夏こそ「防水デジカメ」のススメ(自転車編)

Reported by 小山安博

 暑い夏、照りつける日差し。そして海辺をさっそうと走る自転車……というのは一つのあこがれの光景ではある。流れる汗、弾む息、暑さにぼうっとしつつ、美しい海を眺めながら走っていると、別世界にいるような気分になる。

 そんな浮かれた気分をあとで振り返るために、持ってて便利なのがデジカメ。その中でも、防水デジカメが便利なのだ。今回は、南国・沖縄の宮古島で自転車とともに防水デジカメを使ってみた。カメラは前回に続き、富士フイルムの防水デジカメ「FinePix XP150」(以下XP150)だ。


GPS機能でサイクルフォトが楽しくなる

 今回、サイクリングに防水デジカメを持ち出したのには大きな理由がある。最近の防水デジカメはアウトドア利用が前提のためか、GPS機能を内蔵したモデルが多くなっている。カーナビでも使われているし、最近はスマートフォンの普及で、GPSをよく利用しているという人もたくさんいるだろう。

 GPS(Global Positioning System)とは、衛星からの電波を受信して現在位置を地球規模で測位するためのシステムで、複数のGPS衛星(通常は最低4機)からの電波を受信することで現在位置を測定できる。

 GPS対応デジカメでは、これを利用して撮影画像に位置情報を埋め込むことができる。EXIFに位置情報が書き込まれ、対応ソフトウェアを使って画像を見ると、どの場所で撮影したのかが分かる。Picasa、Lightroom、iPhoto、Google Earthなど、画像の位置情報に対応したソフトウェアは多い。地図を見ながら写真を見返すのも楽しいものだ。


GPS機能を搭載した防水デジカメが増えている。写真はFinePix XP150のGPSアンテナ部

 GPS(というよりも衛星による測位システム)の欠点は、屋外の開けたところでないと電波を受信しにくく、現在地の測位が難しいという点だ。ビル影や山間部での測位も難しい。みちびきのような日本上空で電波を送る衛星が最低3機あれば、最低1機は常時上空にあることになり、測位精度の向上が可能になるが、現時点ではまだそれは見込めない。

 しかし、今回のように離島の屋外をサイクリングするという用途であれば、GPSでの位置情報はかなり正確。サイクリングに限らず、海辺のアウトドア用途だと比較的精度は高く、そしてまさに防水デジカメにぴったりのシーンだ。また、今回試用したXP150の場合、撮影した場所の位置情報から住所や付近のランドマークを再生時に表示してくれる機能を搭載し、再生時の検索にも利用できる。


GPS衛星を捕捉した状態で撮影していれば、撮影した画像に緯度・経度の情報やランドマーク情報を表示される

 さらに面白いのが、一定間隔で位置情報を記録し続けるGPSロガー機能を搭載していること。これをPCに取り込むことで、自分が移動した軌跡をあとからPCの地図場で見返すことができる。GPS機能を搭載している防水デジカメには、このGPSロガー機能がない場合があるが、位置情報がついた写真だけでなく、移動軌跡も記録したい場合はGPSロガー機能は必須だ。


GPSロガー機能を使うと、移動軌跡も記録できる。上の画像は、FinePix XP150に付属するソフト「MyFinePix Studio」の「Map Viewer」を使って表示したもの

 FinePix XP150の場合、移動軌跡のデータは、PCに取り込むだけでなく、カメラ内に表示することも可能。しかも移動軌跡の記録中に撮影した画像をポイントで示し、「自分がどのように移動し、どこでどんな写真を撮ったのか」が、カメラ内でも分かるのだ。実際に試してみると、どこでどのような写真を撮ったのかわかって楽しい。今回のようなサイクリングやドライブなど、さまざまな場面で役に立つ機能だ。

カメラ内で移動した軌跡を表示可能

夏のサイクリングにも最適

 さて、実際にXP150を持ってサイクリングに出かけてみよう。宮古島の中心街から南西に進むと、美しい砂浜の与那覇前浜ビーチに差し掛かり、その先に宮古島と来間島を結ぶ全長1,690mの来間大橋が現れる。そこを渡ると、周囲約9kmという小さな来間島に行くことができる。サイクリングにはちょうどいい距離だ。

