新製品レビュー
OM SYSTEM PEN
伝統スタイルに最新機能を凝縮 日常を作品に変える新世代スナップ機
2026年9月11日 07:00
OMデジタルソリューションズから、PENシリーズで初めて同社ブランド名を冠した「OM SYSTEM PEN」が登場します。
クラシカルなレンジファインダースタイルに電子ビューファインダーを搭載し、シリーズ初の防塵・防滴仕様を実現。いつでも気軽に持ち歩き、本格的な撮影が楽しめる注目の1台です。
クラシカルデザインに盛り込まれた多彩な機能
外装デザインはこれまでにも増してシンプルになり、往年のコンパクトハーフサイズカメラ「PEN F」のクラシカルな雰囲気が感じられる、レンジファインダースタイルのデザインです。
- 撮像素子:有効約2,037万画素 4/3型 Live MOS センサー
- 画像処理エンジン:TruePic IX(トゥルーピック ナイン)
- 手ぶれ補正:ボディー内5軸手ぶれ補正(中央最大5.5段 / 周辺最大4.5段)
- 外形寸法:約125.8×74.5×43.3mm(突起部含まず)
- 質量:約393g(バッテリー、メモリーカード含む)
天面から見ても、ダイヤルは最小限でとてもシンプル。操作系ダイヤル・ボタン類は右側と背面に集約されています。
PEN FからPEN E-P7、OM-3と引き継がれたクリエイティブな機能、プロファイルコントロールスイッチをボディ前面に配置しています。通常撮影とカラー/モノクロプロファイルコントロールを瞬時に切り替えられ、彩度やシェーディングなどを調整したこだわりのフィルム風描写をすぐに適用できます。
何より嬉しいのは電子ビューファインダー(EVF)が搭載されたこと。ファインダー内は明るく、撮影時の視認性も高く、絞り値やシャッター速度、露出の確認はもとより、モニター撮影だけでは不安定になりがちな構図の決め込みもばっちり行うことができます。
「PEN」シリーズで初めてカメラボディの適所にシーリング部材が配置されました。防滴性能と防塵に配慮した設計により、優れた耐環境性能を実現するなど、本体機能が高まる上、急な天候不良でも安心して撮影ができます。等級はIPX1相当です。
チルト式からバリアングルになったモニターはタッチ操作にも対応しています。
ボディ左側面に外部マイク入力端子、HDMI端子(タイプD)、USB Type-C端子、右側面にはSDカードスロットがあります。
伝統的なスタイルの小さなボディに、多彩な機能が盛りだくさんに搭載され、撮影意欲を高めてくれる1台になっています。
キットレンズは“III型”の新標準ズーム
レンズキット・ダブルズームキットに同梱される「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」は、焦点距離14-42mm(35mm判換算28-84mm)です。ハーフマクロを超える最大撮影倍率0.53倍相当(35mm判換算)の撮影が可能で、レンズ先端から約4cmまで被写体に寄ることができます。
防塵・防滴に対応しているので、OM SYSTEM PENと組み合わせることで、天候の変化を気にすることなく持ち歩き、撮影を楽しめます。
また、コンピュテーショナル フォトグラフィ撮影時の「深度合成撮影」に対応するなど、小さく軽い標準ズームレンズにもかかわらず、さまざまなシーンに対応できるハイパフォーマンスレンズです。
ダブルズームキットは、「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」(35mm判換算80-300mm)がセットになっています。
ボディとレンズ2本を持って歩いても非常に軽量で、荷物が多くなりがちな旅でも軽快な撮影が楽しめます。
PENシリーズ初搭載の「AI被写体認識AF」
AF方式はコントラストAFから像面位相差AFへ刷新されました。縦線と横線の両方を捉える121点オールクロス像面位相差AFと、人物・動物(犬・猫)認識により、被写体追従性能が向上。高速画像処理エンジンとの組み合わせによる恩恵が感じられ、この小さなボディにそこまで機能を盛り込めるのかと感心しました。
ペット(動物)や子どもなど、日常的に撮影機会が多い方には嬉しいですね。
「CPボタン」で引き出す先進的写真表現
「CP」とは、コンピュテーショナル フォトグラフィーの略で、デジタル技術を駆使した新しい写真表現を指します。
従来の光学的な写真撮影に代わり、カメラ内の演算処理を組み合わせて映像を作り出す技術です。最大の特徴は、単体のレンズやセンサーでは不可能な表現や、肉眼では捉えられない映像をデジタル処理で実現できる点にあります。
CPボタンを押しながらコントロールダイヤルを回すことで、「三脚ハイレゾショット」「手持ちハイレゾショット」「ライブ ND 撮影(ND2~16)」「深度合成撮影」「HDR 撮影(HDR1,2)」「多重露出」の撮影機能を切り替えることができます。
スナップ撮影では普段から三脚を持ち歩くことはほとんどないですし、三脚NGの場所も増えました。そうした場所でも撮影が可能になったり、撮影後もPC要らずの高度な描写表現を気軽に楽しめるというのは嬉しいものです。むしろ使わないと損した気分になる優れた機能でしょう。
ライブND撮影
レンズ用NDフィルターの装着の手間が省けるうえに、NDフィルターを持ち合わせていないときにもスローシャッターで撮影できる機能です。
