更が反映される。自分のルールでフォルダを作って管理している人は、このバックアップ方式による活用が便利そうだ。

スマートフォンをバックアップして容量を節約

スマートフォンで写真を撮る機会も多いと思うが、その場合はスマートフォン内蔵のストレージを圧迫するのが悩みの種。そんな場合でもBeeStationのバックアップ機能が役に立つ。

BeePhotosアプリを使えば、これまでにスマートフォンで撮影した画像を一括してバックアップできるほか、新たに撮影した写真もその都度バックアップできる。

スマートフォンのストレージから写真を消しても、BeeStationの写真は消えないため、バックアップでは無くなるがスマートフォンのストレージの節約はできる。

スマートフォンの写真をバックアップ
BeePhotosのバックアップ設定画面。初回は「すべての写真をバックアップ」を行う

初回のバックアップは「集中バックアップ」機能を使えば、スマートフォンのリソースをバックアップに振り向けて高速にバックアップ可能という触れ込みだ。さすがに数千枚レベルになるとそれなりに時間はかかるが、それは初回のみなので安心したい。

集中バックアップ
充電しながら集中バックアップで過去の写真をアップロードする

BeeStationにバックアップしてしまえば、各端末での閲覧や共有はPCからの転送時と同様に行える。スマートフォンのストレージに余裕がある機種なら、スマートフォンの紛失などに備えてのバックアップという意味でも有用だろう。

オールインワンですぐに活用できる

BeeStationもHDDなので故障が心配という向きもあると思う。そのニーズに応えるのが外付けドライブへのバックアップ機能だ。背面にはUSB Type-AとUSB Type-Cのポートがあり、外付けドライブを接続してデータをバックアップ可能となっている。

そのほか同社が提供しているクラウドストレージ「Synology C2」(有料)へのバックアップも可能なので、物理ドライブを増やさずとも安心を手に入れられる。

BeeStationをメインのストレージにするなら、こうしたバックアップ手段が用意されている点も見逃せないところだ。

まとめ

これまでの同社NASはHDDが別売だったりして、自分で適切なHDDを選ぶなどの手間もNAS導入の難しさだった。そこからうって変わって、簡単にネットワークドライブを実現できる、まさに”オールインワンのパーソナルクラウド”と呼ぶにふさわしいアイテムが誕生したということだ。

活用の一例を挙げれば、デジタルカメラで撮影してすぐにスマートフォン経由でメモリーカードからBeeStationにデータを送るといったことも可能。メモリーカードのトラブルや紛失にも備えられる安全性の高い運用もできる。

今回紹介したのは写真を中心にした機能だけだが、BeeStationはそれ以外のファイル共有も強力なものとなっている。クラウドストレージのように、仕事の書類などを出張先などどこでも開くことも可能だ。

クラウドストレージサービスも色々あるが、TB単位に及ぶとそれなりの金額になってくる。現在無料のワークスペースを使っていて有料プランに切り換えるか迷っている場合は、BeeStationのような製品の方が長期的には安く済むという考え方もできる。写真の保存に限らず、増え続けるデータの管理に悩む方にはぜひとも検討してみて欲しい製品だ。

CP+2024で「BeeStation」を体験!

本日2月22日(木)からスタートするカメラ・写真の大型イベント「CP+2024」。そのCP+2024にSynologyは自社ブースを構え、BeeStationをはじめとした個人向けの写真用ストレージ製品を展示する予定だ。

ブースではスタッフによる製品紹介を受けることができるほか、ゲストスピーカーによるセッションも行われる。当サイトでもおなじみのフォトグラファーが登壇、最新ストレージ製品の活用法などをレクチャーするとのことだ。

CP+2024

日時:2024年2月22日(木)〜2月25日(日)10時00分〜18時00分 ※最終日17時00分まで
場所:パシフィコ横浜

CP+公式サイト
https://www.cpplus.jp/
Synologyブース情報
https://event.synology.com/ja-jp/cpplus-2024

Synology登壇フォトグラファー

イルコ アレクサンドロフ氏
「プロフォトグラファーによるSynology NASを利用したデータ活用術」
・2月23日(祝)14時35分〜15時15分 ※セミナーステージ ステージ3で実施
・2月25日(日)15時00分~15時30分

中原一雄氏
「写真データを安全・便利に保存!Synology NAS導入で広がる写真・動画撮影の可能性」
・2月24日(土)15時00分〜15時30分
「ストレスフリーな編集環境を手に入れろ!Synology NASで実現する超高速10GbE環境」
・2月25日(日)12時30分〜13時00分

成澤広幸氏
「タイムラプスクリエイターの映像制作におけるSynology NASの活用術」
・2月25日(日)11時30分〜12時00分

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。