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Light Weight Eight、EOS R8で写し取る長崎の街並み——鵜川真由子

世界新三大夜景の1つと言われる稲佐山。深い青の世界を表現するために日没後のブルーアワーを狙った。豊かな色再現で、隅々までシャープに描写してくれる
EOS R8/RF28mm F2.8 STM/28mm/マニュアル露出(F5.6、1秒)/ISO 800/WB:4,000K

小型・軽量でありながら高画質を実現しているキヤノン「EOS R8」が発売されて3カ月が経った。その機動力と機能性に魅せらせて創作活動を行う鵜川真由子さん。彼女は、現在暮らしている海辺の街を舞台に撮影をしている写真家だ。

今回、より小型ボディを生かした写真が撮れる場所を求めて、長崎へ。雨と坂の街を歩きながら旅先で再認識したという「EOS R8」の魅力を紹介する。(編集部)

鵜川真由子

株式会社松濤スタジオを退社後、アシスタントを経て独立。広告や雑誌などでポートレート撮影を中心に活動するかたわら作品制作を続けている。2022年より、写真甲子園の審査員を務める。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年8月号』より転載・加筆したものです。

EOS R8
【価格】26万4,000円(ボディのみ)、29万3,700円(RF24-50 IS STM レンズキット)※いずれもキヤノンオンラインショップでの税込価格

【SPECIFICATION】
有効画素数:約2,420万画素
映像エンジン:DIGIC X
常用ISO感度:100~102400
連続撮影枚数:最高約40コマ/秒(電子シャッター)
ファインダー:0.39型約236万ドット
背面モニター:3.0型約162万ドット
外形寸法(W×H×D):約132.5×86.1×70.0mm
質量:約461g(バッテリー、カード含む)

小型・軽量・高画質のEOS R8なら一期一会の光と色が撮れると信じて

いつもカメラを持ち歩いて、日常のワンシーンや旅先で見つけた風景をスナップするのが私のスタイル。パートナーとなるカメラやレンズに求めることは、軽くてコンパクトであること、なおかつクオリティーの高い描写力。キヤノンEOS R8はそのどちらもかなえてくれる。

室町時代にポルトガルやオランダから長崎にもたらされたというビードロ。最大にぼかすためマクロレンズを使い、タッチ&ドラッグAFでピントを合わせて撮影した
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F2.5、1/160秒)/ISO 400/WB:オート
高台から海越しに見える長崎の街を背景にした。街並みをぼかすため、望遠端にして開放F値に設定。一瞬の晴れ間が花の鮮やかさを際立たせてくれた
EOS R8/RF24-105mm F4 L IS USM/105mm/マニュアル露出(F4、1/800秒)/ISO 100/WB:オート

軽装備なら坂の街を歩き回っても苦にならないだろうし、最新の35mmフルサイズCMOSセンサーと映像エンジンは重要な「色」と「光」という要素を思いどおりに描写してくれると信じて、旅の行き先を長崎に決めた。

街の中を流れる小さな川は運河のようで、まるでヨーロッパだった。日が暮れた後の薄明かりの色がしっかり出ている。感度をISO 2500まで上げても画像のキメが細やかなままで、繊細な表現を可能にしてくれる
EOS R8/RF24-105mm F4 L IS USM/76mm/マニュアル露出(F4、1/200秒)/ISO 2500/WB:オート
カフェの窓越しに臨む海。向こうには長崎の街が見える。外の風景を際立たせるために手前の窓枠はF4.5でぼかしている。ハイライトに露出を合わせても、シャドウ部がつぶれずにしっかり描写されている
EOS R8/RF24-105mm F4 L IS USM/70mm/マニュアル露出(F4.5、1/1,000秒)/ISO 160/WB:オート
舗道の装飾にひかれてカメラを取り出した。タイルに施された帆船のデザインが長崎らしいと思った。平面な絵にならないように、28mmレンズによるパースを利用して奥行きを作ることを意識している
EOS R8/RF28mm F2.8 STM/28mm/マニュアル露出(F3.2、1/320秒)/ISO 100/WB:オート

3本のレンズを使い分けて旅のひとコマに個性を生み出す

RF28mm F2.8 STMは広がりを感じさせる場面や、遠近感を強調するシーンで生きる。マクロ機能を活用してボケの効果を利用したいときにはRF35mm F1.8 MACRO IS STMの出番となる。最短で17cmまで寄れるため、迫力のある表現が可能だ。開放F値はF1.8と明るく夜でも手持ちで撮れるところがうれしい。

展望台から見下ろしたり、立ち位置を変えられない街中での撮影でもRF24-105mm F4 L IS USMなら自在に切り取れる。この3本があれば旅のひとコマが作品になる。

