6月号【雛田みか + オリンパスE-620】3週目
~なかなか面白い「アートフィルター」!


 3週目、上ブロックはISO200、左下以外は全てF3.2、1/160秒のRAW。下ブロックは、全てISO100、F4、1/160秒のRAWでストロボに「FL-50R」を使用。上ブロック左下は今週の話のネタである「アートフィルター」を使っている。設定はF2.2、シャッタースピードは1/80秒のJPEGだ。

 この連載をRAWで撮影し出してから、現像ソフトの機能は毎回チェックしていたが、逆にボディ内蔵のエフェクト機能は全く見ていなかった。RAWで撮影する以上、内蔵エフェクトは使わないからだ。今回、「E-620」で撮影するにあたって事前に編集から「オリンパスの要望もありアートフィルターを使って欲しい」という話を聞いていたので、この3回目の私服の時に試すことにした。

 アートフィルターは、「ポップアート」、「ファンタジックフォーカス」、「デイドリーム」、「ライトトーン」、「ラフモノクローム」、「トイフォト」と6種類あり、それぞれなかなか面白い効果が得られる。効果を簡単に書くと、ポップアートは彩度が上がり各色が原色っぽくなる。ファンタジックフォーカスとデイドリームは、それぞれ仕上がりが異なるソフトフォーカス系。ライトトーンはシャドーを明るくするフィルター。ラフモノクロームは強烈にノイズの乗った白黒写真。そしてトイフォトはトイカメラで撮ったようなちょっとレトロな雰囲気に仕上がる。どれも被写体が合えばなかなか味のある写真となる。

 6種類全ての撮影を行ないその変化を確かめた。ただこの連載の性質上、所属事務所の写真チェックがあり、これでOKが出ないと掲載できない。現場でマネージャにフィルターのかかった絵を見てもらいながら確認して頂いたところOKだったのは「トイフォト」のみだった。被写体が人物の場合、例えば「ポップアート」は肌色が真っ赤になるなど、合わないフィルターがあるのは仕方が無いところだろう。また掲載している写真はトイフォトのままではかなり黄色かったので少し青を加えている。

 このアートフィルター、確かに面白いのだが気になるのは、「JPEGでしか使えない」、もう1つは「フィルターによってはシャッターを押してから処理時間が数秒かかる」この2点だ。最適な効果を得るためには適正露出でホワイトバランスもジャストと行かないまでもそこそこ合っている必要がある。しかし、JPEGで一発撮りだと初心者にはこの条件は難しい。もちろん、ライブビューとの組み合わせで効果を確認しつつの撮影も可能であるが、ファインダーでの撮影はどうにもならない。できればRAWで撮って現像時に同じフィルターを設定できればよりベストだ。(編注:6月16日発表の「オリンパス・ペンE-P1」は、RAW現像時にアートフィルターの適用が可能になりました)

 また全てのフィルターが数秒かかるわけでは無いが、処理中はシャッターが押せなくなり、被写体によってはシャッターチャンス自体を逃してしまう。

 少し話は脱線するが、iPhoneのカメラAppとして有名な「CameraKit」がある。カメラ有料カテゴリでずっと1位の人気のソフトだ。このソフトはちょうど、アートフィルターの各フィルターそれぞれの効果のON/OFFと強弱を設定、バッチ的に画像処理を行ない、雰囲気のある写真を作り出す仕掛けになっている(もちろん実際のフィルター内容は違う)。浮き沈みの激しいiPhone Appでずっと1位というのは、アートフィルター的な需要が結構あるのだろう。まだまだ改良が必要だと思われるが今後楽しみな機能だ。

 下ブロックは、ストロボを使ったここ最近の定番パターン。背景がピンクの場所はこれまで何度も登場していると思うが、ストロボを使ったのは今回が初めて。ただ素のRAW画像だと壁のピンク被りが酷く、カラーバランスを修正している。(つづく)

actress雛田みかAVILLA
photographer西川和久
オリンパスE-620
ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2 SWD



西川和久
(にしかわ かずひさ) 1962年11月生まれ。もともとPC系のライター&プログラマーであったが、周辺機器としてデジカメを使い出してから8年。気が付くとグラビアカメラマンになっていたと言う特殊な経歴の持ち主。初めて使った一眼レフはCanon EOS DCS 1c。現在、dwango.jp(待受)のグラビアマガジン、着エロ系DVDのジャケ写などで活躍中!http://www.iwh12.jp/blog/

2009/6/19/ 00:00