トピック

あらゆる局面で表現力を拡大する「マグネットフィルターシステム」

H&Y REVORING Swiftシステム

自然をモチーフにする写真家にとって、レンズワークだけでなくフィルターワークも欠かせない。PLフィルターで輝きを調整するだけにとどまらず、明暗差や露光時間のコントロールもフィルターで行うことが多い。写真は一瞬の光を永遠にするシステムだが、見えない時間という概念も表現できる。それを担うのがフィルターワークであり、現代の風景撮影においては必要不可欠だ。

また、屋外で撮影することの多い自然風景では、気温や気候により撮影条件が厳しくなることが多く、極寒や雪の日にフィルターを操作するのは想像以上に大変。その点、H&YのREVORING SWIFTシステムにK-Seriesドロップインフィルターを組み合わせれば、厚手のグローブをしたままでもスムーズに撮影を進められる。マグネットによる着脱のしやすさは、撮影テンポの良さにも直結し、撮りたい衝動を阻害しない。

複数のフィルター径のレンズに1つで対応できる可変口径システムもありがたい。条件が厳しくなればなるほど、動きをシンプルにしなければならないが、このフィルターシステムなら、それが可能となる。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年6月号』より抜粋・再構成したものになります。

3つのカテゴリーのアイテムを組み合わせてシステムを構築

REVORING SWIFT アダプターを基準に、ドロップインフィルターホルダーや角型フィルターホルダーをマグネット装着によって組み合わせていくシステム。一見複雑なようだが、組み合わせの基準が決まればとてもスムーズに装着できる上、拡張性もある。あらゆるレンズに対応できるため、ワンセット用意しておけばレンズが変わってもそのまま使える。

[ベース]可変口径のマグネット土台を装着

REVORING SWIFT アダプターは絞り羽根のように対応径を変えられて、フィルター径の異なるレンズにワンアクションで装着できる。表現に合わせてレンズ交換した後も装着がスムーズだ。

リングを回すと径のサイズが変化する仕組みになっている。46-62mm、58-77mm、67-82mm、82-95mmの4種類がラインアップされている
使用レンズのフィルター径に合ったサイズに調整してレンズに装着する

[ブリッジ]丸型フィルター用のホルダーで中継

REVORING SWIFT アダプターに、必要なホルダーやフィルターをマグネットで装着していく。便利なのがSWIFT ドロップインフィルターラックで、CPLとNDがセットになったフィルターも用意されている。

Swiftマグネティックドロップインフィルターラックを装着することで、丸型のドロップインフィルターを挿入できるようになる
ドロップインフィルターを必要としない場合は、Swift マグネティック ブリッジリングを装着することで、後述の「アクセサリー」カテゴリーのアイテムを装着可能だ

[アクセサリー]角型フィルターとホルダーを追加

長時間露光行う際に、画面内の明暗差を調整する必要がある。その際は角型フィルターホルダーを追加装着して、マグネットで必要なGNDフィルターを装着するだけで良い。

Swift マグネティック 100mmフィルターホルダーを装着することで、H&Yの100×150mm K-Seriesのマグネット式角型フィルターを取り付けられる
角型フィルターホルダーのほかにも、ハレ切り用のSwift マグネティック マットボックスなども用意されている

使用例1……ND+ハーフNDで静謐な世界を描き出す

速いシャッター速度での表現よりも、静けさを演出したかった。そこでドロップインタイプのK-Series CPL/ND1000に、角型ホルダーでGND0.6を追加装着。長時間露光で静謐さを演出した。

EOS R6 Mark II/RF24-105mm F4 L IS USM/マニュアル露出(F11、30秒)/ISO 100/WB:太陽光
フィルターなしで1/80秒で撮影した写真。空や水面の表情によって主題の木が目立ちにくい

使用例2……NDで減光することで噴気の勢いを強調する

立ち上る噴気の勢いを表現するためにスローシャッターで撮影を試みることに。ここでもND1000+CPLのドロップインタイプを使用。噴気のタイミングを見計らいながら秒単位での表現にトライした。

EOS R6 Mark II/RF135mm F1.8 L IS USM/マニュアル露出(F14、1.3秒)/ISO 100/WB:太陽光

今回の撮影で使用したアイテム

  • REVORING SWIFT 67-82mm マグネティック可変式アダプター:9,480円
  • Swiftマグネティックドロップインフィルターラック(RD100):9,480円
  • 100mm K-Series ドロップイン CPL/ND1000フィルター:2万8,800円
  • Swift マグネティック 100mmフィルターホルダー:8,380円
  • 100×150mm K-SeriesソフトGND4(GND0.6):2万6,980円

制作協力:H&Y Filter Japan

中西敏貴

1971年大阪生まれ。北海道美瑛町在住。関西外国語大学在学中から写真部に所属し、それ以来通い続けた北海道へ2012年に移住。そこに住まう者としての視点を重視し、農の風景と農家の人々にレンズを向けてきた。現在は写真雑誌などでの執筆のほか、教育機関での講演やセミナー、写真ワークショップ講師としても活動している。主な写真展に「ORDINARY」「Design」「Signs」。主な写真集に「ORDINARY」「Design」「FARMLANDSCAPE」などがある。