交換レンズレビュー
Sigma 85mm F1.2 DG|Art
クラス最小・最軽量の「F1.2」で極上のボケを楽しむ
2026年10月1日 07:00
9月30日発売のシグマ「85mm F1.2 DG DN|Art」は、35mmフルサイズ対応の大口径中望遠レンズ。先に発売されている「35mm F1.2 DG DN|Art」「50mm F1.2 DG DN|Art」に続くArt F1.2シリーズの第3弾であり、本レンズの登場によって広角・標準・中望遠のフルラインアップが完成したことになる。
ソニーEマウント用とLマウント用がラインアップされており、今回はソニーEマウント用で試写した。
特にポートレート撮影に好んで使われる85mm中望遠レンズにおいて、F1.2という大口径がもたらす描写力を確かめてみた。
外観・仕様
外形寸法はφ87.2×121.7mm、質量は905g。大口径の中望遠レンズだけあってそれなりのサイズ感ではあるものの、F1.2という明るさを考えれば、決して大きく重いという印象ではない。シグマによれば、AF対応のフルサイズミラーレスカメラ用85mm F1.2交換レンズとして、同クラスで最小・最軽量を実現しているという。
実際に使ってみても、従来の85mm F1.2のように極端にレンズ側へ荷重が偏ることはなく、比較的軽快に撮影を続けることができた。F1.2という口径比を実現しつつ、機動力の高さにも妥協していない。
リング類は、レンズ先端側にフォーカスリング、マウント側に絞りリングを備える。いずれも剛性感のある造りで、操作性も良好。シグマらしい工作精度の高さを感じさせる仕上がりだ。
鏡筒左側には「フォーカスモード切換えスイッチ」、「AFLボタン」、「絞りリングクリックスイッチ」が並ぶ。
「AFLボタン」はAFロック機能に加え、好みに合わせてさまざまな機能を割り当てることが可能だ。鏡筒上部と側面の2カ所に用意されており、カメラを横位置に構えた場合でも、縦位置に構えた場合でもアクセスしやすい。
鏡筒右側には「絞りリングロックスイッチ」が装備されている。絞りリングを「A」ポジション(絞りオート)で固定したいとき、あるいは誤って「A」ポジションに入らないようにしたいときに使用する。
丸型のレンズフード「LH878-08」が付属する。ロック機構を備えた、しっかりとした造りのレンズフードだ。
作例
クラス最小・最軽量ということもあって、撮影時の取り回しはかなり軽快。カメラを自由に振り回しながら、自在に構図を決めることができる。F1.2によって生み出される大きなボケ味はやはり圧巻で、ポートレートで活用すれば、背景を大きくぼかして被写体を印象的に浮かび上がらせる、特徴的な演出が可能だ。
同じく開放F値のF1.2で撮影。ボケ味も良質で、主題を邪魔するようなことが一切ない。デュアルHLAによる高速かつ静粛なAF駆動も特筆すべきところで、今回組み合わせた「α7 V」の被写体認識性能も相まって、極薄のピント面に合焦することができた。
描写性能を重視した中望遠レンズではよくあることだが、本レンズも近接撮影性能はそれほど高くない。最短撮影距離は84cmで、最大撮影倍率は約0.1倍。婚礼写真などでブーケを持つ手を写すには、むしろ的確な距離感といえる。
開放絞り値のF1.2で撮ってみたくなるレンズではあるが、絞り値の違いによる表現の選択にも魅力がある。上半身を主体にしたこの構図で、モデル自身を被写界深度内に収めつつ、背景は適度にボカしたいと考え、絞り値をF2とした。
背後の石段が形を残す程度にボカしたかったため、絞り値をF2.8にして撮影した。どの絞り値でもボケ味は自然で優しく、主要被写体の邪魔をすることがない。
コンクリート壁をバックにしてポーズを決めてもらった。絞り値をF4まで絞って撮影したことで、画面全体の解像感が向上し、平面的な構図でありながら、引き締まった印象に仕上げることができた。
絞りをF1.2の開放にして遠景のビル群を撮ってみたが、画面の隅々まで像が乱れることなくシャープに描き出されている。まるで絞り込んで撮影したかのような高い光学性能は、開放F1.2を積極的に使いたくなる大きな理由になるだろう。
まとめ
85mm F1.2でクラス最小・最軽量ということで、実際の撮影でも軽快な取り回しを実感できた。大口径レンズならではの大きなボケを楽しみながら、フットワークを活かして自在に構図を決められるのは大きな魅力だ。
描写性能も高く、F1.2の開放からF4まで、絞り値に応じた表現の変化を楽しみながら、高い解像性能を安定して得られる。ボケ味は自然で優しい。主要被写体を邪魔することなく、ポートレートなどで印象的な作画を実現してくれる。
高い解像性能とボケ味、そして軽快な機動力を兼ね備えたことで、大口径中望遠レンズの表現力をより自由に引き出せるレンズといえるだろう。
モデル:透子














