新製品レビュー
キヤノン EOS R8 Mark II
上位モデルに匹敵する“エントリーフルサイズ” 使いやすさと性能のバランスが取れた1台
2026年9月18日 07:00
キヤノンから新たに登場した「EOS R8 Mark II」は、35mmフルサイズセンサーを搭載するミラーレスカメラだ。
キヤノンのフルサイズミラーレスのなかでも、エントリークラスの小型・軽量モデルとして位置付けられてきた「EOS R8」の後継機であり、外観デザインを一新するとともに、操作性や撮影性能にも改良が加えられている。
基本となる画質性能は前モデルから受け継がれているが、実際の撮影ではどのような使い勝手を見せてくれるのだろうか。今回は実際に試写しながら、「EOS R8 Mark II」の実力を確かめていきたい。
外観
外形寸法は約131.4×90.0×79.7mmで、質量は約546g(バッテリー、メモリーカード含む)となっている。前モデルの「EOS R8」は約132.5×86.1×70.0mmで、質量は約461g(バッテリー、メモリーカード含む)なので、明らかに大きく、重くはなっている。
しかし性能の進化に加えて操作性も向上しているため、必要以上に心配する必要はない。近年のフルサイズミラーレスカメラは、AFや連写、動画などの性能向上にともなってボディサイズも大きくなる傾向にある。「EOS R8 Mark II」もその例に漏れず、十分に納得できる範疇にあるだろう。
また、前モデルはどちらかというと丸みのあるなで肩の優しいデザインだった。それに対して本モデルは、直線を基調とするシャープでシンプルなデザインへと大きく変更されている。このデザイン変更も、「EOS R8 Mark II」の特徴だ。
操作性
外観は大きく変わった本モデルだが、操作性については基本的に前モデルのボタン・ダイヤル類の種類や配列を踏襲している。そのため、前モデルから買い替えたとしても、カメラの使い方で迷うことは少ないだろう。
ただし、うれしい変更点もしっかりと加えられている。そのひとつとして象徴的なのが、マルチセレクターの搭載だ。メニューの設定やフォーカスポイントの選択などを、マルチセレクターで操作できるようになったことで、撮影時の操作性は格段に向上している。
サブ電子ダイヤルと同軸上に配置された電源スイッチは、OFF→静止画撮影(ON)→動画撮影と、直感的に連続して切り換えられるようになった。従来は静止画撮影と動画撮影の切り換えスイッチが独立しており、電源のOFFとONの間にLOCKがあったため、操作がやや分かりにくい面もあった。
センターファインダー型の電子ビューファインダーを備えている点は、前モデルから変わらない。明るい屋外でも被写体や撮影情報を確認できる。
背面のモニターも前モデルから大きな変更はない。バリアングル式の可動式モニターを採用しているため、一般的な静止画撮影はもちろん、動画撮影や自撮りにも便利で、撮影時の自由度は高い。
前モデルはバッテリーとメモリーカードのスロットが同室に配置されていたが、本モデルではそれぞれが独立し、撮影中でも交換しやすくなった。ダブルスロットというわけではなく、シングルスロットのままではあるものの、実用上の使い勝手が向上している点は歓迎したいところだ。
バッテリーには前モデルと同じ「LP-E17」を採用している。容量は1,040mAhとそれほど大きくはないものの、今回の試写で使った限りでは、意外にも持ちがよい印象だった。とはいえ、撮影スタイルによっては消耗が早くなることも考えられるので、長時間の撮影では予備バッテリーを用意しておいたほうが安心だろう。
撮像センサーと画像処理エンジン
搭載する撮像センサーは、有効約2,420万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーで、映像エンジンは「DIGIC X」を採用している。このほか純正のRFレンズに対応した光学設計の最適化をはじめ、高感度性能や4K60p動画撮影、デュアルピクセルCMOS AF IIへの対応など、多くの特徴を備えている。
ただし、これらの仕様は前モデルから変更されていない。
変更はないと言っても、すでに前モデルの「EOS R8」でフルサイズミラーレスカメラとして十分に満足できる画質を実現している。そのため、本モデルを使って画質に不満を覚えることは、ほとんどないだろう。実際に試写してみても、そのことは明らかに実感できるところだった。
常用最高感度はISO 102400で、非常に高い高感度性能を備えている。こちらも前モデルから変わらない仕様だ。
実際に高感度で撮影してみても、EOSらしい高い画質性能を確認することができた。解像感や高感度性能といった、フルサイズデジタルカメラならではの画質面での高い性能は、前モデルから正当に受け継がれていると考えてよいだろう。
ボディ内手ブレ補正機構を新搭載
前モデルと同じ撮像センサーと映像エンジンを採用しているため、基本的な画質性能は前モデルを踏襲しているが、新たにボディ内5軸手ブレ補正機構を搭載した点は大きな違いとなっている。
さらに、対応する光学式手ブレ補正機構を搭載したRFレンズとの組み合わせでは、カメラとレンズそれぞれの手ブレ補正機構を協調制御することで、より大きな補正効果を発揮する。手ブレ補正効果は中央最大7.5段、周辺7.0段という強力なもので、同クラス帯でも最高クラスと言ってよいだろう。
