特別企画
野鳥撮影のビッグイベント 白樺峠「タカの渡り」撮影記
ZEISS双眼鏡&スポッティングスコープを投入
2016年9月29日 12:53
9月中旬、長野県の白樺峠では有名な「タカの渡り」を見ることができます。バードウォッチング専門店「Hobby's World」店長、志賀眞さんに、今年はZEISSのハイエンド双眼鏡「VICTORY SF 10x42」とスポッティングスコープ「DiaScope 85T*FL」をお渡しして、印象を綴ってもらいました。
筆者が1年で、なにより一番の楽しみにしている「白樺峠のタカの渡り」に、ZEISSのハイエンド双眼鏡VICTORY SF 10x42とDiaScope 85T*FLを投入した。
現地は長野県松本市。乗鞍岳も間近な標高1,600mと高所で、駐車場から約20分の登山道を登ると「たか見の広場」に到着する。
観察&撮影の機材を担いで登坂するには気力・体力が必要だが、天候や気流などの条件に恵まれると眼前には白樺峠ならではの「タカ柱」が望める。
初日の9月14日、11時30分に観察&撮影を始める。すると、いきなり渡るタカのサシバとハチクマがやって来た。
バードウォッチャーと意識の高い野鳥カメラマンは、過ぎ行くタカを「識別」するのが喜びだ。釣り人界では「梁山泊」と言い換えられるだろう。
観察の中心は双眼鏡で、次々と飛来するタカを捉えるのにVICTORY SF 10x42の明るく、周辺まで歪みのない広い視界とフォーカスノブの適度なトルク感は心地よい。
ワラワラと沸いてくるタカを「ハチクマばっかりじゃん!」と言い切れるのも、視界がシャープで明暗のコントラストが映えるVICTORY SF 10x42の強みだ。
とはいえVICTORY SF 10x42では1〜2km先を飛び立ったタカを識別できないので、そうなるとDiaScope 85T*FLの出番だ。
タカの識別について、渡りの主役サシバとハチクマは淡い色から濃い色までバリエーションが豊富で色彩では判別できない。一にも二にも「シルエット」を見極めることなる。
DiaScope 85T*FLは飛び去るタカを大きく動く粗動と、細かいピント合わせが必要な微動が一つのノブに収められていて、頭上をかすめて行くタカも、難なく導入して見分けることができる。
もちろん双眼鏡のVICTORY SF 10x42以上に見えるため、虹彩や羽の抜けている部分までもが露わになる。
サシバの大きさはカラス大で、翼は柳の葉のようにスマートな感じ。それより一回り以上大きなハチクマは着物の振袖のような「だんびろ」の翼で、さらにオス成鳥・メス成鳥をいち早く識別して仲間や周辺の人に伝えられるのは快感だ。
秋雨前線の停滞と台風の影響を縫っての隙間で、旅程は天候に恵まれたが「渡りが数千羽!!」のビッグヒットとは行かなかったが、時折低く飛ぶタカもいたのですごく楽しめた。
もちろん、来年も出かける。
今後の「タカの渡り」スケジュール
白樺峠でサシバ・ハチクマの最盛期が終わり、タカの種類がハイタカやノスリと種は変わるが10月下旬までは楽しめるだろう。
タカの渡りのもう一方の雄、愛知県渥美半島の伊良湖岬では10月初旬にサシバ・ハチクマの渡りのピークを迎え、11月初めごろにかけて本州ではここならではの、ものすごい数の小鳥類の渡りも観察できるので、人気のスポットだ。(志賀眞)
協力:カールツァイス株式会社