ND効果は2/4/8/16と4段階で、撮影前にライブビュー上でスローシャッター効果の確認ができます。
日中のスローシャッター効果や、開放F値の明るいレンズでの撮影に適しており、普段NDフィルターを使わないユーザーにとっても撮影シーンが広がります。
被写界深度合成
ピント位置をずらした複数枚の写真を合成し、手前から奥までピントの合った被写界深度の深い写真を簡単に実現する深度合成機能。被写界深度を得るために過度に絞り込む必要がなくなります。
一部画面がクロップされた仕上がりになりますが、撮影時にはモニターに仕上がり枠が表示されているので、それを確認しながらフレーミングできます。
自分らしい表現を楽しむ機能が盛りだくさん
フィルムライクな色合いや、ノスタルジックに表現したり、柔らかく淡い雰囲気に仕上げたり、印象的なモノクロ作品を楽しんだりするなど、自分好みの色や質感で多彩な写真表現が可能になるプロファイルコントロール機能。
撮影後にPC現像ソフトを使わずとも、あらかじめ用意されたプリセットをベースに、カメラ内で写真の色合いや階調を細かく調整し、思い通りの雰囲気に仕上げることができます。
自分好みの仕上がりを求める方に欠かせない機能です。
カラープロファイルコントロール
渋みと重厚感のある色調の「Film Rich Color」、彩度が高く濃厚な発色の「Film Vivid」、淡く柔らかい色調の「Film Soft Tone」、標準「Standard (Natural)」の4種類のプリセットから好みの色を選びます。
そして「彩度」「ハイライト&シャドウ」「シェーディング効果」「シャープネス」「コントラスト」を自分好みの最適な色合いに調整して、作品作りが楽しめます。
モノクロプロファイルコントロール
粒状効果を活かした「Film B&W」、赤のカラーフィルター効果を強調することで赤外線フィルムのような表現を得る「Film IR」、コントラストを抑えた柔らかい印象の「Film Low Contrast」、標準「Standard (Monotone)」の4種類のプリセットが用意されています。
それぞれのプロファイルには、モノクロ撮影に欠かせないカラーフィルター効果、ハイライト&シャドウコントロール、シェーディング効果、粒状フィルム効果、調色の5つの効果を組み合わせて使うことができ、こだわりのモノクロ表現が可能です。
天候や光の条件に合わせてどんな表現が合うのか。ただプリセットを選ぶだけでなく、各種効果を効かせながらのモノクロ表現は無限大です。
アートフィルター(ARTモード)
「ART」モードには、表現の幅を広げる16種類のアートフィルターを搭載。シーンやイメージに合わせて思い通りの個性的な画に仕上げることができます。
OM SYSTEM(オリンパス)発祥と言われている人気の機能のはずですが、あまり使われていない印象があるのが残念です。
いきなりアートフィルターを使うのは……と思う方も、RAW撮影していれば、後からカメラ内現像でフィルター効果を加えることもできますし、撮影後にPCの現像作業時間を割かなくても雰囲気のよい写真に仕上がります。
モードダイヤルにもある「ART」モードですからぜひとも活用してもらいたい機能です。
モノクロプロファイルコントロールよりも手軽にモノクロ撮影を楽しみたいならラフモノクロームもイイ感じです。何ともない路肩の花もドラマチックな演出になりました。
SNSで写真を楽しんでいる今だからこそ、アートフィルターを使って表現を楽しむのもありではないでしょうか。個人的にアートフィルターは大好物です。
小さめの単焦点レンズとの組み合わせ
ふらりと近所やまち歩きでスナップ撮影を楽しむなら、「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」がよき相棒になってくれるでしょう。最大径57.6mm、全長37.6mm、質量112gと、掌にすっぽりと収まるコンパクトなサイズでとても軽量。カメラを持ち歩く楽しさと気分を上げてくれる見た目が好印象です。
今回は、さまざまな被写体に出会える川越の街を撮り歩きました。
アーティスティックな写真表現が楽しめるアートフィルター(ARTモード)で、どんなシーンにどんなアートフィルターがハマってくれるのか、似合うのか。考えながら撮影するのは楽しいものです。
訪れた日は曇りだったこともあり、ちょっと渋めの落ち着きあるアートフィルターを選んで撮影をしています。
淡い印象で柔らかい表現も、SNSで目を引きそうな鮮やかな色も、アートフィルターで表現できます。アレコレとシーンに合わせて選ぶ時間もまた撮影の楽しみです。
まとめ
「OM SYSTEM PEN」は、クラシカルで愛らしいルックスに、EVFや防塵防滴、AIによる被写体認識Fといった最新機能を凝縮した1台です。手軽に持ち出せる小型軽量ボディでありながら、プロファイルコントロールやCP機能で表現の奥深さを存分に味わえます。見た目以上に賢く優秀とはこのようなカメラをいうのでしょう。
コンパクトなサイズならではの難点として、小さなボタンの操作性に多少問題があるものの、「小さく軽いは正義」を実感させ、写真本来の撮るワクワク感と、レンズの選択肢も含め、マイクロフォーサーズのさらなる可能性を感じさせてくれる魅力に溢れています。
表現の自由度と写真撮影の楽しさをもう一度、OM SYSTEM PENで体験するのはありではないでしょうか。

