 こちらがGoogleマップで見た来間島。


大きな地図で見る

 そして以下が来間島で撮影した写真の一部だ。

地図はMac OS X用のソフト「Aperture 3」を使い、撮影された位置を表示(以下同)

 


 

 


 


 



 ちょうどいいとはいえ、すでに夏の日差しの来間島を走っていると、とにかく暑い。風を切る涼しさはあるが、それでも全身から汗がしたたり落ちる。そんな時でも、防水デジカメだと心配がない。精密機器のデジカメは、あまりにひどい汗に濡れるだけでも、故障の原因になりかねない。

 防水デジカメは海に入れても大丈夫なくらいなので、汗に濡れたとしても壊れる心配はない。胸ポケットやズボンのポケット、首からストラップでつるしておいても心配ない。

 今回は天気に恵まれたが、南国だと突然の雨にも降られやすい。そういうときにも、慌ててカメラを濡れないように隠し、雨宿りの場所を探すことも、防水デジカメなら不要。むしろそのまま雨の南国を撮影する、といったこともできるのがメリットだ。

防水デジカメなら、夏の太陽の下で汗をかいても平気だ

 サイクリングで走りながら要所要所で撮影していると、液晶モニターの明るさの重要性がよくわかる。XP150の液晶モニターは、従来比2倍の輝度を実現。反射防止加工と相まって、沖縄のキツイ日差しの中でもストレスなく使用できた。いちいち液晶モニターに手をかざし、日陰を作って構図を確認して……といった作業もいらない。

 意外に良かったのが、しっかりしたグリップを備えている点。撮りたい景色があったら自転車を止め、サッとXP150を撮りだしてそのまま撮影するには、片手で安定して撮れるデザインはけっこう重要だ。自転車から降りずに、片手はハンドル、片手はカメラというスタイルになりがちなので、片手でも持ちやすいデザインはいい。

 防水デジカメの耐衝撃性能もありがたい。ポケットにそのまま放り込んでもいいし、仮にどこかにぶつけてしまった場合にも、壊れる可能性が低いというのは安心感につながる。

 本格的なサイクリングでグローブを使う場合、指を覆うタイプでも操作しやすいのが防水デジカメの特徴だ。もともとスキーなどのグローブでも操作しやすいように、凹凸がはっきりし、大きめのボタンを採用している防水デジカメが多いので、サイクルグローブをつけていてもボタン操作しやすい。いちいちグローブを外さなくていいのは便利だ。


カメラに気を遣わず撮影できる

 今回試用したXP150に限らないが、防水デジカメはレンズを含めた全体をカバーするため、レンズがせり出さない構造になっている。これを実現するのが屈曲光学系のレンズだが、これを使ったデジカメは、レンズの繰り出しと収納の時間が不要、または少なくすることが可能なため、起動・終了が速いというメリットもある。

 レンズが飛び出さないので、全体のデザインもフラットにでき、ポケットなどへの収納もしやすい。サッと取り出し、電源オンですぐに撮影できるというのは、サイクリングの合間合間での撮影に向いている。自転車を止めて、撮影して、再び自転車をこぎ出すという一連の流れを止めない素早い動きと、気兼ねなくポケットなどから出し入れできる頑丈な防水デジカメは役に立つ。


防水デジカメはレンズが飛び出さないフラットな形状が一般的。レンズが繰り出さない分、電源オンから撮影できるまでの時間が短い

 サクサクと起動して撮影できることも重要だが、カメラ自体に気兼ねせず、景色に集中して撮影できるのは防水デジカメのメリット。自転車だけでなく、マラソンやウォーキングのように、活動自体が中心で、その合間に撮影したいような場合、カメラに気を遣うよりは、サッと取り出してサッと撮影したい。アクティビティ中心の旅のお供には、やはり防水デジカメが便利なのだ。

(協力:富士フイルム)






小山安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2012/7/13 00:00