新製品レビュー

Kodak PIXPRO S-1(外観・機能編)

コダックブランド初のマイクロフォーサーズ機

 「Kodak PIXPRO S-1」は、マイクロフォーサーズシステム規格を採用するミラーレスカメラだ。Kodakは2012年にデジタルカメラ事業から撤退を発表しており、現在は米国JK Imagingがコダックブランドのカメラを展開している。基本的にはコンパクトデジタルカメラが中心だが、本カメラの登場でレンズ交換式のカメラ事業に参入したことになる。

 日本ではマスプロ電工が国内独占販売権を持っている。国内発売は11月21日を予定。店頭予想価格はレンズキットで6万円前後となっている。今回は、Kodak PIXPRO S-1の外観と機能に関してご紹介していきたいと思う。カラーはブラックとホワイトを用意している。

基本仕様

 まず簡単にスペックを見てみよう。撮像素子には有効1,683万画素のフォーサーズセンサーを採用し、マイクロフォーサーズマウントを採用。キットレンズには沈胴式の35mm判換算で24-90mm相当をカバーするKODAK PIXPRO Aspheric ED Lens 12-45mm/3.5-6.3を採用。手ブレ補正はセンサーシフト式を採用している。

 ISO感度は200〜12800まで1EV毎に設定が可能。連写は5枚/秒となっている。記録フォーマットはJPEGとRAW(DNG)に対応。動画は最高画質でフルHD(1,920×1,080)30fpsとなっている。シャッター速度は1/4,000〜30秒から選択可能で、マニュアルでは30分までの長時間露光に対応している。

モードダイヤルはシンプルでわかりやすい。
ボタン類は親指で操作できるシンプル設計。ジョグダイヤルも採用している。

 撮影モードは全自動オートやシーンモードといった初心者向け機能なども充実。その他にも絞り優先、シャッター速度優先、マニュアルモードなど多くの撮影機能を搭載している。色彩効果には様々な効果があるが、中にはKodacolorやKodachrome、Ektachromeなどコダックファンが喜びそうな名前も並ぶ。

 最近トレンドのWi-Fi機能も搭載しており、モードダイヤルから簡単にアクセスできるようになっている。また、HDRやタイムラプスといった機能も充実している。

外付けストロボは折りたたみ可能
Wi-Fi機能を搭載している
バッテリーとSDカードスロット

外観

 次に外観を見てみよう。シンプルなデザインを採用している。本体サイズは115.7×67.4×35.6mmで重量は290gと軽量だ。グリップ部分はなだらかに盛り上がっており、ホールド感に優れている。グリップ部分はラバー加工がされており、ホールドした時の感触が良い。

グリップ部分は盛り上がっておりホールドしやすい。

 ボタン類も最小限にまとめられており、直感的な操作が行える。メニュー操作などは親指で操作できるようになっている。また、液晶モニターは3型の92万画素のチルト式を採用していて、ローアングルからハイアングルまで楽な姿勢で撮影することができる。また、ホットシューに付属の外付けストロボを装着可能だ。三脚穴を備えるもののレンズの光軸上にはないのが少し残念だ。入力端子はUSB2.0とHDMIマイクロを備える。USB端子は充電にも使用する。

チルト式モニターはローアングルやハイアングルでの撮影をより快適にしてくれる。残念ながらタッチパネル式ではない。
端子はUSB2.0とHDMIマイクロを採用。充電はUSB端子から行う。

操作性

 操作感に関しては、とてもシンプルな印象。直感的に操作でき、メニュー操作などは親指で行えるようにインターフェースが作られているようだ。メニューでは画質やストロボ調光補正など、頻繁には変更しない設定を行う。撮影に関する設定はジョグダイヤルの中央にある「OK/Q」ボタンを押すことで変更可能。ISOや露出補正、絞りなどはジョグダイヤルの右ボタン(Exposureボタン)を押して変更する。とてもシンプルな操作ではあるが、1つのボタンで3つの機能を扱うため時間が掛かってしまう。

撮影画面
OK/Qボタンを押したところ

 また、絞り優先モードではジョグダイヤルで絞り値を変更するが、一般的なカメラであればF値が最小と最大で止まるところ、この機種では止まらないため設定が難しい。例として、F4.5→F16→F4.5といったように最大値や最小値で止まらずループしてしまう。ちょっとしたことだが、少し使いづらいように感じた。

 本機は2つのFnボタンを備えており、頻繁に使用する機能をメニューから簡単に割り当てられるようになっている。またAF/AEロックボタンもカスタマイズ可能だ。OK/Qボタンから撮影に関する様々な設定ができるようになっているが、よく使う色彩やWB変更などはこちらに割り当てておくと便利だった。

Fnボタンをカスタマイズすることができる

AF

 AFに関しては、近年のミラーレス機としては少しピント合わせに時間が掛かる印象。とはいえ、スナップや風景、テーブルフォトなどではストレスなく撮影できるだろう。動き物などを撮影するともたつきが気になる方もいるかもしれない。

 AFモードはAFS、AFC、MF、Auto+Manualなど多彩なフォーカスモードから選択可能。フォーカスエリアもセンターAFや マルチAF、スポット AF、追尾AFなど、用途に合わせて選択できるようになっている。

Wi-Fi

 Wi-Fiモードを使用すると、AndroidやiOSを搭載するスマートフォンと連携可能。「PIXPRO」アプリを使用する。StationモードにしてWi-Fi接続するとカメラ内の画像を見たり、カメラを操作することができる。カメラ操作時はISO感度やWBなどの設定をリモートで変更可能。ピント合わせもピント合わせしたい箇所をタッチするだけなので便利だ。

Wi-FiモードにするにはモードダイヤルをWi-Fiモードに合わせる
スマートフォンからカメラ内の画像を一覧したり、お気に入りの写真をダウンロードできる
撮影設定を変更したり、ライブビュー画面でタッチフォーカスを利用できる

 カメラ内の画像を見る際には、お気に入りの写真をスマートフォンにダウンロードすることも可能。撮影した画像をSNSにアップしたい場合は便利だろう。

マイクロフォーサーズマウントを採用しているので、他社のレンズも装着できる。

まとめ

 Kodakブランド初のマイクロフォーサーズ機として、細かい点で気になる箇所もあったが、撮影していて楽しいカメラだった。キットレンズも35mm判換算で24mm始まりだったりと、幅広い被写体をカバーできる。Kodakブランドの純正レンズは少ないが、マイクロフォーサーズ規格のパナソニックやオリンパス、シグマなど多くのレンズ群を使えるのも魅力の一つだろう。

 次回は実写画像を見ながら本カメラの魅力をご紹介しよう。

上田晃司

(うえだこうじ)1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。
ブログ:http://www.koji-ueda.com/