新製品レビュー

LUMIX GF9

“自撮り最強カメラ”の進化は如何に?「4Kセルフィー」を試す

1月19日に発売されたLUMIX GF9(以下GF9)。2年前に発売されたエントリー機LUMIX GF7の後継機として堂々登場しました。

GF7を発売時からほぼ毎日愛用しているわたしにとって後継機はとても楽しみでした。GF7との違いとしては、4K動画を撮ること、microUSB充電ができるようになったこと、記録メディアがmicroSDカードになったこと、セルフィー撮影が細かく設定できるようになったことなどがあげられます。

キットのレンズも標準ズームレンズのLUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.とLUMIX G 25mm/F1.7 ASPH.の単焦点レンズがセットにされています。買ってすぐに単焦点レンズでボケ感を楽しめるので撮影の幅が広がります。

今回はセルフィー機能に特化したレビューを書きます。このデジカメ WatchでもGF7をレビューさせていただきました。この時点ですでに自撮り最強カメラとして書いており、わたしの愛機としてプライベートでも毎日のように使っておりました。

アプリ加工なくさりげなく美肌効果を入れられたり……フェイスシャッターを使ってカメラを手に持たずにセルフィーを撮れたり……様々なシーン、様々なシチュエーションで活躍してくれました。

その便利な機能たちがさらにパワーアップし、GF9としての登場。4K対応だけではなく、なんと4Kセルフィーも撮ることができるのです。

4Kセルフィー

この4Kセルフィーとは、4Kフォトの機能である1秒間に30枚の連写をしてくれるモードが自分撮り用に搭載されたものです。ムービーからの切り出しとは違い、その一瞬一瞬がすべて写真として保存できるというとても優れた機能。

この4Kセルフィーを使えば、なかなか1ショットでは決まりにくい、背景が動いている場所でのセルフィーや、友達との良い表情の瞬間を撮る際などに活用できます。

4Kセルフィーで写真を選んでいるところ
選んだ画像を保存できる

なお、4Kセルフィーモードではフィルター以外の美肌効果などの設定はできないので注意が必要です。

液晶モニターはGF7と同じように180度上方にチルトします。上にチルトする画面のおかげでテーブルや台の上に置いてセルフィーできるので、撮影の幅がとても広がります。デフォルトでセルフタイマーは3秒。レンズのすぐ上に液晶モニターがくるので、その3秒のあいだに目線をレンズに動かすゆとりがあります。

従来の右手シャッターボタン、左手シャッターボタンももちろん搭載しています。GF7ではWi-Fiボタンだったものが今回はフォーカスセレクトボタンに変更。

女性は「こっちからの顔の向きがわりと好き……」というちょっとしたこだわりがあったり、セルフィーで記念写真を撮る時はカメラを持つ人がシャッターボタンの関係でいつも立ち位置が決まってしまう……といったことがありましたが、どちらの手でもシャッターボタンを押せることにより自由にセルフィーを楽しむことができます。

女子会やパーティーなどの楽しい表情がたくさん溢れている場面や、背景の動きが活発なときなどは4Kセルフィー。決めの1~2枚で撮れるときや、美肌効果などを適用するときは通常の自分撮りモード、と使い分けるとさらに楽しくセルフィーが撮れます。

左シャッターの使用例
左シャッターでは左手で持って撮影できる

4Kセルフィーを撮ってみた

実際に4Kセルフィーを撮ってみました。

背景にイルミネーションが施されたジェットコースターの後ろの星の柄と自分を一緒に撮りたい! けれど、この1、2秒の一瞬の時間を切り撮るのは至難の技……。そんな時は4Kセルフィーで撮影しましょう。

LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. / 1/100秒 / F1.7 / 0EV / ISO800 / プログラム / 15mm

友達と舞妓体験をした時の記念写真。2人のベストショットを4Kセルフィーで選びます。

LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/30秒 / F3.5 / +1EV / ISO1600 / 絞り優先AE / 12mm

4Kセルフィーで撮った写真を選ぶときは、再生画面の左上あたりの「4Kフォト再生」をタップします。画面上部でおおよそのシーンを選んだ後に画面下にスライドフォトセレクトと呼ばれる撮影した写真のサムネイルがでているので指で左右にスクロールします。

写真として保存したい画像で指を止め、「MENU/SET」ボタンか画面右下あたりの黄色い丸い項目をタップします。「表示されている画像を写真として保存しますか?」で、「はい」を選択。そうすると写真一覧の中に選択した写真が保存されています。

4Kフォトモードや4KセルフィーはMP4の動画形式で保存されるので、カメラの本体のこの操作で1枚1枚お気に入りをチョイスする必要があります。パソコンの操作ではできないので忘れずに選んでおきましょう。

