【新製品レビュー】カシオEXILIM ZOOM EX-Z2300

　カシオ「EXILIM ZOOM EX-Z2300」は、2月に発売された同社コンパクトカメラ「EXILIM ZOOM EX-Z2000」の後継モデルだ。基本機能を前モデルから引き継ぎながら、新機能として超解像技術を応用した「超解像高画質」が追加されている。

　上位モデルの「HIGH SPEED EXILIM」シリーズのような尖った機能こそないが、実勢価格は3万円前後と手頃であり、小型・軽量なボディと相まって気軽に撮影が楽しめるカメラだ。ボディカラーはゴールド、ブラック、ピンク、パープル、ブルーの5色。

■外観・操作性は前モデルを踏襲

　主な仕様は前モデルをほぼ踏襲している。撮像素子は1/2.3型正方画素CCDで、有効画素数は1,410万画素。CCDシフト方式の手ブレ補正機能も備えている。

　レンズは焦点距離約26-130mm相当（35mm判換算）の光学5倍ズームレンズ。マクロ時には約5-50cm、スーパーマクロ時は約5-50cmでの撮影が可能。開放F値はF2.8〜F6.5。

　背面には46万ドットの3型液晶モニターを搭載。前モデルの特徴であったEXILIMエンジン5.0も引き続き採用している。

　外観や操作性も前モデルから大きな変更は無い。必要最小限のボタンがシンプルに配置されており、操作に迷うことはないだろう。

　バッテリーはリチウムイオン充電池のNP-110で、撮影可能コマ数は約580コマと充分。記録メディアはSDHC/SDメモリーカードに対応する。本体サイズは100.5×58.5×19.8mm。重量は約149g（バッテリ、メモリーカード含む）だ。

シャッターボタンとズームレバー	背面操作部。整然と各ボタンが並ぶ

内蔵ストロボ	USB/AV出力端子

記録メディアはSDHC/SDメモリーカードを使用	バッテリーと充電器。撮影可能コマ数や約580コマ

■新機能「超解像高画質」を搭載

　EX-Z2300におけるもっとも大きな進化は、「超解像高画質」を搭載した点にある。これは低解像度の画像を高解像度画像として補完処理する場合などに使われる超解像技術を応用したもの。AV機器でお馴染みの機能で、デジタルカメラではすでにパナソニックが今春から採用をはじめている。

　超解像は一般的に、細かい模様の部分や、明暗差のある部分、平坦な部分などを判別し、それぞれの状態にあわせた画像処理を行なうもの。画像のエッジを強調する処理として従来からあるシャープネス処理とは異なり、画像全体にシャープネスを掛けた場合に発生するリンギングなどを低減するのが主な狙いだ。これによって、精細感のあるディテールは精細なイメージで、空など平坦な部分は平坦なままの処理が施され、より自然で解像感の高い画質を得ることができる。

　実際に超解像高画質を試してみると、ある程度縮小して表示した場合はとても美しく、輪郭がくっきりとした見た目となり好感が持てる。ただし等倍で見ると、ディテール描写が幾分荒めに見えるなど癖も強い。好みもあるので一概にはいえないが、気になる場合はオフにすれば良いだろう。

　今回はこれを利用した「超解像ズーム」も新たに搭載。光学ズームの望遠端から約1.5倍のデジタルズームに相当する範囲の画像に補整をかけ、光学ズームにせまる画質を目指したというものだ。操作画面上では7.5倍以上の領域から「超解像ズーム」ではない通常のデジタルズーム領域として表示される。ズームレバー操作時に緑色のマークの位置でも一端ズームが止まるので、超解像ズーム使用の有無はわかりやすい。

超解像高画質のオン/オフは、オートモード時のみ選択可能。標準ではオフになっている。一方、超解像ズームは標準でオンだ	プレミアムオート時のメニュー画面。同モードでは超解像ズームのオン/オフのみ選択可能。こちらも標準でオンの設定になっている

「超解像ズーム」オンの場合の画面。下部のズームゲージは「7.5x」の表示になっている。ゲージの下側にある緑色の三角マークが本来の光学ズーム時の広角端（光学5倍）の位置、赤色のラインは超解像ズームが適用されないデジタルズーム領域を示す	「超解像ズーム」オフ状態の画面。緑色のマークは無くなり、倍率表示は光学ズームのみの「5.0x」と表示される

■手軽に性能を引き出せる「プレミアムオート」

　従来機から引き続き搭載されている主な機能として「プレミアムオート」がある。これは、風景や、夜景、夕日、人物などをカメラが認識して、自動的に最適なモードで撮影をしてくれるというものだ。例えば風景に人物が写るシーンでは自動的に「風景＋人物」のモードになり、顔認識もする。三脚の有無なども自動認識するため、例えば夜景を撮影する場合、三脚を装着していればISO感度を下げ、画質を優先した設定になり、三脚を使わず手持ちの場合はISO感度を上げ、手ブレしにくい設定になったりする。

　基本的に、通常撮影時はこの機能を使って撮影すれば問題はないだろう。特にカメラの操作が苦手な人に使ってもらうようなケースでも有効だ。唯一のデメリットは、撮影後の処理に3秒ほど時間を要する点だ。液晶モニターの表示によると、「高画質化処理」を行なっているためという。この処理には、前述した超解像高画質も含まれているようだ。

