特別企画

無料でレンズや三脚を点検してもらえる
「ケンコー・トキナークリニック」を体験してみた

ケンコー・トキナーは、東京・中野の本社ビルにおいて、定期的にセミナーや写真教室、撮影会、トークショーなどのイベントを開催している。頻度は多い時で週に3回程度で、中には月1回限定開催のイベントもある。

同社が取り扱うトキナー製デジタル対応レンズを対象とした、トキナーレンズクリニックもそのひとつ。毎月第2土曜日に開催され、好評を博している。

そのトキナーレンズクリニックが11月14日からパワーアップ。トキナー製デジタル対応レンズに加えて、スリック/ダイワ製の三脚、フィルターなどの無償点検・清掃サービスも行なう「ケンコー・トキナー クリニック」として強化され、定例化するというのだ。


    ケンコー・トキナー クリニック 11/14
  • ・会場:ケンコー・トキナーサービスショップ
  • ・住所:東京都中野区中野5-68-10 KT中野ビル2階
  • ・会期:11月14日
  • ・時間:11時〜14時/15時〜18時

対象は、トキナー製デジタル対応交換レンズ、スリック/ダイワ製の三脚関連機材、ケンコーブランドのフィルター。引き続き、無償での点検・清掃を実施する。

具体的な点検内容は、製品外観の確認と動作チェック、クリーニングが中心。点検の結果故障が見つかった場合は、その場で修理に預けることもできる(修理費用は有償)。

同社のエントランスを入ると、左手にケンコー・トキナーサービスショップへの案内がある
入り口付近には天体望遠鏡が置かれている
ケンコー・トキナーサービスショップ受付兼レジ

トキナーレンズのクリニック

トキナーレンズの点検では、外観を見てビス類の緩みを確認するほか、絞り、フォーカス、ズームなどの伝送関連機構や、フォーカスリングのフォーカススクラッチなどが正常に動作するかなど、いくつかの項目をチェックする。スタッフによれば、レンズを長く使っていると、知らず知らずのうちにビスが緩むケースが多いという。

このほか、チャートを用いて解像状態やピント位置の確認も行なう。スタッフによると、ここで前ピンや後ピンの個体が見つかることもあるが、レンズ側を調整しようとすると有償での修理扱いとなるため、ボディ側での調整を勧めていた。

また、クリーニングでは、レンズの前玉、後玉、鏡胴部分を清掃する。点検と清掃にかかる時間はおよそ15〜20分。

持ち込めるレンズは原則1人当たり1本。レンズの状態によっては、スタッフから修理を提案することもある。対象は、トキナー製のデジタル用交換レンズ。詳細はケンコー・トキナーのサイトで確認できる。

なお点検サービスの会場はケンコー・トキナーサービスショップの一角であり、クリーンルームではないので、ここでは修理や精密な調整は行なわず、あくまでも簡易的な点検までに留められている。

レンズの絞りを開放にして曇りなどがないかをチェックする
レンズを最小絞りにするマウント用のリアキャップ。写真はニコンレンズ用のもの
可動部分はすべて動かし、正常に動作するかをチェックしていく
無限遠が出ているかをコリメーターで確認
チャートで解像をチェック
レンズ動作確認器具。簡易点検のため市販の用品もある
接続したレンズに信号を送り動作をチェックする機器
各種の清掃用具も揃っている
前玉を清掃しているところ
ラバーリング部分も丁寧に清掃する

三脚のクリニック

次に、三脚を持ち込んだ場合、どのような点検をしてもらえるか見てみよう。

まずは、脚の制動力や雲台が正常に動いているかどうかをチェック。ネジの締め直しや簡単なクリーニングが必要と見られる場合は、ここで対応する。

脚パイプの点検では、ナットロック/レバーロック問わず、脚を伸ばしてロックをかけた状態で負荷をかける。樹脂パーツが劣化していたり、内部が汚れていたりすると、負荷をかけたときにロック部分が耐え切れず、縮んでしまう。

多く見られる不具合は、グリス切れによって動きが渋くなったり、軽くなりすぎること。ユーザーによっては自分で潤滑油を差したり、ネジを締め直すこともあるというが、却って滑り過ぎてしまったり、締め過ぎてしまうケースがあることから、自分では極力いじらずに、点検に出すことを勧めている。

所要時間は10分程度。こちらも持ち込める三脚は1人当たり1本となっている。

三脚の点検には体重計も使う。力を加えた時、脚がどのくらいの荷重で縮むかを調べる
グリスが切れていると操作に明らかな違和感が出るそうだ
脚の根元の硬さを六角レンチで調整。微妙な加減が必要なのと、締めすぎて壊す恐れがあるため、なるべく専門家に任せた方が良いとのこと
エレベーターの動作チェックをしているところ
雲台に装着された水準器が、正しい傾きを示しているかをチェック
三脚の点検と清掃用の道具

カラーメーター、双眼鏡のクリニック

12月からはカラーメーターや双眼鏡にも範囲を拡げて点検・清掃を実施する予定だ。

現時点で明らかになっている情報としては、カラーメーターの対象機種は「KCM-3100」と、ミノルタ製カラーメーター「III F」の2機種。双眼鏡は点検清掃と光軸の確認を行なってもらえる。また、PLフィルターの劣化診断も実施するそうだ。

カラーメーターの点検を行なうマルチプルテスター
レーザーにより検査用の光線を出力している
双眼鏡点検用の機器
点検しているところ
定められた基準を超えて光軸がずれている場合は修理を提案する

以上、クリニックを一足早く体験してみた。どの点検も予想以上に詳細で手厚く、個人でできるレベルを超えている。ケンコー・トキナー製品の愛用者は、ぜひ利用してみてはいかがだろうか。

ほぼすべての製品が並ぶショールーム。時間貸しのスタジオも

クリニックが行われるKT中野ビル内には、同社が取り扱うほぼすべての製品が一堂に集められたショールームが設けられている。とにかくたくさんのアイテムが揃っているので、カメラ・写真好きなら眺めているだけでも楽しい気分になる空間だ。量販店にあまりおいていない撮影用品を確認できるのはうれしいポイントだろう。撮影のアイデアを得るにももってこいの場所だ。

また、レンタルスタジオも用意しており、プロフェッショナル向け撮影機器を取り扱うケンコー・プロフェッショナル・イメージング(KPI)の製品も試せる。

レンタルスタジオの利用料金は、3時間1万6,200円(会員1万800円)、延長は1時間につき5,400円(会員3,240円)。ライティング機材が持ち込めない(KPIの機材を使用する)とはいえ、かなり安い。

イベントも積極的に行われているので、興味のあるイベントのときにでも、足を運んでみてはいかがだろうか。

ショップの隣にレンタルスタジオを併設する
KPIが取り扱う照明機器を利用できる
店内には歴代のトキナーレンズなどが展示されている
スリック三脚のコーナー
フィルターも全種類並んでいる
海外ブランドのフィルターもこんなに
カメラバッグのコーナー
サムヤンの交換レンズ
メッツのクリップオンストロボ
ケンコーの露出計やカラーメーターも並ぶ
オプション類も充実
使用感がイメージしにくい製品などにはポップも貼られている
レンズの分解モデルなど技術展示もある

協力:株式会社ケンコー・トキナー

関根慎一