さらに充実したセルフィー機能

自分撮りパノラマでは普段のセルフィーでは収めきれない広い範囲の背景を入れて思い出を残せます。

LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/100秒 / F3.5 / +1.7EV / ISO800 / プログラム / 12mm

美肌効果は従来は3段階で選んでいましたが、今回は0~10まで選べます。わたしのオススメは7あたり。さりげなく美肌ですが、10になるとやりすぎていかにも「美肌にしちゃいました!」となってしまいます。美肌具合を液晶モニターでチェックしながら調節できるのも良いですね。

美肌効果無し。LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / 13mm
美肌効果有り(効果7)。LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO400 / マニュアル露出 / 13mm

GF9からの新機能として、自分撮りをしながら効果的なフィルターをかけることもできます。ポップ、レトロ、ハイキー、モノクローム、トイフォトの5種類から選べます。

レトロ。LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/4秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / プログラム / 12mm
モノクローム。LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. / 1/40秒 / F1.7 / +0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / 15mm

背景コントロールを選択すると、顔認識をした周りがふんわりとボケてくれます。意図的にボカしたい時にも最適です。

効果無し。LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/100秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / 12mm
効果有り。LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/125秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / 12mm

スリムモードは従来まで3段階でしたが、こちらも美肌モードと同じく0~10まで選ぶことができます。こちらは効果をつけすぎると頭が細長くなってしまうので、設定するなら3くらいがオススメです。

スリムモード効果無し。LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/20秒 / F4 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / 12mm
スリムモード効果有り(効果5)。LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. / 1/20秒 / F4 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / 12mm

洗練されたデザイン

デザインは、GF7と比べるとボディのおでこの部分のでっぱりが目立たなくなりスッキリとした印象。今まであった丸みも少なくなり、より洗練されたボディになりました。

革張りの質感も変わり、よりラグジュアリーに。カラーはオレンジとシルバーの2色。わたしはGF7のパキっとしたピンクのカラーに惚れ込んでいたので今回のGF9に継続されなかったのが少し残念ですが、オレンジもとてもオシャレで、ファッションを問わず持てるカラーです。

ボディの重さも女性のカバンに入れてもほとんど苦になりません。お財布、小さめのメイクポーチ、ペットボトル、携帯、そしてGF9を入れても小さめのバッグに入ります。

女性の手にすっぽりと収まるサイズ感なので、男性が持つとちょっと小さく感じてしまうかも。それでもサッと持ててフットワーク軽く持ち歩けるカメラはとても頼もしい存在です。

まとめ

GF7とGF9を毎日のように持ち歩いている中で、わたしが常に装着している個人的にオススメのレンズはLEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.。セルフィーを撮る時にもちょうどいい画角です。F値も1.7なのでボカしたい時や、ちょっと暗い時にも安心だったり、レンズの筒の長さも割とコンパクト。そしてライカブランドのレンズなので写りもばっちりの頼れるレンズです!

シャッターを押すために伸ばす腕をあえて映さないようにし、セルフィーっぽくないセルフィーを撮ったり、日常で見つけた鏡やガラスに写りこむ姿を撮影するのもセルフィーの1つだと思っております。

LUMIX G MACRO 30mm / F2.8 ASPH. / MEGA O.I.S. / MEGA O.I.S. / 1/320秒 / F3.5 / +0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / 30mm

顔だけでなく、自分のファッションや散歩中の足元を撮影しても、季節感や天気なんかも思い返せたりして楽しいもの。

日々の自分を残しておく。楽しかったこと、ときめいたこと、ちょっぴり悲しかったこと、何も考えずにぼーっと過ごしたこと。すべてのふとした瞬間を写真に残すことはとても大切なことです。写真に残すことによってその時の気持ちがふと蘇ってきたり、改めて感情を思い直したり、いろいろな小さな気づきがあるはずです。

そんなライフログを綺麗に残すための最高の相棒カメラです。

今回はセルフィーに特化したレビューなのでそれ以外にはふれておりませんが、一般的なミラーレスカメラとしても立派に働いてくれます! エントリーモデルとして十分なスペックなので安心して気軽に毎日持ち歩けるカメラです。

レンズ交換式なので、撮りたいイメージに合わせてレンズを交換したり、多彩なクリエイティブコントロールでアーティスティックな1枚を撮影しましょう。

片岡三果

(かたおか みか)北海道出身。モデル出身のフォトグラファー。漫画家の両親、大叔父が画家という家庭環境に育ち、幼い頃から美術、デザインを学ぶ。2013年より専門学校東京デザイナー学院映像デザイン科にて写真実習の講師をつとめる。アルバム大使。カメラのレビューを執筆や、ラジオFM FUJIにて毎週土曜22時30分からカメラや写真、アートについて語るコーナーを担当。
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