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星景撮影のために生まれた超広角レンズ「SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art」
2023年6月21日 07:00
超広角14mmとして世界初となる開放F1.4を実現。“星景撮影のために”と謳われるレンズは20mm F1.4 DG DN | Artに続き2本目となる。画面周辺部までの高い点像再現性やサジタルコマフレアの抑制、リアフィルターホルダーといった星景撮影に最適な性能が満載。
スペックとしてはまさに星景撮影に最高といえるものが備わっているが、実際の使用感はどうなのか、星景写真家の湯淺光則さんがフィールドで得た印象を伝えていく。
※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年7月号』より転載・加筆したものです。
20mmに続く星空風景のためのレンズ第2弾
星景撮影をサポートしてくれる充実の機能も満載
星空を広く写せる14mmは星景撮影で最も使われるレンズの1つだが以前はF2.8が定番だった。同じくシグマの14mm F1.8 DG HSM | Artが出たときには驚いたものだが今回、ついに夢のF1.4の明るさを達成。
このレンズは星景撮影に特化しており、開放絞り、画面全域、無限遠重視で徹底的な収差補正が達成されているという。特に、周辺の星像に影響するサジタルコマフレアを重点的に補正。これまでの14mm F1.8と比べても周辺のコマフレアは大きく改善している。
しかも、14mm F1.8 DG HSMを超える徹底的な収差補正のみならず、同社の20mm F1.4 DG DN | Artでも採用されて評判の良い星景撮影を考慮した、リアフィルターホルダーやMFLスイッチ、レンズヒーターリテーナーなど充実の機能も搭載。
今回は三脚座も装備しており、バランスはもちろんだが、縦位置への切り替えも一瞬で実に使いやすい。専用設計のフロントキャップにはフィルタースロットとロック機能を装備。夜の撮影では特に紛失しやすいフィルターをキャップに収納して携行できる。まさに星空撮影のために生まれた夢のレンズだ。
星景撮影に役立つ機構
フロントキャップ裏にフィルター収納スロット
切り抜いたシートフィルターを収納可能なスロットをレンズキャップ裏の左右の2カ所に装備。シートフィルターをレンズとともに携行可能。従来のかぶせ式キャップから改良し、ロック機能も採用。携行時の脱落・紛失を防止する。今回新たに採用された新機構だ。
三脚座をレンズに搭載し長時間撮影時も安定
大きな前玉により、カメラ側で三脚に固定するとバランスが悪いため三脚座を設けることにより、安定したセッティングが可能だ。安定するだけでなく、雲台取り付けはネジ式でもアルカスイス互換でも可能。縦位置への切り替えも瞬時に可能で、操作性も良い。
ピント位置を固定できるMFLスイッチ
MFLスイッチを「LOCK」にするとピント位置が固定される。正確なピント合わせをした上で「LOCK」にすると誤ってフォーカスリングに触ってしまってもピントがずれない。20mm F1.4 DG DN | Artでも採用されていた、好評な機能だ。
無限遠に特化してチューニングされた星景撮影向きの画質設計
星景撮影では、開放絞りでの撮影が多い上に、星空にピントを合わせる場合が多いので基本的には無限遠にピントを合わせる。超広角・大口径という難しいスペックの中で、開放絞りから画面全域、無限遠重視で徹底的な収差補正が達成されている。
画面中央、画面右上の拡大。開放から周辺まで解像し、しっかりと星を点像として再現している。
サジタルコマフレアを抑制し画像周辺部まで点像を保つ
星景撮影でよく問題になるのが、特に周辺の星像の形状に影響するサジタルコマフレアの発生だ。こちらの収差を重点的に補正しており、従来の14mm F1.8 DG HSM | Artと比べても大きく改善している。
開放絞り時の周辺部にはやや見られるが、1段絞るごとにより小さくなっていく。