PROGRESSIVE PRO LENS − 写真家がプロレンズを選ぶ理由

もう見られないかもしれない、地元の風景を写真に残す…自然風景写真家・柴田祥さんインタビュー

移動中に朝もやに遭遇し、すぐに晴れそうだったので慌てて手持ちで撮影。薄暗かったにも関わらずAFも速くしっかり合い、撮り逃すことがなかった。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO / 40mm(80mm相当) / 絞り優先AE(F2.8、1/60秒、-1.0EV) / ISO 200

メーカーにより、様々なキャラクターが与えられている交換レンズ。その中でプロ向けと呼ばれる交換レンズには、一体どんな能力が込められているのか。

この連載「PROGRESSIVE PRO LENS」では、オリンパスのPROレンズで撮影する写真家を紹介。そのインプレッションを交えつつ、写真や機材に対する考え方を聞いていく。

今回は、地元青森の風景を独特のセンスで形にする写真家、柴田祥さんが登場。PROレンズでも人気の1本「M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO」を使いこなした作品群を紹介しよう。(編集部)

柴田祥
青森県弘前市在住。写真作家として自然風景や鉄道風景など地元青森の風土を撮影している。2012年東京カメラ部10選。

柴田祥さんの使用レンズ
M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO

写真を撮り始めたきっかけは?

友人達がカメラを次々と買い始めたことから、自分もなんとなくカメラを購入したのが始まりです。

ある日奥入瀬渓流へ行き、長時間露光で写真を撮ってみたところ、肉眼で見られない風景が写っていました。そこで写真のおもしろさを知り、本格的に撮影を始めました。

この日は前の週の大雨による濁流の影響で水が濁っていたためND400フィルターを装着して長秒露光で撮影。NDフィルター越しでもAFがスムーズに合うので撮影時にストレスがない。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO / 21mm(42mm相当) / マニュアル露出(F16、20秒) / ISO 200

現在、どのような写真の仕事をされていますか。

企業への写真提供や雑誌への寄稿、オリジナルプリントの販売をしています。

影響を受けた写真家、写真集、メディアは?

沢田教一、小島一郎、深瀬昌久、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ビル・カニンガム、マイケル・ケンナ。

それと写真を始めてからネットがきっかけで、今も親交のある写真仲間の皆さんに影響を受けております。

早朝の蓮池で葉っぱに落ちた花弁に、スポットライトのような日の光が当たっていた。手をかなり伸ばさないと撮れない場所だったが、バリアングルモニターのおかげで構図を確認しながら撮影できた。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO / 40mm(80mm相当) / 絞り優先AE(F2.8、1/6,400秒、-1.0EV) / ISO 200

自然風景を撮影する魅力とは?

撮りたい写真をイメージして現地へ出向くと、自分の希望的観測以上の想像を超える現象や姿を魅せてくれる瞬間が稀にあります。

そういった瞬間に立ち会えるのが魅力です。そして改めて、自然の偉大さを感じます。また、撮影地を調べていく内に、その土地への造詣も深まります。

霧が濃い夜明け前の湖畔。かなり暗い中でも手持ち撮影で快適に撮れるため、これまで三脚が必須なために撮ることができなかったさまざまなアングルから撮ることができた。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE (F5.6、0.8秒、-0.7EV) / ISO 200

地元を撮影することについて

写真を始めて間もない頃は、己の写真を通じて地元をもっとたくさんの人に知ってもらいたいと思ったこともありました。

しかし今は、これまで撮影を続けてきて撮り溜めた写真を見返した時、自然、人工物どちらもどんどん変化してきていることが改めてわかりました。

当然のことですが、無くなった風景はもう二度と見ることができません。

このことから最近は自分が写真を撮れる間は地元の風景を写真に残していきたいと思い撮影しています。

もちろん以上のことを踏まえた上で写真をきかっけにたくさんの人に知ってもらえる機会もあればと思っております。

絞り開放でもかっちり撮れる性能を生かし、F2.8で被写体に寄る。背景の田んぼが柔らかくボケて、稲穂についた夜露はきれいな玉ボケとなった。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO / 40m(80mm相当) / 絞り優先AE(F2.8、1/100秒、-0.3EV) / ISO 200

M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PROの画質・使い勝手は?

コンパクトながらF2.8と明るく、AFがとても速い。そして防塵防滴耐低温と、まさに万能といって過言ではないレンズです。

一般的に標準ズームレンズといわれる望遠側の焦点距離は70mmですが、このレンズは80mm相当。もう少し寄りたいなというときに非常に便利です。

画質面ではとてもきれいなトーンが得られ、かつ木々の葉1枚1枚を精細に写し出す解像力をもっています。実感としては、フルサイズ機に劣らない描写といえます。

霧の動きが速く、現地に到着したときにはいまにも晴れてしまいそうだったので、すぐさまシャッターを切った。手持ちでの撮影にも関わらず、5軸手ぶれ補正のおかげで感度を上げず撮影できた。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO / 40m(80mm相当) / 絞り優先AE (F2.8、1/100秒、-0.3EV) / ISO 200

今後取り組みたいシリーズやテーマは?

まだ私は青森の一部しか撮れていません。青森は地域間で同じ県とは思えないほど文化が違います。今後は県内全域を撮りたいと思っております。

沈みゆく夕日に向かって撮るという強い逆光の条件だったが、AFが迷うこともなかった。倒木のディテールがシャドウ部までしっかりと描写されているところに、レンズの解像力の高さを感じる。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO / 40mm(80mm相当) / 絞り優先AE(F2.8、1/1,600秒、-1.0EV) / ISO 200

デジタルカメラマガジン10月号にも柴田祥さんが登場!

デジタルカメラマガジンでも連動企画「PROGRESSIVE PRO LENS」が掲載中です。最新の2017年10月号では、焦点距離とF値の組み合わせについてなど、柴田さんによるレンズの使いこなしが掲載されています。

デジカメ Watch編集部