　プレミアムオートは本体上部のボタンによって、処理が比較的軽めなオートモードと簡単に切り替えが可能なので、必要に応じて切り替えて使いたい。オートモードではごく一般的なコンパクトデジタルカメラ同様、ISO感度やAFモードなどの設定が可能だ。

　このほか、シーンに合わせた撮影モードを選択できる「ベストショット」機能も搭載。風景や夜景、油絵やクレヨン画風の写真を作るアートショット機能など40種類のモードを搭載している。

プレミアムオート設定直後の画面。三脚利用のマクロモードとして自動的に設定された	撮影後にこのような画面が表示され、若干処理に時間がかかる

こちらはオートモード時の画面	オートではISO感度やフォーカスモードなどの選択も可能になる

ベストショットのメニュー画面。全部で40種類のモードをもつ	ズームレバーを操作すると、ベストショットそれぞれの解説を見ることができる

■まとめ

　前モデルから大幅な進化はないものの、超解像技術の採用により、撮影の幅がより広がったモデルだ。特に本機のほぼすべての機能を意識することなく撮影が可能なプレミアムオート機能は、超解像技術とも相性がよいように思われた。価格もこなれており、コンパクトで軽量な点からも気軽に持ち歩いて撮影できる製品と言える。24mm相当といった超広角を求めない限り、日常の使用で過不足ない画角が得られる点も心強いし、バッテリーの持ちも良い方だ。

　操作面で一点だけ気になったのは、撮影時、ムービーボタンの位置に親指が重なることが多く、意図せず録画が開始されてしまったこと。液晶モニターの大型化が進む昨今、本体の小型化との板挟みで難しいとは思うが、慣れれば解消する問題だし、もう少し親指を置く場所に余裕を作るか、グリップとはまでは行かないが、突起のようなものがあっても良かったかもしれない。

■実写サンプル

• 静止画作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
• 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードが始まります。再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。

超解像高画質：オフ EX-Z2300 / 約5.4MB / 3,240×4,320 / 1/250秒 / F8.7 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 6.6mm	超解像高画質：オン EX-Z2300 / 約5.9MB / 3,240×4,320 / 1/250秒 / F8.7 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 6.6mm

デジタルズーム（超解像ズーム：オフ） EX-Z2300 / 約2.0MB / 4,320×3,240 / 1/400秒 / F6.5 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 23.5mm	超解像ズーム：オン EX-Z2300 / 約2.0MB / 4,320×3,240 / 1/400秒 / F6.5 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 23.5mm

プレミアムオート（夜景） EX-Z2300 / 約5.0MB / 4,320×3,240 / 1.0秒 / F4.8 / -1.3EV / ISO50 / WB:オート / 15.5mm	プレミアムオート（夜景） EX-Z2300 / 約5.9MB / 4,320×3,240 / 2.5秒 / F3.9 / -0.7EV / ISO50 / WB:オート / 10.8mm

プレミアムオート（風景） EX-Z2300 / 約7.4MB / 4,320×3,240 / 1/800秒 / F3.9 / -0.7EV / ISO50 / WB:オート / 10.8mm	プレミアムオート（風景） EX-Z2300 / 約10.5MB / 3,240×4,320 / 1/320秒 / F3.9 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 10.8mm

ベストショット「夕日」：オフ EX-Z2300 / 約4.4MB / 4,320×3,240 / 1/640秒 / F3 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 6.6mm	ベストショット「夕日」：オン EX-Z2300 / 約3.9MB / 4,320×3,240 / 1/125秒 / F8.7 / 0EV / ISO50 / WB:太陽光 / 6.6mm

アートショット未使用 EX-Z2300 / 約5.4MB / 4,320×3,240 / 1/160秒 / F7.9 / -0.3EV / ISO50 / WB:オート / 4.7mm

アートショット「油絵」 EX-Z2300 / 約2.7MB / 2,048×1,536 / 1/125秒 / F7.9 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 4.7mm	アートショット「クレヨン画」 EX-Z2300 / 約2.4MB / 2,048×1,536 / 1/125秒 / F7.9 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 4.7mm

広角端 EX-Z2300 / 約2.8MB / 4,320×3,240 / 1/125秒 / F7.9 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 4.7mm	望遠端 EX-Z2300 / 約3.4MB / 4,320×3,240 / 1/250秒 / F6.5 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 23.5mm

広角端 EX-Z2300 / 約3.0MB / 4,320×3,240 / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO50 / WB:オート / 4.7mm

※夜景モードで撮影

ISO50 EX-Z2300 / 約6.8MB / 4,320×3,240 / 3秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 13.2mm	ISO100 EX-Z2300 / 約7.2MB / 4,320×3,240 / 1.6秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 13.2mm

ISO200 EX-Z2300 / 約7.7MB / 4,320×3,240 / 1/1.2秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 13.2mm	ISO400 EX-Z2300 / 約7.4MB / 4,320×3,240 / 1/2.5秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 13.2mm

ISO800 EX-Z2300 / 約7.7MB / 4,320×3,240 / 1/5秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 13.2mm	ISO1600 EX-Z2300 / 約7.8MB / 4,320×3,240 / 1/10秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 13.2mm

ISO3200 EX-Z2300 / 約6.9MB / 4,320×3,240 / 1/20秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 13.2mm

EX-Z2300 / 約5.0MB / 3,240×4,320 / 1/1,000秒 / F3.4 / -0.7EV / ISO50 / WB:オート / 8.5mm

1,280×720 / 76.5MB / 30fps / Motion JPEG / 29.94Mbps