新製品レビュー

Kodak PIXPRO S-1(実写編)

コダックらしい色彩モードを楽しめる個性派

 前回はKodak PIXPRO S-1の外観と機能を中心に本機の魅力をご紹介した。色彩効果のKodacolorやKodachrome、Ektachromeなどを見て、本機種が気になっているKodakファンも少なからずいるはずだろう。

 今回はキットレンズであるKODAK PIXPRO Aspheric ED Lens 12-45mm/3.5-6.3で撮影した画像を中心に、マイクロフォーサーズ単焦点レンズを使用した画像もご紹介していく。では、本機で撮影した実写画像を見ながら本機の魅力を見ていただきたいと思う。

解像力

 まずは、本機の解像感から見てみよう。本機のキットレンズ「KODAK PIXPRO Aspheric ED Lens 12-45mm/3.5-6.3」を使用してマンション群を撮影している。同レンズは広角端が35mm判換算で24mm相当と広角に強いのが特徴。実写画像はF8.0まで絞って撮影している。

広角端
望遠端

 驚くべきは描写力の高さだろう。レンズ中央から周辺にかけてシャープに結像していることがわかる。レンズ周辺のタイルも、流れなどの乱れはなく、ハイライト部分の木々も細かく見れば若干の色収差はあるが、パープルフリンジなど擬色は発生しておらずシャープな印象。レンズ中央部分もこのクラスであることを考慮すれば十分な解像感があると言えるだろう。

 テレ端は35mm判換算で90mmの中望遠として使用できる。レンズ周辺に少しモヤッとしている部分はあるが、中央周辺の描写力は高い。こちらもマンションのタイルなどディテールまでしっかりと解像している印象だ。トータルで見て、このクラスのレンズとしては十分なパフォーマンスを発揮しており、不満に感じる方は少ないだろう。

感度

 次に高感度性能を見てみよう。感度はISO200からISO12800まで設定できる。スタジオにて高感度テストを行ってみた。

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800

 ISO200からISO800くらいまではノイズや画像の質などに大きな変化はない印象だ。ノイズのないクリーンな画像を求めている方は、ISO800くらいまでであれば全く気にならないはずだろう。

 ISO1600になると少しノイズが確認できる。細かく見てみると、カラーノイズが暗部に出ているのが分かる。ノイズリダクションのお陰でざらつきはないが、少しノッペリしている印象だ。ISO3200になるとノイズリダクションが強くなりシャープさが少し失われている。ISO6400になると、Web程度であれば使用できそうだが全体的にノイジーになり、ノイズリダクションによりノッペリ感が増す。色の彩度もやや失われて浅くなっている印象だ。

 ISO12800では、ノイズのざらつきと強いノイズリダクションにより常用は難しい印象。どうしても被写体の動きを止めたい状況など、緊急避難的に使用するとよいだろう。個人的には実用はISO1600くらいまでがベストな印象だ。

独自の色彩効果を楽しみたい

 様々なバリエーションを楽しめるのが色彩効果だ。本機には、普通、鮮明、白黒、ドリーム、ぼかし、Ektachrome、Kodachrome、Kodacolor、スタジオ、パンク、ネガ、反射、スケッチ、魚眼、4グリッド-スタイリッシュ、4グリッド-部分的カラーの16種類から色彩モードを選択できるようになっている。

普通
鮮明
白黒
ドリーム
ぼかし
Ektachrome
Kodachrome
Kodacolor
スタジオ
パンク
ネガ
反射
スケッチ
魚眼
4グリッド-スタイリッシュ
4グリッド-部分的カラー

 冒頭にも少し述べたが、KodacolorやKodachrome、EktachromeなどKodakらしい色彩モードをはじめ、色に関する設定や魚眼効果のような様々なエフェクトも用意されている。中にはなかなか使いにくそうな効果もあったが、本機の個性とも言えるだろう。

 特にKodacolor、Kodachrome、Ektachromeは使用していて楽しかった。同名フィルムの個性に近いエフェクトになっている印象で、仕上がりも普通などと違い雰囲気がある。個人的には、このカメラをKodacolor、Kodachrome、Ektachromeの専用機としてもよいくらいだ。

 今回は、少し天気が悪かったこともありスナップ中心で作例を撮影してきた。写りは良く、個性的な色合いの色彩効果などこだわりを感じる部分もあり、とても楽しめた。厳しく見れば高感度性能は現行の他社製マイクロフォーサーズ機と比べて少し弱い部分もあるが、解像感などはこのクラスのカメラとしては十分な印象を受けた。個性的な色味などを求めているユーザーにはオススメである。

作品集

店前に置いてあった空き瓶を撮影した。瓶のつややかな質感までしっかりと表現できておりメリハリのある印象だ。標準域で撮影したがボケも自然だ。ISO284 / F5.5 / 1/63秒 / ±0EV / 27mm
Ektachromeの効果を使って撮影。フィルムライクな雰囲気と暖色の色合いがすてきだ。ISO200 / F4.8 / 1/77秒 / +0.3EV / 22mm
駐輪してあった自転車を撮影。描写力は高く壁のディテールや自転車の金属部分の質感もしっかりと表現できている。ISO299 / F6.3 / 1/63秒 / -0.4EV / 19mm
暗めの場所で葉っぱを近接撮影した。ピント位置の葉は非常にシャープで葉脈までしっかり描写しておりボケも大きい。ただし、ISO1600で撮影したためボケの部分にノイズが発生していることがわかる。ISO1600 / F6.3 / 1/193秒 / -0.3EV / 45mm
ISO6400で暗めの場所にディスプレーされているブリキのミニカーを撮影した。色彩効果をEktachromeにセットして撮影しているためとても雰囲気のある印象に仕上がった。ISO6400なのでノイズは目立つが等倍にしなければ気にはならない。ISO6400 / F6.3 / 1/129秒 / -0.7EV / 45mm
Ektachromeの独特のカラーで撮影。フィルムライクな独特な深みのある色が印象的だ。ISO400 / F5.6 / 1/146秒 / -0.3EV / 18mm
Kodacolorで撮影。コントラストが弱いためネガの雰囲気を残す柔らかな印象に仕上がった。ISO200 / F1.4 / 1/63秒 / ±0EV / 25mm
料理を撮影。色味もよく料理を美味しそうに撮影することができた。LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH.との組み合わせもよく大きく綺麗なボケを堪能できた。ISO358 / F1.4 / 1/63秒 / -0.3EV / 25mm
レストランにディスプレーしてあった二眼レフカメラを撮影。LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH.を使用することでローライトコンディションでも十分撮影することができた。ISO800 / F1.4 / 1/109秒 / -1.0EV / 25mm

上田晃司

1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。
ブログ:http://www.koji-ueda.com/