新製品レビュー

Manfrotto MA2ファストバックパック

使い勝手の良いコンパクトサイズのカメラバックパック

マンフロットから9月に登場したADVANCED2シリーズのカメラバッグは、都会的なイメージに仕上げたという同社のコメントのとおり、モノトーンで仕上げられたすっきりとしたデザインが特徴のカメラバッグシリーズだ。シリーズ製品のひとつ「MA2ファストバックパック」について、実際に持ち歩いてみた感想を交えつつ、その使い勝手についてお伝えしていきたい。

収納部のデザイン

MA2ファストバックパックの大きな特徴となっているのが、メイン収納部のフラップをフルオープンにできる点だ。収納部をほぼフラットな状態になるまで開くことができるため、視認性がよく細かい仕切り板の取り付けもやりやすい。また、この仕切り板はすべて外すことができるため、内部空間を収納したい機材にあわせていかようにも調整できる。

仕切り板をすべて取り外した状態

メーカーが提示している収納量の目安は、70-200mmクラスのレンズを装着した一眼レフカメラ1台と2台目のカメラ、交換レンズ3~4本、15インチクラスのノートPC、9.7インチのタブレット、アクセサリー、となっている。

実際に手元にある機材を収納したところ。収納した機材はX-H1、X-T2、XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR、XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS、XF35mmF2 R WR、円形フィルター、角型フィルター、メモリーカードケースなど。これらの機材が余裕をもって収まった。かなり余裕をもって収めることができているため、配置の工夫しだいで目安以上の機材を収めることもできそうだ。

なお、仕切り板は薄型のタイプとなっているが、かなり固めとなっており、安定して機材を固定してくれた。

左右側面とサイドアクセス

バッグの左右側面にはジップ開閉のポケット(上部)と深めのポケット(下部)が設けられている。上部は比較的薄めとなっており、スマートフォンやケーブル類の収納に適している印象だった。いっぽう、下側のポケットは伸縮性のある生地が使われており、比較的厚さのあるものでも収納できると感じた。生地自体もハリがあり、不用意に中身がこぼれてしまう不安もなさそうだった。

下部収納のジッパーは計4つあり、左右をウイング状に独立してオープンさせて機材にアクセスすることができる。

両サイド内側にもポケットが。伸縮性のある生地が採用されており、こちらもある程度厚みがあるものでも収納できる構造となっている。フラップも設けられており、不用意に中身がこぼれ落ちる心配もなかった。

左右収納部が大きく開く利点があるということは、旅行などで第3者に開けられてしまう心配もつきまとう。しかし、前面側と背面側の2カ所に設けられたロックパーツの間にジッパーを配置すれば、開口部を狭くできるため、セキュリティ面での強度を上げることもできる。

天面側の収納は

本製品では下部がメイン気室となっているが、天面側にももう1気室、収納部が設けられている。

マウンテンパーカーを折りたたんで収納してみたところ

もちろん機材の収納も可能だ。EOS RとRF85mm F1.2 L USMを収納したところ、こちらもちょうどよい具合の収まり具合となった。また、フラップ側にも伸縮性のあるポケットが2つ配されている。バッテリーやメモリーカードなどの小物を収めるのにちょうどよさそうだ。

ちなみに天面側の収納部は、3方のベルクロを外すことでメイン収納部に一体化させることもできる。2気室では収まりきらないサイズの望遠レンズなどの機材を収めたいというニーズにも応えてくれそうだ。

天面側収納部の3方のベルクロを外したところ。折り返されている部分は、背面側で固定されている

ノートPCの収納と三脚固定部

背面側にはさらにジッパーが設けられており、15インチクラスのノートPCと9.7インチのタブレットが収納できるポケットが設けられている。

実際に収納してみたところ、13インチのノートPC(MacBookAir)で若干余裕があると感じられる状態。また、メイン収納部側にもポケットが設けられており、厚みのあるA5正寸のノートが縦方向にすぽりと収まった。タブレットの収納も不安はなさそうだ。

三脚の固定は背面側となる。上部収納部と下部収納部外側に開口している部分があり、そこから固定用のテープを引き出す。トラベラータイプの三脚(4型)を固定したところ、高さはバッグとほぼ同じくらいになった。

実際に背負って移動

以上の機材を収納した状態で移動してみたところ、背面のクッションが固めで汗がたまりすぎることがなかった。またショルダーパッド部のクッションが背面側よりも少し柔らかめとなっているためか、肩への食い込み感は少なかった。

サイズバランスも筆者にとっては程よい印象。さすがに三脚は外していたが、満員電車への持ち込みでも座席に座った状態で足元にすっぽりと収めることができ、他の乗客から嫌な顔をされることもなかった。電車移動を主体にしつつ、必要な機材をしっかりと持ち運びたい場合に活躍してくれそうな印象だ。何よりも、大きすぎないサイズ感は街中を歩いていても人に当たる心配が減るだけに、撮影に集中できると感じられる。

デザイン自体もマットな色調の黒のため、ビジネスリュックのようにも見えてくる。この点でも近年の“カメラバッグらしくないバッグ”という流れをしっかりと意識してつくられた製品だということが伝わってくるようだ。

総じて収納部の自由度が高いつくりとなっているため、上部にカメラを収納し、下部メイン気室に書類や重量があるものを収納することで普段づかいにも向きそうだと感じた。

本誌:宮澤孝周