ボディキャップ代わりにいつも装着できるパンケーキレンズ
RF28mm F2.8 STM
【価格】4万8,400円 ※キャノンオンラインショップでの税込価格

【SPECIFICATION】
レンズ構成:6群8枚
絞り羽根枚数:7枚
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.23m
最大撮影倍率:0.17倍
フィルター径:55mm
外形寸法(最大径×全長):約φ69.2×24.7mm
質量:約120g
長崎市内には昔ながらの路面電車が走る。線路と道路が交差する大きな交差点に、路面電車が入ってくる姿を俯瞰で撮影した。小型なパンケーキレンズとの組み合わせならタイミングを合わせてシャッターが切れる
EOS R8/RF28mm F2.8 STM/28mm/マニュアル露出(F8、1/200秒)/ISO 100/WB:くもり
路面電車での移動中、車内に光が差し込んだ瞬間。あっという間に消えてしまったが、素早くカメラを構えて逃さず撮ることができた
EOS R8/RF28mm F2.8 STM/28mm/マニュアル露出(F5.6、1/50秒)/ISO 200/WB:オート
古い石橋の上でひと休みしていたハトが飛び去る瞬間を待ち構えていた。検出する被写体を「動物優先」に設定すると、ハトにピントを合わせてくれた。28mmは奥行きを作る表現が得意
EOS R8/RF28mm F2.8 STM/28mm/マニュアル露出(F4、1/250秒)/ISO 125/WB:くもり
被写体に17cmまで迫りながら小型大口径レンズとしても使える
RF35mm F1.8 MACRO IS STM
【価格】7万7,000円 ※キャノンオンラインショップでの税込価格

【SPECIFICATION】
レンズ構成:9群11枚
絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.17m
最大撮影倍率:0.5倍
フィルター径:52mm
外形寸法(最大径×全長):約φ74.4×62.8mm
質量:約305g
レトロな喫茶店でひと休み。きれいな青紫のバタフライピーが涼しげだった。窓辺に置いて、炭酸の泡に寄ることで初夏を感じさせる
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F4、1/400秒)/ISO 400/WB:オート
3階にあるホテルのロビーから下をのぞくとカラフルな傘の花が咲いていた。サーボAFを使って傘を追従し、ちょうど良い場所へ来たところでシャッターを切った
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F4、1/125秒)/ISO 100/WB:くもり
シャッターチャンスにリズミカルに呼応 全域F4がうれしい標準ズーム
RF24-105mm F4 L IS USM
【価格】18万4,800円 ※キャノンオンラインショップでの税込価格

【SPECIFICATION】
レンズ構成:14群18枚
絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.45m
最大撮影倍率:0.24倍
フィルター径:77mm
外形寸法(最大径×全長):約φ83.5×107.3mm
質量:約700g
急こう配が多い長崎の斜面に立つ住宅群が圧巻だった。望遠側にズームして主題の花と背景の住宅が迫る。4.3倍のズームなら構図の自由度も高まる
EOS R8/RF24-105mm F4 L IS USM/79mm/マニュアル露出(F5、1/500秒)/ISO 100/WB:オート
長崎という街の特徴を表すため、手前の古い石造りの建物と海の向こうの近代的なビルを引き寄せる。バリアングル液晶モニターとタッチシャッターを使えば低いアングルからの撮影も楽に写せる
EOS R8/RF24-105mm F4 L IS USM/70mm/マニュアル露出(F5、1/400秒)/ISO 200/WB:オート

カスタムセッティング

鵜川さんが行っているEOS R8のカスタマイズを紹介。各機能が便利かつスピーディーに操作できる。

タッチ&ドラッグAF「する」

タッチ&ドラッグAFを使用すると、スピーディーに撮影することができる。ファインダーをのぞいたまま右手の親指でピント位置をタッチ&ドラッグ。タッチ領域は「全体」にして、自由にピントを合わせている。

十字キーへの割り当て

タッチ&ドラッグAFを使うなら機能の設定も右手で行うと速い。十字キーが使いやすいので左ボタンにはWB、右にはドライブモード、上にはISO感度設定(押しながら)、下にはピクチャースタイルを割り当てた。

ドライブモード「セルフタイマー2秒」

長崎の代名詞とも言える夜景を撮影するときには三脚を使用した。ブレを防ぐために、セルフタイマーは2秒に設定。スローシャッターを用いてシャープな夜景を撮影することができた。

暮れ行く長崎の風景を写し取ってくれたときにEOS R8への信頼は確信に変わった

目に飛び込んで来る新鮮な風景を前にして、どのように撮るかを考えながらマニュアル露出でF値とシャッター速度を変えながらシャッターを切る。EOS R8の考え込まれた操作性のおかげで、逃したくない瞬間にも瞬時に対応できた。

初夏の長崎は雨が降ったり止んだり。かと思えば突然、太陽が現れるという気まぐれぶり。ほんの短い時間だけ路面電車の床に光が差した貴重な瞬間を捕まえることができたときは、心の中で「やった!」とつぶやいた。

小型・軽量な機材たちは私の体力を奪うことなく、ふと目にとまった物や何気ない思い出を確実に切り取ってくれた。時間帯によって少しずつ変わっていく街の色をRFレンズはしっかり描写してくれたことも印象的だった。特に青の表現力の豊かさには目を奪われた。

今回の旅で改めてEOS R8とRFレンズへの信頼が増したように思う。ふだん使いから美しい風景まで幅広く対応してくれるEOS R8は次の旅先でも活躍してくれることだろう。

長崎では猫に合う機会がとても多かった。夜の散策中にカメラを向けると、人懐っこい表情を返してくれる。実際はかなり暗かったが、そんな中でも被写体検出を利用して素早くピントを合わせられた
EOS R8/RF35mm F1.8 MACRO IS STM/35mm/マニュアル露出(F2.8、1/40秒)/ISO 12800/WB:くもり
眼鏡橋は日本最古のアーチ型の石橋なのだそう。手前に白い鳥を入れることで、撮られ尽くした観光写真がひと味違った表現になった。撮影ポイントが限られる観光スポットではズームレンズが重宝する
EOS R8/RF24-105mm F4 L IS USM/85mm/マニュアル露出(F4、1/1,000秒)/ISO 100/WB:オート

協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

鵜川真由子