リコーGXRスペシャル企画【第1回】佐々木啓太「Shooting」


 4人の写真家にリコーGXRを使ってもらい、作品を撮っていただきました。第1回は佐々木啓太氏です(編集部)。

GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

 


 ボクは「街角スナップ」というスナップ写真を、ライフワークにしている。街角スナップは、画面の中にできるだけ人を入れず、街の片隅を切りとる。1枚の写真に強いインパクトを求めず、風景をみたときに感じる「何となくいい」という、曖昧な心の変化を記録している。1枚1枚の主張は弱くても、まとめると自分らしさが見えてくるので、スライドショーと音楽に言葉を加えた、「ピクチャーズ・ストーリー」という手法が、この表現には合っている(ピクチャーズ・ストーリーの例はこちら)。

 ホールディングしやすいコンパクトなボディ(GXR)に加え、2つのカメラユニットをわたされたとき、コンパクトデジカメにない表現の幅を広げられると感じた。通いなれた街を撮影地に選んだのも、新しいカメラから受ける刺激が変化に結びつくと考えたからだ。

 テーマは、「still and move」にした。「still」は、立ち止まって目の前の風景をみたときに、自分が何を感じたのかじっくり観察してから撮ることを表している。「move」は、感じるままにシャッターを切ることを表している。どちらがかけても、ボクの物語は完成しない。

GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

 stillの撮影には、開放絞りから切れのある「GR LENSE A12 50mm F2.5 MACRO」(以後 A12)があっていた。開放F2.5での描写を生かすために、NDフィルター(ND8)を使って絞りを開け、気になるポイントを浮き上がらせながら街を切りとった。

 一方、moveには「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」(以後 S10)を使って、ズームレンズの機動力を活かした。撮影モードもプログラムを選び、風景を見て感じた瞬間にシャッターを切るようにした。S10は、AFの合焦速度も速く、手ブレ補正機能もついているので、ピンぼけや手ブレの心配も少なく思い切りがよくなった。

 仕上がりを「セピア」にしたのは、風景を光と影のモノトーンで見せるほうが、自分のイメージに合っていて感情移入しやすいからだ。コンパクトなボディーと個性があるカメラユニットは、通いなれた街のいつもとは少し違う表情をボクに教えてくれた。

 今後追加してほしいカメラユニットを考えたとき、思いつくのは今回その切れ味と描写力に感動したA12、つまりGRレンズのシリーズ化だ。特に単焦点の超広角レンズにはぜひチャレンジしてほしい。超広角は無理でも、広角(24mm)から中望遠(100mm程度)まで揃うと、小型ボディとあいまって、スナップシューターには魅力的なシステムになりそうだ。

GXR+RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VCGXR+RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC

GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO

GXR+GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO



佐々木啓太
(ささきけいた)1969年兵庫県生まれ。街角写真家。写真専門学校を卒業後、貸スタジオ勤務、写真家のアシスタント生活を経て独立。雑誌での執筆と作品作りが主な活動。近著「フォトグラファーが教える オリンパス OM-D E-M5 撮影スタイルBOOK」。Facebookページ

2010/2/17 00:00