下の作例は、雰囲気のよい場所にネコがいたため、慌ててシャッターを切ったものだ。思いがけず1/13秒という低速シャッターになっていたが、それでも手ブレを起こすことなくシャープに撮影することができた。夜景撮影や望遠撮影などはもちろんだが、手ブレ補正が備わっていると、こうしたとっさの撮影でも効果を発揮してくれるので心強い。
AFと高速連続撮影
また、アルゴリズムの改善によるAF性能の向上と、プリ連続撮影の新搭載によって、動体撮影性能が大きく進化したことも大きな違いのひとつだ。
被写体認識機能や電子シャッターによる最高約40コマ/秒の高速連続撮影は、前モデルでも同様であったが、それだけでは鳥の飛び立ちなど、人の反射速度では対応できない一瞬を捉えることは難しかった。
しかし、本モデルがプリ連続撮影機能を搭載したことで、シャッターボタンを押したタイミングから最大20コマ分(最大約0.5秒)を遡って記録することが可能となった。実際に試してみても、シャッター半押しで待ち構え、「飛び立った」と気づいてから全押しすれば、ほぼ確実に鳥の飛び立ちの瞬間を捉えることができた。
組み合わせるレンズにもよるが、全体的にAFは非常に速く正確で、被写体認識の対象が画面内に入りさえすれば一瞬で合焦し、その後は粘り強く掴み続けてくれる。前モデル「EOS R8」はもちろんのこと、上位機種である「EOS R6 Mark II」さえも凌ぐ、大変に優れたAF性能だといえるだろう。
ローリングシャッター歪みはまったくないわけではないが、よほど素早くカメラを振ったりしなければ、それほど気になることはなかった。もともと優れた、読み出し速度の速い撮像センサーを採用していたということなのだろう。
動画撮影性能
本モデルは動画撮影においても本格的な機能を備えている。最大4K60pの動画記録に対応し、クロップなしでは6Kオーバーサンプリングによる高画質な4K動画を撮影することができる。さらに、YCC 4:2:2 10bitの記録にも対応しており、豊かな階調表現が可能だ。これらは前モデル「EOS R8」から引き継がれたもので、フルサイズならではの高画質を生かした動画撮影を楽しむことができる。
今回は、本モデルにおける最高クロップなし設定となる4K60pでサンプル動画を撮影した。4K動画に必要な情報を6K相当のデータからオーバーサンプリングして生成しているため、モアレやジャギーの発生を抑えつつ、ディテール再現や解像感に優れた4K60p映像が得られている。
作例
前モデルから受け継がれた被写体認識機能は、その精度と素早さにサスガと言うほかない。とりあえず認識対象をオートにしておけば、日常の中で出会った被写体も素早く認識し、その一瞬を逃さず撮影できる。
前モデルよりわずかに大きく、重くなってはいるものの、相変わらず携行性に優れた取り回しのよい小型・軽量モデルであることに変わりはない。日常のスナップはもちろん、旅のお伴として普段使いするにも、個人的にはちょうどよいサイズ感に思う。
逆に、もう少し大きなグリップが欲しいと感じる場合は、ホールディング性能を高めるエクステンショングリップ「EG-E2」が別売りで用意されているので、試してみる価値はある。今回の試写でも「EG-E2」を装着してみたが、ホールディング性能が高まり、その効果を大いに実感することができた。
レンズキットとして「RF45mm F1.2 STM」との組み合わせが用意されている。単焦点レンズならではのF1.2の大きなボケ味を楽しみながら、日常のスナップを切り撮るのにちょうどよい自然な画角も魅力だ。
フルサイズミラーレスカメラならではの表現力を、存分に体感できる組み合わせと言えるだろう。実際に装着して試写してみても、写真を撮る楽しさを大いに味わわせてくれた。
前モデル「EOS R8」から画質性能をそのまま引き継いでいるため、実際に使ってみてもその点に不満を覚えることはまったくない。約2,420万画素という画素数に、場合によっては少し物足りなさを感じるかもしれないが、現実的に考えれば、ほとんどの撮影条件を満たす十分な性能を備えていることは間違いない。
エントリークラスだから約2,420万画素なのではなく、画素数がインフレを起こしている現代だからこそ、エントリークラスでも約2,420万画素という十分な画素数を得られる、と考えたほうが得策だろう。
まとめ
「EOS R8 Mark II」は、前モデル「EOS R8」から画質性能を受け継ぎながら、ボディ内5軸手ブレ補正機構やプリ連続撮影などを新たに搭載し、AF性能も向上させ、撮影性能を大きく高めたモデルだ。操作性も向上しており、実際の撮影ではその進化をしっかりと実感することができた。
ボディは前モデルより大きく、重くなったものの、フルサイズミラーレスとしては依然として携行性に優れている。被写体認識も素早く正確で、日常のスナップから動体撮影まで、難しい設定を意識することなく撮影を楽しめるのは大きな魅力だ。
約2,420万画素という画素数も、実用上は十分といえる。4K60p動画にも対応するなど、静止画だけでなく動画撮影まで幅広くこなせる。フルサイズならではの画質と撮影性能を身近に楽しみたい人にとって、使いやすさと性能のバランスが取れた1台と言えるだろう。


























