特別企画
EOS-1D X Mark IIで「無限連写」ができるって本当?
シャッターボタン押しっぱなしで何コマ途切れず撮れるのか…驚愕の動画を紹介
2016年9月23日 07:00
CFastとXQD。どちらも今年になって採用が進んでいる、新世代の記録メディアだ。
その魅力はなんといっても高速性能。デジカメ WatchではCFastとXQDのうち、XQDの高速性能を検証する記事を公開、大きな反響を得た。
そこで実証されたのは、XQDの圧倒的な記録速度と、それによる撮影スタイルの自由度だった。
一方のCFastだが、レキサーブランドを擁するマイクロンがその実力を見せる動画をYouTubeで公開している。これが結構衝撃的なので、ここで紹介してみたい。
EOS-1D X Mark IIでCFastを使うと……
CFastを採用するカメラは、いまのところプロ機のキヤノン EOS-1D X Mark IIのみ。デュアルスロットのうち、スロット1がCF、スロット2がCFast用になっている。
CFastとは
CFA(CompactFlash Association)が策定したメディアで、外形寸法はCFと同じ。だが互換性はない。
CFとの最大の違いは、データの転送方式。CFが複数の信号線でまとめてデータを送るパラレル転送であるのに対し、CFastはSATA(シリアルATA)によるシリアル転送を採用している。
シリアル転送は、1つの信号線にデータを順番に送る方式。パラレル転送で発生する信号線同士の干渉や、データが同時に到達しないスキューという問題が発生しない。
そのためCFastは、525MB/sという高速転送を実現(レキサープロフェッショナル 3500x CFast2.0カードの場合)。ちなみにCFの転送速度は166MB/sが限界とされている。
そんなCFastとプロ向けの一眼レフカメラ、EOS-1D X Mark IIが出会うとどうなるか。
通常、デジタルカメラで連写をし続けると、いずれカメラのバッファがいっぱいになり、記録メディアへの書き込みが始まる。書き込みはそれなりに時間がかかるので、結果、連写が遅くなる。
デジタルカメラの記録メディアは登場以来、進化に進化を重ねてきた。一方、カメラ側の画素数や連写コマ数も増加している。連写し続けるとバッファがフルになって連写速度が落ちるのは、もはや仕方がないと思われている。
ところが……その常識を覆すのが、CFastとEOS-1D X Mark IIの組み合わせ。論より証拠、マイクロンが公開した動画を見て欲しい。
64GBのCFastがいっぱいになるまでEOS-1D X Mark IIで連写し続けるという趣向で、主な条件は
使用カメラ:EOS-1D X Mark II
記録メディア:レキサープロフェッショナル 3500x CFast2.0カード 64GB(最大読込525MB/s、最大書込445MB/s)
記録設定:RAW約21MB+JPEG(L)約4MB
というものだ。
動画をさっそくスタートしてみる。右下のカウンターに注目。
10秒経過したところ。さすがEOS-1D X Mark II、あっというまに100コマをクリア。
20秒経過。200コマ達成。途切れる気配なし。
30秒が経過。順調順調。
1分経過。まだ止まらない。この辺から自分の常識を疑い始める。
2分経過。すでに1,200コマを超えているが、まったく速度が落ちない。
3分経過。まだ続く。常識外れすぎてもはや現実感がない。
約4分で終了。ついに64GBを撮り切ったようだ。コマ数はなんと2,557!
以前XQDの記事で試したD500は、連続撮影が200コマまでという制限があった。しかし、EOS-1D X Mark IIにそうした制限はない。そのため記録容量がいっぱいになるまで連写が続き、並外れた記録を叩き出せたわけだ。
現実的にここまで連写をする撮影はないが、いくら連写しても速度が落ちない、ストレスフリーで撮影できるのは大きなメリットだろう。
これはデジタルカメラの歴史においてひとつのトピックになるかと思う。カメラがプロ機なので誰もがメリットを享受できるわけではないが、連写を多用するEOS-1D X Mark IIのユーザーには朗報だろう。
UHS-II VS UHS-I|FUJIFILM X-T2でUHS-IIを使うと……
ついでに同じくレキサーのYouTubeチャンネルから、今度はSD UHS-IIの実力を見る動画を紹介してみよう。UHS-IIとUHS-Iを比較する内容だ。
UHS-IIとは
SDアソシエーションが定義した高速規格UHS-Iをさらに高速にしたもの。
従来のSD系に対して新たな転送用のピンが追加されており、UHS-I採用カードの最大104MB/sを大きく超える、312MB/sでの高速転送が可能だ。UHS-Iカードとの互換性もある。
この動画では、UHS-IIカードとUHS-Iカードを比較。書込みが遅くなるまでの時間とそれまでの連写コマ数を計測している。もちろんX-T2はUHS-IIに対応しており、UHS-IIの性能を引き出せるカメラだ。
使用カメラ:FUJIFILM X-T2
記録メディア:レキサー プロフェッショナル 2000x SDXC UHS-II 64GB(最大読込300MB/s、最大書込260MBs)
記録設定:JPEG FINE(1回目)、ロスレス圧縮RAW(2回目)
中身は見てのお楽しみということで詳しくは伏せるが、結果を述べるとやはりUHS-IIが圧倒的に速い。JPEG FINEでの比較ではこれまたカードいっぱい、1,000コマ以上の連写が続いた。
UHS-IIカードは順調に対応カメラが増えてきている。対応カメラを手に入れた人はぜひUHS-IIの実力を体験してほしい。
XQD VS UHS-II|D500でXQDを使うと……
もうひとつおまけに、XQDとニコンD500の組み合わせの動画も貼っておこう。
XQDとは
CFやCFastと同じくCFAが策定したメディア。小型ながら高速で、実勢価格もSDXCとそれほど変わらない。ただし対応機種はいまのところ、ニコンD4、D4s、D5、D500とソニーの一部プロ用ビデオカメラに限られる。
第2世代のXQD 2.0では、最大読込440MB/s、最大書込400MB/sを実現している(レキサープロフェッショナル 2933x XQD 2.0の場合)。
動画では、XQDとUHS-IIの勝負が繰り広げられる。
使用カメラ:ニコンD500
記録メディア:レキサープロフェッショナル 2933x XQD 2.0 64GB(最大読込440MB/s、最大書込400MB/s)
記録設定:RAW-L(1回目)、RAW-L+JPEG-L NORMAL(2回目)、RAW-L+JPEG-L FINE(3回目)
RAW-L+JPEG-L NORMALの連写比較では、XQDはD500の最大連写コマ数である200コマまでひっかかることなく撮影。一方UHS-IIカードは74コマで書込みが遅くなっている。その差は大きいといえるだろう。
まとめ
というわけで、カメラの連写性能を最大限に引き出すには、記録メディアにも気を使うべし。
他にも検証動画がいろいろあるので、新世代記録メディアが気になっている人は、レキサーの公式Youtubeチャンネルをチェックしてみよう。
協力:マイクロン株式会社